Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#SARS-CoV-2

オミクロン変異体が意味するもの

2021.12.11:08:10更新 インターネットで科学記事を検索していたら、フォーブス紙に寄稿したウイルアム・ハセルタイン(Williams A. Haseltine)氏の記事 [1] が目に留まりました(下図)。彼は、ハーバード大学医学部の元教授でエイズのHIV/AIDS研究で有名な…

ファクターXの候補としての交差反応性T細胞

2021.12.08更新 はじめに COVID-19のパンデミックにおいては、欧米諸国に比べて日本を含む東アジア諸国の感染者数や死者数が少ないことが注目されてきました。その差異について、未知の要因が関わっているのではないかということが推察されており、京都大学…

SARS-CoV-2の組換えによる変異-オミクロン変異体の出現

はじめに SARS-COV-2の変異体の一つであるオミクロン変異体(Omicron variant)は、WHOによって「懸念すべき変異体」(variant of concern、VOC)に分類され、いま世界中でその流行拡大が懸念されています。なぜ、この変異体が注目されるかと言えば、スパイ…

エラー・カタストロフ限界説の誤解

更新:2011.11.11:23:50 はじめに エラー・カタストロフ(error catastrophe)とは、過剰な突然変異によって生物やウイルスの種・個体内の正常な遺伝情報が失われ、壊滅的になることを言います [1]。マンフレッド・アイゲン(Manfred Eigen)[2, 3] が提唱し…

流行減衰の原因ーウイルスが変異し過ぎて自滅?

はじめに 国立遺伝学研究所と新潟大学の共同研究チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のnsp14遺伝子が変異することが、第5派流行の減衰に繋がった可能性があるという研究成果を日本人類遺伝学会で発表しました。メディアは早速これを紹介しています …

米NIHが武漢の危険ウイルス研究への資金提供を認めた

はじめに 米国国立衛生研究所(NIH)が、中国の武漢ウイルス研究所でのウイルスの機能獲得実験に資金提供していたという事実が明らかになってきました。ウェブ記事やSNS上でこの事実が取り上げられていますが、これはSARS-CoV-2の起源に関わることとしてきわ…

流行減衰の再考と第6波に備えて

はじめにー異常な流行減衰 大きな被害を出したCOVID-19第5波流行ですが、現在、感染者数が急減して昨年の10月レベルほどになっています。今日(10月22日)の新規陽性者数は全国で325人、東京で26人であり、東京は全国の8%を占めるにすぎません(図1)。この…

SARS-CoV-2変異体の疫学的特徴およびワクチン・非医薬的介入の効果

はじめに 現在、日本ではCOVID-19の第5波流行が減衰し、全国の新規陽性者数が数百人のレベルで推移しています。社会・経済活動の再開へ向けてワクチン・検査パッケージといっしょの「実証実験」なるものも行なわれ始め、テレビのワイドショーや情報番組も楽…

海外のメディアが伝えた日本の第5波流行の減衰

はじめに 日本ではCOVID-19の第5波流行が急速に萎み、現在、昨年の10月を下回る感染状況になっています。今日の新規陽性者数は月曜日ということもありますが、全国で231人、東京で29人です。この急速減衰の理由については理由がはっきりせず、専門家の間で…

mRNAワクチンと免疫記憶

はじめに COVID-19 mRNAワクチンは、大量接種プログラムのワクチンとしては前例のないものです。パンデミックという危難時だからこそ、緊急使用許可を経て使われてきました。その効果については一定の治験を経て確認されているわけですが、通常のワクチン開…

mRNAワクチンで作られたスパイクタンパクは血管を駆け巡る

はじめに COVID-19 mRNAワクチンを注射した際に、ヒト体内でどの程度抗原ができるか、その運命はどうなるのか、よくわかっていません。唯一の研究例として、ワクチンを接種した人の血液中にスパイクタンパク質を検出したOgataらの報告 [1] があります(→mRNA…

感染流行減衰の要因:雨とエアロゾル消長

はじめに 私は、8月16日のブログ記事で、第5波感染流行が首都圏で頭打ちになったのではないか、そして、これ以降減衰するのではないかと予測しました(→デルタ変異体の感染力の脅威)。減衰の要因として考えたのが、7月12日の緊急事態宣言発出以降の人流の減…

ブースター接種を巡って交錯する科学と政治的思惑

2021.09.18: 15:21更新 はじめに いまCOVID-19ワクチン接種先進国の間では、3度目の投与となるいわゆるブースター接種や4度目の投与が検討されています。イスラエルではすでに3度目の接種が実施されていますが、それにもかかわらず、いま感染者が急増し、1万…

第5波感染流行が首都圏で減衰した理由

はじめに 第5波のCOVID-19流行は大きな被害をもたらしていますが、東京や周辺の県での新規陽性者数はピークを過ぎて減衰に入ったように思われます。全国的にもやや遅れて減衰するか高止まりになっているようです。 政府は7月12日に緊急事態宣言を東京都に発…

SARS-CoV-2スパイクタンパク質とヒト生殖系タンパク質の分子擬態

はじめに SARS-CoV-2感染症(COVID-19)が女性の生殖能力に影響を与える可能性を示唆する新しい研究結果が、イスラエル、イタリア、フランス、ロシアの共同研究チームによって発表されました。本研究の成果は、American Journal of Reproductive Immunology…

新型コロナの主要感染様式は空気感染である

2021.08.27, 21:31更新 はじめに 前のプログ記事で、新型コロナウイルス感染症COVID-19は新しい概念の空気感染によって広がることを述べました(→感染力を増した変異ウイルスと空気感染のリスク、あらためて空気感染を考える)。この空気感染がSARS-CoV-2の…

COVID-19ワクチン接種者はスーパースプレッダーになり得る?

-はじめに 前のブログ記事で、COVID-19ワクチン接種者のワクチン・ブレイクスルー感染について取り上げ、いま世界中の国が進めている大量ワクチン接種プログラムについて、デマやプロパガンダに踊らされない情報リテラシーをもつことの大切さについて述べま…

デルタ変異体の感染力の脅威

はじめに 東京では、東京オリンピック開始直前からSARS-CoV-2のデルタ変異体(Delta variant)による第5波感染流行が本格化しました。新規陽性者数が急増し、8月13日には全国で初めて新規陽性者数が2万人を超えました。とはいえ、東京でのこの1週間の感染の…

ボッシェ仮説とそれへの批判を考える

はじめに ベルギーのウイルス学者ヴァンデン・ボッシュ(Geert Vanden Bossche)博士は、自分のウェブページ [1] で、免疫逃避ウイルスの出現を促すとして、COVID-19用の大量ワクチン中止を呼びかける自説を展開しています。そして、ワクチンに替わって抗ウ…

新型コロナの起源に関して改めて論文を読み、戦慄に震える

2021.08.07更新 はじめに 米国下院外交委員会の共和党トップであるマコール議員と同党スタッフは、今年8月1日、「中国・武漢のウイルス研究所から新型コロナウイルスSARS-CoV-2が流出したことを示す多くの証拠がある」とする80ページにもわたる報告書を発表…