Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#COVID-19

統計崩壊で起こった第6波流行ピークのバイアス

2022.02.25.11:45更新 はじめに COVID-19患者やSARS-CoV-2感染者は、一般にPCR検査の陽性反応をもって確定されます。加えて、しばしば抗原検査でも判定されています。そして日々の新規陽性者数が公表されることで、私たちはおおまかな流行状態を知ることがで…

韓国の新型コロナ流行に学ぶ日本の感染対策の弱点

はじめに 昨日、今日とテレビのニュースや情報番組は、海外のCOVID-19感染流行状況や出口戦略を紹介していました。しかし、いささか伝え方に偏向や誤解を招く表現があり、いまの日本のテレビ媒体の劣化を感じています(→日本メディアのコロナ報道にみるバイ…

ワクチンmRNAと抗原タンパクは2ヶ月間体内で持続する

はじめにーTVでのワクチン副作用特集 今朝(2月21日)のNHK「あさイチ」では、COVID-19ワクチンの副作用(副反応)を特集していました。mRNAワクチン接種後の心筋炎、心膜炎が話題として出てきました。しかし、もうこれはれっきとした病気なので、これを副反…

日本はG7諸国の中で最も感染対策が緩い

2022.02.18更新 はじめに 岸田総理大臣は、今日(2月17日)記者会見し、水際対策を3月から緩和すると発表しました [1]。オミクロン変異体の感染拡大のペースが落ち着き始めており、第6波の出口に向かって徐々に歩み始めるとも述べました。見かけ上、1月終わ…

国が主導する検査抑制策

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年〜) はじめに COVID-19パンデミックのいま、にわかに注目を浴びたのがPCR検査を含むSARS-CoV-2ウイルスの検査です。PCRという言葉は、それがどのような技法ということはともかくとして、完全に市民権を得ました。 SARS…

日本メディアのコロナ報道にみるバイアス

はじめに 先日(2月11日)、NHKのNews Watch 9を観ていたら、デンマークのコロナ規制解除に関するニュースが出てきました。私はこれを観ていて、「ああ。また誤ったメッセージになりかねない」と率直に思いました。なぜそう思ったかと言えば、デンマークと日…

第6波で日当り死亡者数過去最多を記録

昨年12月、オミクロン変異体はこれまでのSARS-CoV-2とパンデミックの常識を変える変異ウイルスであることを指摘しました(→オミクロン変異体が意味するもの)。そして迎えた新年早々、12月初頭から第6波流行が始まっていることを指摘し、このオミクロン流行…

ピークアウト後は富士山型?

新型コロナウイルス感染症の第6波流行は、昨日(2月8日)新規死亡者数159名を記録しました。過去最多数としては昨年5月18日に216人を記録していますが、これは当該日より以前の未報告分が加算された数字であり、実質今回が最多数だと思われます。実際、昨年…

科学者はより伝播性の強いオミクロンの出現に驚きを隠せない

最近、サイエンス誌にオミクロン変異体BA.2の記事が掲載されました。「より感染力の強いオミクロンの突然の出現は科学者たちに驚きを与えている」(Sudden rise of more transmissible form of Omicron catches scientists by surprise)という題目の記事で…

オミクロンは軽症なのになぜ病院をひっ迫させるのか?

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 私は、前回のブログ記事(→「オミクロンは重症化率が低い」に隠れた被害の実態)で、オミクロン型流行では、病気自体の重症度よりも感染者の絶対数の増大と死亡者数の増加が問題ということを指摘しました。…

エンデミック(風土病)の誤解

この記事は以下のURLに移動しました。 https://drtaira.hatenablog.com/entry/2022/01/31/103338

「オミクロンは重症化率が低い」に隠れた被害の実態

この記事は以下のURLに移動しました。 https://drtaira.hatenablog.com/entry/2022/01/30/103755

ステルスオミクロン

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) カテゴリー:ウイルスの話 はじめに 最近、ステルスオミクロン(Stealth Omicron)という言葉が出てきました。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン変異体(Omicron variant)に類縁の変異ウイルスを表す言…

2022年を迎えて−パンデミック考

この記事は以下のURLに移動しました。 https://drtaira.hatenablog.com/entry/2022/01/02/101325

日本で変異ウイルスの系統を「株」とよぶ不思議

カテゴリー:感染症とCOVID-19 カテゴリー:ウイルスの話 はじめに いま日本では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるCOVID-19の流行について、原因となっている変異ウイルスをデルタ株とかオミクロン株とか、「株」という接尾語をつけてよんでいます。…

オミクロン変異体が意味するもの

カテゴリー:感染症とCOVID-19 カテゴリー:ウイルスの話 2021.12.11:08:10更新 インターネットで科学記事を検索していたら、フォーブス紙に寄稿したウイルアム・ハセルタイン(Williams A. Haseltine)氏の記事 [1] が目に留まりました(下図)。彼は、ハー…

ファクターXの候補としての交差反応性T細胞

カテゴリー:感染症とCOVID-19 2021.12.08更新 はじめに COVID-19のパンデミックにおいては、欧米諸国に比べて日本を含む東アジア諸国の感染者数や死者数が少ないことが注目されてきました。その差異について、未知の要因が関わっているのではないかというこ…

SARS-CoV-2の組換えによる変異-オミクロン変異体の出現

はじめに SARS-COV-2の変異体の一つであるオミクロン変異体(Omicron variant)は、WHOによって「懸念すべき変異体」(variant of concern、VOC)に分類され、いま世界中でその流行拡大が懸念されています。なぜ、この変異体が注目されるかと言えば、スパイ…

ワクチン未接種者に対して汚名を着せることは不当

どうも、COVID-19パンデミックやCOVID-19ワクチンは、為政者や科学者の頭の中までおかしくしてしまうようです。 米国疾病対策センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長は、7月16日の記者会見で「ワクチン未接種者のパンデミックが起きつつある」と警告し…

mRNAワクチンは心筋へのT細胞浸潤と内皮の炎症を劇的に増加させる

はじめに 私は以前のブログ記事で、SARS-CoV-2の全スパイクタンパク質をコードするmRNAワクチンは安全性の面で問題があること、mRNAドラッグプラットフォームのワクチン応用自体が健康人には馴染まないことを述べました(→ワクチンとしてのスパイクの設計プ…

感染流行「120日周期説」に基づくAI分析の稚拙さ

はじめに 昨日(11月16日)の東京新聞電子版に「人の流れ増えたのにコロナ感染急減 理由に「120日周期」説 AIが予測的中 第6波はいつ?」というタイトルの記事 [1] が出ていました。私はこの記事を読んで、分析の安易さと稚拙さに腰が抜けました。なぜそう思…

エラー・カタストロフ限界説の誤解

この記事は以下のURLに移動しました。 https://drtaira.hatenablog.com/entry/2021/11/09/101644

流行減衰の原因ーウイルスが変異し過ぎて自滅?

カテゴリー:感染症とCOVID-19 はじめに 国立遺伝学研究所と新潟大学の共同研究チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のnsp14遺伝子が変異することが、第5派流行の減衰に繋がった可能性があるという研究成果を日本人類遺伝学会で発表しました。メディ…

米NIHが武漢の危険ウイルス研究への資金提供を認めた

はじめに 米国国立衛生研究所(NIH)が、中国の武漢ウイルス研究所でのウイルスの機能獲得実験に資金提供していたという事実が明らかになってきました。ウェブ記事やSNS上でこの事実が取り上げられていますが、これはSARS-CoV-2の起源に関わることとしてきわ…

流行減衰の再考と第6波に備えて

はじめにー異常な流行減衰 大きな被害を出したCOVID-19第5波流行ですが、現在、感染者数が急減して昨年の10月レベルほどになっています。今日(10月22日)の新規陽性者数は全国で325人、東京で26人であり、東京は全国の8%を占めるにすぎません(図1)。この…

SARS-CoV-2変異体の疫学的特徴およびワクチン・非医薬的介入の効果

はじめに 現在、日本ではCOVID-19の第5波流行が減衰し、全国の新規陽性者数が数百人のレベルで推移しています。社会・経済活動の再開へ向けてワクチン・検査パッケージといっしょの「実証実験」なるものも行なわれ始め、テレビのワイドショーや情報番組も楽…

海外のメディアが伝えた日本の第5波流行の減衰

はじめに 日本ではCOVID-19の第5波流行が急速に萎み、現在、昨年の10月を下回る感染状況になっています。今日の新規陽性者数は月曜日ということもありますが、全国で231人、東京で29人です。この急速減衰の理由については理由がはっきりせず、専門家の間で…

mRNAワクチンと免疫記憶

カテゴリー:感染症とCOVID-19 はじめに COVID-19 mRNAワクチンは、大量接種プログラムのワクチンとしては前例のないものです。パンデミックという危難時だからこそ、緊急使用許可を経て使われてきました。その効果については一定の治験を経て確認されている…

高齢者で高まるブレイクスルー感染のリスク

私は8月16日のブログ記事「デルタ変異体の感染力の脅威」において、雨天続きによるエアロゾルの減少、人々の外出控え・自粛行動、それにワクチン未接種のリザーバーの縮小によってCOVID-19の第5波流行は減衰していくだろうと予測しました。事実、8月中旬以降…

ニュージーランドのゼロコロナ戦略転換

はじめに ネットニュースを見ていたら、「NZ、感染ゼロ戦略断念 ワクチン普及でコロナとの共生模索へ」というロイターの記事 [1] が目に飛び込んできました。AFP [2] やガーディアン [3] も同様に伝えています。ニュージーランドはいわゆるゼロコロナ戦略…