はじめに
私は以前のブログ記事で、SARS-CoV-2の全スパイクタンパク質をコードするmRNAワクチンは安全性の面で問題があること、mRNAドラッグプラットフォームのワクチン応用自体が健康人には馴染まないことを述べました(→ワクチンとしてのスパイクの設計プログラムの可否)。そして、COVID-19 mRNAワクチンについては、少なくとも以下の6点がクリアされなければならないと指摘しました(→核酸ワクチンへの疑問ーマローン博士の主張を考える)。
・抗原となるタンパク量を制御できること
・生成したタンパクが注射部位の細胞に留まること
・スパイクタンパク質自身に毒性がないこと
・変異したタンパクができないこと
・mRNAやスパイクタンパク質が長時間残留しないこと
・mRNAを包むポリエチレングリコールの安全性
残念ながら、上記の課題はほとんどすべてが検証されないまま、mRNAワクチンは緊急使用許可されました。ファイザー社の臨床試験のプロセスにおいては、その認可までのスピードがデータの完全性と患者の安全性を犠牲にするものだったかもしれないことが、最近暴露されています。すなわち、同社のワクチン治験を担当したVentavia Research Groupにおいて、データの改ざん、患者の盲検化の解除、有害事象のフォローアップ遅延などの数々の問題があったことが内部告発され、その内容が今月BMJ誌に掲載されました [1]。
現在、mRNAワクチンは世界中の健康体で人体実験が行なわれている最中であり、日本では完全接種率が75%に達しました。結果として、mRNAワクチン接種後の副作用(好副反応)、有害事象の発生、死亡は従来型ワクチンと比較して格段に多いものとなっています。それにもかかわらず、厚生労働省は、ほとんどの重篤な副作用や接種後死亡についてはワクチン接種との因果関係不明としており、「因果関係を評価できないワクチン」をなお進めている状況です。
今月、電子ジャーナルCIrculationに、mRNAワクチン接種が循環系に及ぼす悪影響の可能性に示唆する研究のアブストラクトが掲載されました(図1)[2]。投稿者は米国カリフォルニア州にある民間医療研究機関 International Heart & Lung Institute のスティーヴン・ガンドリー(Steven R. Gundry)氏です。
図1. Circulationに掲載された研究のアブストラクト [2].
ちょうど、本ブログ記事を書いている最中に、ロバート・マローン博士がこのガンドリー報告についてツイートしているのを見つけ、私は以下のように引用ツイートしました。
Circulation論文の結論:mRNAワクチンが内皮の炎症や心筋T細胞の浸潤を劇的に増加させ、ワクチン接種後に血栓症や心筋症などの血管系事象が増加するという観察を説明できるかもしれない。 https://t.co/CbMhuSfQuN
— AKIRA HIRAISHI (@orientis312) 2021年11月20日
この記事では、mRNAワクチン接種後に数多く発生している循環器系の有害事象について、非常に示唆的なガンドリー報告について紹介します。
1. 報告の内容
この研究 [2] においては、PULS(Protein Unstable Lesion Signature)という検査が用いられています。PULS検査は、動脈損傷に対する身体の免疫系反応を示す重要なタンパク質バイオマーカーを測定するものです。この検査によって、心臓病変の形成と進行につながる損傷と心疾患を引き起こす可能性について知ることができます。
実際の検査には、PLUS Cardiac Test (Global DIscovery Biosciences, Inc, Irvine, CA)が使われました。この検査では、炎症性サイトカインであるIL-16、アポトーシス誘導因子である可溶性Fas(sFas)、上皮や心筋組織へのT細胞の走化性を示すマーカーである肝細胞増殖因子(HGF)などの複数のタンパク質バイオマーカーを測定します。これらの測定値と基準値との比較に基づいて、5年間の急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome, ACS)発症リスク(確率)を予測するスコアを作成し、臨床的に検証しています。
この研究機関では、8年前から3~6ヵ月ごとに患者のPULSスコアを記録してきました。そして、ファイザー社とモデルナ社の mRNA COVID-19ワクチンの登場により、2回接種を行なったほとんどの被検者でPULSスコアの劇的な変化が起こったことを見いだしました。このアブストラクトではその研究結果が報告されています。
検査は、予防循環器科を受診した28~97歳、男女比1:1の患者566名を対象に行なわれました。mRNAワクチン接種後2~10週目に新たなPULS検査を実施し、ワクチン接種前の3~5カ月間に実施した前回のPULSスコアと比較しました。
その結果、ワクチン投与後、いずれのタンパクマーカーのスコアも劇的に上昇しました。すなわち、IL-16は標準値の35±20から82±75に、sFasは標準値の22±15から46±24に、HGFは標準値の42±12から86±31に増加しました。これらの変化により、PULSスコアは、5年ACSリスクが11%から25%に上昇したことを示しました。
この報告では、ワクチンの2回目の投与後、このPLUSスコアの変化は少なくとも2.5カ月間持続しているとしています。そして、mRNAワクチンは、内皮の炎症や心筋へのT細胞の浸潤を劇的に増加させることを示すものであり、ワクチン接種後に血栓症や心筋症などの血管系事象が増加することを説明できると結論づけています。
2. 本研究への関心度
このガンドリー報告 [2] については、世界中で高い関心を持たれていて、本ブログ執筆時点でメトリクスが8518、ツイート回数が25858を記録しています。図2に世界におけるツイート状況の分布を示します。米国や英国でのツイート回数が多いのが目立ちますが、日本は80回でG7諸国の中では断トツで最下位です。
図2. ガンドリー報告のツイートの回数の世界分布 [2].
ツイート回数だけで傾向を見るのも危険ですが、日本発のCOVID-19関連の研究論文の少なさ(世界14位でG7の中で最低)[3] に通じるものがあります。科学の分野やCOVID-19ワクチンに対する関心度で世界に遅れをとっている日本の現状がうかがわれます。
おわりに
ワクチンは病気を治す薬ではなく、大勢の健康人に予防的に接種するものです。したがって、その安全性には特段の注意を払う必要があります。でないと、国レベルで健康な国民を不健康にするばかりのものになってしまいます。
mRNAワクチンは安全性の面で従来のワクチンにはない不確かな部分があることは冒頭で述べたとおりです。その懸念が、次々と出てくる論文によって、そして何よりも圧倒的に多く発生している副作用、有害事象、接種誤死亡によって現実のものとなりつつあります。
今回のCirculationに掲載された報告は、さらにその懸念を強化するものです。「mRNAワクチンが内皮の炎症や心筋へのT細胞の浸潤を劇的に増加させる」ということは、その組織細胞でのワクチンmRNAの取り込みとスパイクタンパク質合成が起こり、それを細胞性免疫が攻撃していることを示唆するものです。つまり、遺伝子ワクチンプラットフォーム自体に根本的問題にあることを疑わせるものです(→ワクチンとしてのスパイクの設計プログラムの可否)。
厚労省によると、10月24日までの集計で、接種後に心筋炎・心膜炎が疑われた事例の報告頻度は、男性の場合(100万人あたり)、モデルナでは10代で約60人、20代で約40人。ファイザーではそれぞれ約8人および9人です。一方、国内の10~29歳の男性COVID-19入院患者において心筋炎の報告頻度は100万人あたり893人とされています [4]。
厚労省は、心筋炎・心膜炎について接種後の報告頻度より入院患者ではるかに多く、「接種のメリットはリスクを上回る」と言い続けています。しかし、これは明らかにおかしく、詭弁です。リスクを言うなら、ワクチン接種者と未接種者とで心筋炎・心膜炎や有害事象の発生頻度を見ないと正当な比較になりません。なぜなら、ワクチン未接種者全員が入院患者にはならないからです。ウイルスに感染するのは多くても数%、そのうち入院するのはさらに低率になります。
mRNAワクチンは国レベルで接種していることもあり、これだけ多くの健康な人に薬害が出ているワクチンは過去に例がないでしょう。これから打てば打つほど薬害が広がっていくと予想されます。そして、それに対して国も、医者も誰も責任をとることがない危険性を、私たちは心に留めておく必要があります。
引用文献・記事
[1] Thacker, P. D.: Covid-19: Researcher blows the whistle on data integrity issues in Pfizer’s vaccine trial. BMJ 375, n2635 (2021). https://doi.org/10.1136/bmj.n2635
[2] Gundry, S. R.: Abstract 10712: Mrna COVID vaccines dramatically increase endothelial inflammatory markers and ACS risk as measured by the PULS Cardiac Test: a Warning. Circulation 144, A10712 (2021). https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/circ.144.suppl_1.10712
[3] 産経新聞ニュース: 日本のコロナ論文数は世界で14位、諸外国にリード許す. 2021.08.25. https://www.sankei.com/article/20210825-WKHCEGSZABL6RCMPFPYV2EG5JM/
[4] 朝日新聞デジタル: 接種後の心筋炎・心膜炎、どう考える? 新型コロナワクチンで報告. Yahooニュース Japan. 2021.11.21. https://news.yahoo.co.jp/articles/699645899d08e8702e5aaefbd17030f71cd9202c
引用したブログ記事
2021年6月26日 核酸ワクチンへの疑問ーマローン博士の主張を考える
2021年6月9日 ワクチンとしてのスパイクの設計プログラムの可否
カテゴリー:感染症とCOVID-19