Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#COVID-19

東アジア・西太平洋地域の感染流行の比較から見えてくるもの

はじめに 日本のCOVID-19第5波流行は過去最大の感染者数を出し、7月12日の緊急事態宣言発出後から今日(10月3日)までの累計では、約88万人の陽性者数になりました。これは、これまでの全陽性者数の52%に相当します。ワクチン接種が進んでその分重症者数や死…

mRNAワクチンで作られたスパイクタンパクは血管を駆け巡る

はじめに COVID-19 mRNAワクチンを注射した際に、ヒト体内でどの程度抗原ができるか、その運命はどうなるのか、よくわかっていません。唯一の研究例として、ワクチンを接種した人の血液中にスパイクタンパク質を検出したOgataらの報告 [1] があります(→mRNA…

感染流行減衰の要因:雨とエアロゾル消長

カテゴリー:感染症とCOVID-19 はじめに 私は、8月16日のブログ記事で、第5波感染流行が首都圏で頭打ちになったのではないか、そして、これ以降減衰するのではないかと予測しました(→デルタ変異体の感染力の脅威)。さまざまな減衰要因が考えられますが、主…

withコロナ vs. zeroコロナ

はじめに 日本では、コロナ禍における、ウィズ (with) コロナ、ゼロ (zero) コロナという二極化する言葉がメディア上で飛び交っています。そして、ほとんどの場合、テレビの情報・ワイドショー・バラエティー番組のMCやコメンテータが、さも当たり前のように…

ブースター接種を巡って交錯する科学と政治的思惑

2021.09.18: 15:21更新 はじめに いまCOVID-19ワクチン接種先進国の間では、3度目の投与となるいわゆるブースター接種や4度目の投与が検討されています。イスラエルではすでに3度目の接種が実施されていますが、それにもかかわらず、いま感染者が急増し、1万…

いま一般人に対するワクチンのブースター接種は必要ない

はじめに 世界のワクチン接種先進国の間では、いまCOVID-19感染のリバウンドやワクチンの効力の低下に鑑みて、完全接種後の余剰分について追加接種(ブースター接種)を行なうことを検討しています。イスラエルのように、すでに実施している国もあります。 …

イングランドのワクチンパスポート導入中止

はじめに 英国BBCは、今日(9月13日)、いわゆるワクチンパスポートについて、ナイトクラブや大規模イベントへの入場に導入する計画は中止すると、保健相サジド・ジャヴィド(Sajid Javid)氏が発表したことを伝えました [1]。それ自体の目的化のために進め…

第5波感染流行が首都圏で減衰した理由

カテゴリー:感染症とCOVID-19 はじめに 第5波のCOVID-19流行は大きな被害をもたらしていますが、東京や周辺の県での新規陽性者数はピークを過ぎて減衰に入ったように思われます。全国的にもやや遅れて減衰するか高止まりになっているようです。 政府は7月12…

東京オリパラと第5波感染流行

はじめに 今年の夏は東京オリパラと第5波COVID-19流行の夏でした。図1に、6月23日から昨日(9月5日)までの、全国および東京都における新規陽性者数の推移を示します。7月23日に東京オリンピックが始まる前後から新規陽性者数が急増し、8月半ばから下旬にか…

SARS-CoV-2スパイクタンパク質とヒト生殖系タンパク質の分子擬態

はじめに SARS-CoV-2感染症(COVID-19)が女性の生殖能力に影響を与える可能性を示唆する新しい研究結果が、イスラエル、イタリア、フランス、ロシアの共同研究チームによって発表されました。本研究の成果は、American Journal of Reproductive Immunology…

新型コロナの主要感染様式は空気感染である

2021.08.27, 21:31更新 はじめに 前のプログ記事で、新型コロナウイルス感染症COVID-19は新しい概念の空気感染によって広がることを述べました(→感染力を増した変異ウイルスと空気感染のリスク、あらためて空気感染を考える)。この空気感染がSARS-CoV-2の…

COVID-19ワクチン接種者はスーパースプレッダーになり得る?

-はじめに 前のブログ記事で、COVID-19ワクチン接種者のワクチン・ブレイクスルー感染について取り上げ、いま世界中の国が進めている大量ワクチン接種プログラムについて、デマやプロパガンダに踊らされない情報リテラシーをもつことの大切さについて述べま…

デルタ変異体の感染力の脅威

はじめに 東京では、東京オリンピック開始直前からSARS-CoV-2のデルタ変異体(Delta variant)による第5波感染流行が本格化しました。新規陽性者数が急増し、8月13日には全国で初めて新規陽性者数が2万人を超えました。とはいえ、東京でのこの1週間の感染の…

ボッシェ仮説とそれへの批判を考える

この記事は以下のURLに移動しました。 https://drtaira.hatenablog.com/entry/2021/08/14/094816

ワクチン接種へのためらい率は高学歴者で最も高い

はじめに 今年6月、国立精神・神経医療研究センターの研究グループが、「COVID-19ワクチン接種をためらう人は低所得、低学歴の人が多い」という研究論文 [1] を発表し、メディアもすぐにこれを取り上げて報道しました。私は前のブログ(→ワクチン推進論文の…

新型コロナの起源に関して改めて論文を読み、戦慄に震える

この記事は以下のURLに移動しました。 https://drtaira.hatenablog.com/entry/2021/08/05/210027

イベルメクチンを巡るCOVID-19医薬品研究の課題

はじめに 今月はじめ、ネイチャー誌に、"Flawed ivermectin preprint highlights challenges of COVID drug studies"「欠陥のあるイベルメクチンのプレプリントは、COVID医薬品研究の課題を浮き彫りにする」というNews [1] が掲載されました。このNews記事は…

COVID-19ワクチンとブレイクスルー感染:情報リテラシーが問われる

はじめに いまパンデミックの最中にあって、欧米や日本で接種が進められているCOVID-19ワクチンは、mRNAワクチンが主流です。この核酸ベースのワクチンについては、以前から研究されてはいるものの、感染症のワクチンとして適用されたのは今回が初めてです。…

シミュレーションによる感染予測はなぜ外れるか

はじめに シミュレーションとは、科学や工学の分野で言う場合は、ある事象を説明するのに、その場面を再現したモデルを用いて分析することです。モデル式およびさまざまなパラメータ(変数)の条件設定に基づいてコンピューターで計算し、実測データと照らし…

40-50代の重症者が増えているという情報の検証

はじめに 新聞、テレビ各社は、最近、東京都における新型コロナウイルス感染症患者のなかで、40-50代の入院数と重症者数が増えているということを伝えています [1, 2, 3]。小池知事は7月8日の記者会見で、ワクチン接種で高齢者の重症化が抑えられている可能…

ワクチン推進論文のミスリード−低所得者層が接種をためらう?

はじめに 先月(2021年6月)下旬、日本経済新聞が「ワクチン拒否は1割 全国ネット調査、若い女性目立つ」という記事 [1] を配信しているのが目に留まりました。この記事は、国立精神・神経医療研究センターによる新型コロナウイルスワクチンに関するインター…

ウィズコロナを意味のないスローガンとして否定するNZ

はじめに 2021年7月7日、ニュージーランド(NZ)が、英国式のCOVID-19と「共存」すべきだという提案(いわゆるウィズコロナ)を退け、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相が提案した死のレベル(the level of death)は「受け入れられない」と述べたこ…

またもや飲食店狙いの感染対策への疑問

まえがき 昨日(7月8日)、菅義偉首相は、東京都に4度目の緊急事態宣言を発出することを表明しました。東京はCOVID-19の第5波に見舞われつつありますが、前回の宣言解除から3週間も経たたないなかでの宣言になります。新聞報道によれば、東京五輪の開催を最…

あらためて空気感染を考える

はじめに 新型コロナウイルスウイルスSARS-CoV-2の感染については、飛沫感染、接触感染、エアロゾル感染の三つの感染様式があると言われてきました。1年以上も前、このブログでもそれらを取り上げました(→新型コロナウイルスの感染様式とマスクの効果)。し…

ついに検査抑制方針を改善できないまま感染五輪を迎える

はじめに パンデミック宣言以来、日本はクラスター対策とともにPCR検査抑制を貫いてきたことは公然の事実です。検査を限定するために、当初は「37.5℃で4日間」などの検査の目安さえ設けていました。クラスターに集中して患者確定にPCR検査を集中適用するとい…

mRNAワクチンへの疑念ー脂質ナノ粒子が卵巣に蓄積?

はじめに COVID-19-mRNAワクチンについては、主として安全性の面から、ツイッターなどのSNS上でさまざまな懸念や噂が広がっています。また、根拠のない明らかなデマと思われる情報までが飛び交っています。国や専門家は当然ながらこれらの噂やデマを否定し、…

COVID-19ワクチンは妊娠、生殖への影響があるか?

はじめに COVID-19ワクチンについては、ネット上で様々なデマ情報が飛び交っています。最も有名になったデマ情報の一つは、2020年12月にアップされたブログ記事です。ファイザー社の上級社員が、ワクチン接種によってつくられる抗体が胎盤を攻撃する可能性が…

核酸ワクチンへの疑問ーマローン博士の主張を考える

カテゴリー:感染症とCOVID-19 はじめに 私は1年以上も前に、新型コロナウイルス感染症COVID-19のパンデミックを終息させるものとして、ワクチンに期待するとの主旨のブログ記事を書きました(→集団免疫とワクチンーCOVID-19抑制へ向けての潮流)。そして今…

下げ止まりの時こそ行なうべき強化策

前のブログ記事(→感染五輪の様相を呈してきた)で、このまま6月20日に緊急事態宣言が解除されて東京五輪が開催されれば、デルタ型変異ウイルスによるリバウンド(感染拡大)につながる感染五輪になることを指摘しました。感染拡大を表面的に抑える効果的対…

ワクチンとしてのスパイクの設計プログラムの可否

カテゴリー:感染症とCOVID-19 はじめに 今日(6月9日)開かれた党首討論で、菅義偉総理大臣は「強制的に検査を行なうことができない中でどうやってやるのだ」と枝野幸男代表(立憲民主党)に逆質問していた一方で、「ワクチンは切り札」と述べていました。…