Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#新型コロナウイルス

CDCの研究:COVID-19生存者の20%以上が長期症状を経験

米国疾病管理予防センター(CDC)は、最近、long Covid に関する大規模な研究の結果を発表しました [1]。Long Covid は、SARS-CoV-2の初感染後、急性症状の回復後に、数ヶ月またはそれ以上続く可能性のある一連の症状を表す用語です。ここでは仮にコロナ長期…

マスクをやめる、もちろん検査もしない?

日本では、ここにきて、にわかに脱マスク論が盛んになってきました。脱マスクに「メリハリをつけて」という言葉も添えられています。海外のように、マスク着用を義務化、時間が経ったら義務化を解除、というならメリハリのあるわかりやすい話ですが、日本は…

小児急性肝炎にSARS-CoV-2のスーパー抗原が関わる?

2022.05.16更新 先のブログで記事で、私は、いま世界的に注目されている原因不明の小児急性肝炎について新型コロナ感染(長期症状)との関係を考えるべきではないかという見解を示しました(→世界的な謎の小児肝炎はコロナ関連症状か)。以下のように、ツイ…

Long COVIDのリスクを否定するのはやめよう

現地時間の昨日(5月13日)、米ワシンントン・ポスト紙に、「Long COVIDのリスクを無視するのはやめるべきだ」というオピニオン記事が掲載されました(下図) [1]。筆者はペンシルバニア大学のエゼキエル・J・エマニュエル(Ezekiel J. Emanuel)教授です。…

オミクロンの重症化率、致死率は従来の変異体と変わらない?

オミクロン変異体はこれまでのSARS-CoV-2変異体と同様に重症化度が高い、とする研究成果を、5月6日付けのロイター記事が紹介しました [1]。この研究は、米国マサチューセッツ総合病院、ミネルバ大学、ハーバード大学医学部の共同研究グループによるもので、…

重症者が増えなければよいという方針で死亡者増

今年の大型連休(GW)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策についてまん延防止措置などの行動制限の規制が全くない状況です。これに関して、昨日の民放の番組「池上彰のニュース解説」で、昨年の同時期に比べてはるかに感染者数が多いのに、なぜ行…

迅速抗原検査はオミクロン検出の感度が低い

はじめに SARS-CoV-2の検査は、現在、プローブ・リアルタイムPCR(RT-PCR)が標準法として使われています。一方、発症者を迅速に診断したり、感染をスクリーニングするための迅速(簡易)抗原検査(rapid antigen test, RAT)も多用されており、一部の国では…

治っていないコロナの病気を後遺症とよぶべきでない

2022.04.22: 18:24更新 今朝、日本経済新聞のウェブ版に目を通していたら、オミクロン変異体によるCOVID-19後遺症が若年層ほど重く 仕事と治療の両立の課題があることが記事になっていました [1]。そして、ツイッター上に、コロナ後遺症専門外来のあるヒラハ…

SARS-CoV-2の消化器感染とLong COVID

はじめに 今日(4月18日)、米カリフォルニア州スタンフォード大学の医学ニュースを見ていたら、「軽症のCOVID-19患者は、ふん便中に長期間ウイルスRNAを排出する」という記事 [1] が目にとまりました。どうやら、この長期間のウイルス保持が long COVID の…

相変わらずの貧弱なPCR検査態勢

COVID-19パンデミックにおいて防疫対策の基本の一つにになるのが検査です。今はマルチプレックス TaqMan PCR(プローブRT-PCR)という非常に高精度、高感度の分子技法が、SARS-CoV-2を検出する標準検査法として世界的に用いられています。検査の意義は以前の…

未来を変え続けるCOVID-19とwithコロナ戦略

日本はCOVID-19パンデミックの第7波流行に突入しています。一方で、このところ、テレビなどからきわめて楽観的な声も聞こえてきます。海外では全て規制解除しているとか、米国では誰もマスクをつけていないとか、withコロナの出口戦略をどうするとか、もう風…

オミクロン系統の新しい変異体

2022.04.05更新 COVID-19パンデミックは3年目に入りましたが、いまはオミクロン系統(関連ブログ記事→オミクロン変異体が意味するもの)のSARS-CoV-2変異体の流行が主体です。オミクロンは、日本で第4波流行をもたらしたアルファ変異体、第5波の原因であった…

短期間での重篤化・致死はオミクロンの特徴?–その2

はじめに 一昨日(3月15日)のブログで、オミクロン変異体による第6波流行においては、発症から短期間での重篤化や死亡が特徴であることを述べました。しかし、これはオミクロンの病態の特徴というよりも、mRNAワクチン接種の悪影響ではないかという個人的…

予測不能な病毒性をもつSARS-CoV-2の出現

はじめに ウイルスのゲノム(DNAまたはRNA)の変異はランダム変異であり、時間軸に対して一定の確率で起こっています。その変異は彼ら自身にとって良くも悪くもなく中立的ですが、そのなかで環境(宿主)に適応したものだけが生き残っていきます(自然選択説…

短期間での重篤化・致死はオミクロンの特徴?

オミクロン変異体による第6波流行において、いくつかの病態の特徴が示されています。その一つが、患者が肺炎を起こさず、短期間で重篤化し死亡する事例が多いことです。テレビで、ある医療専門家が、「あっという間に亡くなる」とコメントしていたことが耳に…

スピルオーバー:ヒトー野生動物間の新型コロナ感染

はじめに 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源については、コウモリやセンザンコウに類縁のウイルスが知られているものの [1](→SARS-CoV-2類似のコウモリウイルス発見の意義)、依然として謎であり、中間宿主についても特定されていません。この観点か…

やはりワクチンmRNAは宿主細胞中でDNAに変換される

2022.03.09更新 はじめに もう2年近く前になりますが、私はCOVID-19ワクチンに対する期待と懸念を寄せるブログ記事を書きました(→集団免疫とワクチンーCOVID-19抑制へ向けての潮流)。期待はもちろんゲームチェンジャーとして機能するワクチンの登場であり…

統計崩壊で起こった第6波流行ピークのバイアス

2022.02.24.11:45更新 はじめに COVID-19患者やSARS-CoV-2感染者は、一般にPCR検査の陽性反応をもって確定されます。加えて、しばしば抗原検査でも判定されています。そして日々の新規陽性者数が公表されることで、私たちはおおまかな流行状態を知ることがで…

韓国の新型コロナ流行に学ぶ日本の感染対策の弱点

はじめに 昨日、今日とテレビのニュースや情報番組は、海外のCOVID-19感染流行状況や出口戦略を紹介していました。しかし、いささか伝え方に偏向や誤解を招く表現があり、いまの日本のテレビ媒体の劣化を感じています(→日本メディアのコロナ報道にみるバイ…

感染症とCOVID-19 (2022年)

2022年5月↓ CDCの研究:COVID-19生存者の20%以上が長期症状を経験 マスクをやめる、もちろん検査もしない? 小児急性肝炎にSARS-CoV-2のスーパー抗原が関わる? Long COVIDのリスクを否定するのはやめよう 腸内でなかなか消えないコロナウイルスの"ゴースト"…

ワクチンmRNAと抗原タンパクは2ヶ月間体内で持続する

はじめにーTVでのワクチン副作用特集 今朝(2月21日)のNHK「あさイチ」では、COVID-19ワクチンの副作用(副反応)を特集していました。mRNAワクチン接種後の心筋炎、心膜炎が話題として出てきました。しかし、もうこれはれっきとした病気なので、これを副反…

日本はG7諸国の中で最も感染対策が緩い

2022.02.18更新 はじめに 岸田総理大臣は、今日(2月17日)記者会見し、水際対策を3月から緩和すると発表しました [1]。オミクロン変異体の感染拡大のペースが落ち着き始めており、第6波の出口に向かって徐々に歩み始めるとも述べました。見かけ上、1月終わ…

SARS-CoV-2類似のコウモリウイルス発見の意義

はじめに 今月、ネイチャー誌の電子版(最終編集前暫定版)に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に類縁する新規ウイルスの論文が掲載されました [1]。これまでで最もSARS-CoV-2に近く、かつヒト細胞に感染性をもつコウモリコロナウイルスに関する論文です。…

国が主導する検査抑制策

はじめに COVID-19パンデミックのいま、にわかに注目を浴びたのがPCR検査を含むSARS-CoV-2ウイルスの検査です。PCRという言葉は、それがどのような技法ということはともかくとして、完全に市民権を得ました。 SARS-CoV-2の検査は、いま世界中で患者確定をは…

日本メディアのコロナ報道にみるバイアス

はじめに 先日(2月11日)、NHKのNews Watch 9を観ていたら、デンマークのコロナ規制解除に関するニュースが出てきました。私はこれを観ていて、「ああ。また誤ったメッセージになりかねない」と率直に思いました。なぜそう思ったかと言えば、デンマークと日…

第6波で日当り死亡者数過去最多を記録

昨年12月、オミクロン変異体はこれまでのSARS-CoV-2とパンデミックの常識を変える変異ウイルスであることを指摘しました(→オミクロン変異体が意味するもの)。そして迎えた新年早々、12月初頭から第6波流行が始まっていることを指摘し、このオミクロン流行…

ピークアウト後は富士山型?

新型コロナウイルス感染症の第6波流行は、昨日(2月8日)新規死亡者数159名を記録しました。過去最多数としては昨年5月18日に216人を記録していますが、これは当該日より以前の未報告分が加算された数字であり、実質今回が最多数だと思われます。実際、昨年…

科学者はより伝播性の強いオミクロンの出現に驚きを隠せない

最近、サイエンス誌にオミクロン変異体BA.2の記事が掲載されました。「より感染力の強いオミクロンの突然の出現は科学者たちに驚きを与えている」(Sudden rise of more transmissible form of Omicron catches scientists by surprise)という題目の記事で…

オミクロンは軽症なのになぜ病院をひっ迫させるのか?

はじめに 私は、前回のブログ記事(→「オミクロンは重症化率が低い」に隠れた被害の実態)で、オミクロン型流行では、病気自体の重症度よりも感染者の絶対数の増大が問題ということを指摘しました。最近、これと同様な見解を示す記事 [1] が、米国NPRによっ…

エンデミック(風土病)の誤解

いま、オミクロン変異体によるCOVID-19の第6波流行が急拡大しています。一方で、「オミクロンは軽症だからたいしたことはない」、「風邪のようなものだ」という論調が専門家のなかにさえあり、この変異体の被害を軽視する風潮があります。これは感染対策に及…