Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#SARS-CoV-2

この夏の第7波?流行

このところ来る参院選の論戦が熱を帯びてきましたが、各政党の党首が掲げる公約にはコロナあるいはCOVID-19という言葉はほとんど出てきません。今は物価高で賃金も停滞のままですから、物価高対策に焦点が行くのは当然なのですが、それにしても国民の意識か…

SARS-CoV-2スパイクタンパク質のアミロイド形成能

はじめに SARS-CoV-2は、ホモ三量体の表面スパイクタンパク質(S-protein)を用いて、ヒト細胞の受容体(ACE2)に結合し、細胞内に侵入します。それゆえ、このウイルスのスパイクタンパクの機能や毒性は、パンデミックが始まって以来、多くの研究者の焦点と…

mRNAワクチンのブースター接種を中止すべき

はじめに 6月6日、日本ではCOVID-19ワクチンのブースター接種(3回目)が、全人口の約60%に達したことが報道されました [1]。ワクチンとは言いながら、実体は抗原となるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質を宿主細胞に作らせるように設計されたmRNA型生物製剤で…

地域社会のマスク着用向上がコロナ感染を減少させる

はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の防御に、マスク着用が一定の効果があることは何となく理解されていると思いますが、実は学術論文レベルで見ると、「効果がある」というものと「効果はない」とする相反する報告がありました。最近、米国科学…

CDCの研究:COVID-19生存者の20%以上が長期症状を経験

米国疾病管理予防センター(CDC)は、最近、long Covid に関する大規模な研究の結果を発表しました [1]。Long Covid は、SARS-CoV-2の初感染後、急性症状の回復後に、数ヶ月またはそれ以上続く可能性のある一連の症状を表す用語です。ここでは仮にコロナ長期…

小児急性肝炎にSARS-CoV-2のスーパー抗原が関わる?

2022.05.16更新 先のブログで記事で、私は、いま世界的に注目されている原因不明の小児急性肝炎について新型コロナ感染(長期症状)との関係を考えるべきではないかという見解を示しました(→世界的な謎の小児肝炎はコロナ関連症状か)。以下のように、ツイ…

腸内でなかなか消えないコロナウイルスの"ゴースト"

先月、本ブログで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の消化器感染とlong COVID(コロナ長期症状)との関係を示唆する論文が出版されたこと、それをBloombergが取り上げたことを紹介しました(→SARS-CoV-2の消化器感染とLong COVID)。最近、この論文の内容…

オミクロンの重症化率、致死率は従来の変異体と変わらない?

オミクロン変異体はこれまでのSARS-CoV-2変異体と同様に重症化度が高い、とする研究成果を、5月6日付けのロイター記事が紹介しました [1]。この研究は、米国マサチューセッツ総合病院、ミネルバ大学、ハーバード大学医学部の共同研究グループによるもので、…

迅速抗原検査はオミクロン検出の感度が低い

はじめに SARS-CoV-2の検査は、現在、プローブ・リアルタイムPCR(RT-PCR)が標準法として使われています。一方、発症者を迅速に診断したり、感染をスクリーニングするための迅速(簡易)抗原検査(rapid antigen test, RAT)も多用されており、一部の国では…

SARS-CoV-2の消化器感染とLong COVID

はじめに 今日(4月18日)、米カリフォルニア州スタンフォード大学の医学ニュースを見ていたら、「軽症のCOVID-19患者は、ふん便中に長期間ウイルスRNAを排出する」という記事 [1] が目にとまりました。どうやら、この長期間のウイルス保持が long COVID の…

相変わらずの貧弱なPCR検査態勢

COVID-19パンデミックにおいて防疫対策の基本の一つにになるのが検査です。今はマルチプレックス TaqMan PCR(プローブRT-PCR)という非常に高精度、高感度の分子技法が、SARS-CoV-2を検出する標準検査法として世界的に用いられています。検査の意義は以前の…

オミクロン系統の新しい変異体

2022.04.05更新 COVID-19パンデミックは3年目に入りましたが、いまはオミクロン系統(関連ブログ記事→オミクロン変異体が意味するもの)のSARS-CoV-2変異体の流行が主体です。オミクロンは、日本で第4波流行をもたらしたアルファ変異体、第5波の原因であった…

抗イディオタイプ抗体が悪さをする?

SARS-CoV-2感染症(COVID-19) のパンデミックが始まって以来、3年目になりましたが、依然としてその病態の理解はまだ不完全です。それはこの病気において、なぜ複数の臓器に影響が及ぶのか、ウイルス消失後においてもなぜ長期にわたって"Long COVID"症候群(…

遺伝子ワクチンを取り込んだ細胞は免疫系の攻撃標的になる

はじめに これまでのブログ記事で、私は、現行の遺伝子ワクチン(mRNAワクチン、アデノウイルスベクターワクチン)が失敗ではないかということを述べてきました(→ワクチンとしてのスパイクの設計プログラムの可否、核酸ワクチンへの疑問ーマローン博士の主…

予測不能な病毒性をもつSARS-CoV-2の出現

はじめに ウイルスのゲノム(DNAまたはRNA)の変異はランダム変異であり、時間軸に対して一定の確率で起こっています。その変異は彼ら自身にとって良くも悪くもなく中立的ですが、そのなかで環境(宿主)に適応したものだけが生き残っていきます(自然選択説…

スピルオーバー:ヒトー野生動物間の新型コロナ感染

はじめに 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源については、コウモリやセンザンコウに類縁のウイルスが知られているものの [1](→SARS-CoV-2類似のコウモリウイルス発見の意義)、依然として謎であり、中間宿主についても特定されていません。この観点か…

やはりワクチンmRNAは宿主細胞中でDNAに変換される

2022.03.09更新 はじめに もう2年近く前になりますが、私はCOVID-19ワクチンに対する期待と懸念を寄せるブログ記事を書きました(→集団免疫とワクチンーCOVID-19抑制へ向けての潮流)。期待はもちろんゲームチェンジャーとして機能するワクチンの登場であり…

統計崩壊で起こった第6波流行ピークのバイアス

2022.02.25.11:45更新 はじめに COVID-19患者やSARS-CoV-2感染者は、一般にPCR検査の陽性反応をもって確定されます。加えて、しばしば抗原検査でも判定されています。そして日々の新規陽性者数が公表されることで、私たちはおおまかな流行状態を知ることがで…

SARS-CoV-2類似のコウモリウイルス発見の意義

はじめに 今月、ネイチャー誌の電子版(最終編集前暫定版)に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に類縁する新規ウイルスの論文が掲載されました [1]。これまでで最もSARS-CoV-2に近く、かつヒト細胞に感染性をもつコウモリコロナウイルスに関する論文です。…

国が主導する検査抑制策

はじめに COVID-19パンデミックのいま、にわかに注目を浴びたのがPCR検査を含むSARS-CoV-2ウイルスの検査です。PCRという言葉は、それがどのような技法ということはともかくとして、完全に市民権を得ました。 SARS-CoV-2の検査は、いま世界中で患者確定をは…

日本メディアのコロナ報道にみるバイアス

はじめに 先日(2月11日)、NHKのNews Watch 9を観ていたら、デンマークのコロナ規制解除に関するニュースが出てきました。私はこれを観ていて、「ああ。また誤ったメッセージになりかねない」と率直に思いました。なぜそう思ったかと言えば、デンマークと日…

第6波で日当り死亡者数過去最多を記録

昨年12月、オミクロン変異体はこれまでのSARS-CoV-2とパンデミックの常識を変える変異ウイルスであることを指摘しました(→オミクロン変異体が意味するもの)。そして迎えた新年早々、12月初頭から第6波流行が始まっていることを指摘し、このオミクロン流行…

ピークアウト後は富士山型?

新型コロナウイルス感染症の第6波流行は、昨日(2月8日)新規死亡者数159名を記録しました。過去最多数としては昨年5月18日に216人を記録していますが、これは当該日より以前の未報告分が加算された数字であり、実質今回が最多数だと思われます。実際、昨年…

科学者はより伝播性の強いオミクロンの出現に驚きを隠せない

最近、サイエンス誌にオミクロン変異体BA.2の記事が掲載されました。「より感染力の強いオミクロンの突然の出現は科学者たちに驚きを与えている」(Sudden rise of more transmissible form of Omicron catches scientists by surprise)という題目の記事で…

エンデミック(風土病)の誤解

いま、オミクロン変異体によるCOVID-19の第6波流行が急拡大しています。一方で、「オミクロンは軽症だからたいしたことはない」、「風邪のようなものだ」という論調が専門家のなかにさえあり、この変異体の被害を軽視する風潮があります。これは感染対策に及…

「オミクロンは重症化率が低い」に隠れた被害の実態

はじめに オミクロン変異体(オミクロン型、Omicron variant)による新型コロナウイルス感染症は、従来のデルタ変異体などに比べて重症化しにくいことがすでに明らかにされています。私たちにとってはこれ自体は朗報ですが、ウイルスの伝播力の強さと免疫回…

ステルスオミクロン

はじめに 最近、ステルスオミクロン(Stealth Omicron)という言葉が出てきました。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン変異体(Omicron variant)に類縁の変異ウイルスを表す言葉のようですが、このブログ記事でステルスオミクロンとは何か、この…

2022年を迎えて−パンデミック考

2022年を迎えました。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症について、最初のブログ記事を書いたのが、2年近く前の2020年2月19日です(→新型コロナウイルス感染症流行に備えるべき方策 )。その当時は、パンデミック(まだパンデミック宣言前でしたが)が…

日本で変異ウイルスの系統を「株」とよぶ不思議

はじめに いま日本では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるCOVID-19の流行について、原因となっている変異ウイルスをデルタ株とかオミクロン株とか、「株」という接尾語をつけてよんでいます。これは厳密に言えば正しくありません。日本で使われている…

オミクロン変異体が意味するもの

2021.12.11:08:10更新 インターネットで科学記事を検索していたら、フォーブス紙に寄稿したウイルアム・ハセルタイン(Williams A. Haseltine)氏の記事 [1] が目に留まりました(下図)。彼は、ハーバード大学医学部の元教授でエイズのHIV/AIDS研究で有名な…