Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#新型コロナウイルス

被害拡大させて規制緩和する不思議な国

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 日本国内の新型コロナウイルスの感染者数の累計は、今日時点で2000万人を超えました [1]。 このわずか2カ月弱で1000万人も増えたことになります。オミクロン変異体亜系統のBA.5ウイルスの伝播力の凄まじさ…

コロナ被害の認知的錯覚による誤解

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる感染者数、重症者数、死者数などは、毎日各々の実数が報告されています。私たちはこれらを参考にしながら、流行や被害の状況を知ることができます…

新型コロナウイルスはどのように、どこまで変異するのか

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) カテゴリー:ウイルスの話 はじめに 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が媒介するCOVID-19は、今なお世界中に被害をもたらしています。最も困難な問題の一つは、このウイルスのゲノム配列が継続的に変異・進化してい…

全数把握見直しをめぐる混乱と問題

はじめに 日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規陽性者は、7月終わり頃から20万人を超える日が多くなり、入院患者と自宅療養者の数は200万人近くに達し、医療崩壊に至りました。それに伴い、新規陽性者数の全数把握の作業の過重負担が問題…

ウィズコロナの不平等リスクが顕著化した日本

はじめに オミクロン変異体BA.5亜系統による第7波流行は、不幸にして急拡大し、犠牲者を増やし続けています。これは、ウィズコロナ戦略における不平等リスクが、政府、為政者の不作為によって、そして担当専門家による認知バイアスによって顕著化した結果と…

米CDCガイドラインとwithコロナ

はじめに 昨日(8月12日)、このブログで、米国CDCのCOVID-19対策に関する改訂ガイドラインを紹介しました(→COVID-19インパクトの最小化ー米CDCガイドライン)。このガイドラインはパンデミック対策の主旨がきわめて明確に記述されています [1]。しかし、同…

COVID-19インパクトの最小化ー米CDCガイドライン

はじめに 米国CDCは、8月11日(現地時間)、COVID-19の感染症対策や公衆衛生に関するガイドラインを改訂しました [1]。日本のメディアは早速これをとりあげていますが [2]、「米CDC、コロナ感染者の接触者は隔離不要、高性能マスク着用に」などと、「軽くな…

起こるべくして起こった医療崩壊、そして専門家有志提言の無味乾燥感

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 全国で感染拡大が止まらない新型コロナウイルス(オミクロン変異体亜系統BA.5)の第7波ですが、もはや検査による患者確定が追いつかず、頭打ちの様相を呈してきました。欧米先進諸国は全数把握をやめていま…

ゾンビのように復活した「37℃, 4日以上」のなぜ?

はじめに パンデミックが始まった当初に政府や専門家から出された悪名高い、いわゆる「37℃, 4日間」の受診の目安は、まだ記憶に新しいところです(→新型コロナ受診の見直しについて思うこと)。私は、コロナパンデミックの間、このフレーズを聞くことは二度…

「コロナが5類引き下げになったら」で想像できること

この記事は以下のURLに移動しました。 https://drtaira.hatenablog.com/entry/2022/07/31/083524

見えてきた第7波流行での最悪の被害

はじめに 今から1ヶ月ちょっと前のブログ記事で、この夏はオミクロン変異体の亜系統ウイルスBA.5による第7波流行に見舞われること、そしてパンデミック以来最悪の被害になりかねないことを述べました(→この夏の第7波?流行)。すでに、1日の新規陽性者数…

"ケンタウロス"(BA.2.75)の脅威?

いま日本を席巻している新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、オミクロン変異体から派生したBA.5ウイルスです。この2、3日、20万人/日を超える新規陽性者を記録しています。ただ、検査陽性率が50%を超えることも多い現状や、オミクロン系統には特に感度が悪…

第7波流行での行動制限なしの社会実験

いま、COVID-19の第7波流行下にある日本ですが、ほんの1ヶ月前は検疫や入国制限が緩和された後でもあり、専門家の間やメディア上で脱マスク論が展開され(→出羽守の脱マスク論)、日本全体でコロナ収束気味の雰囲気でした。折しも、参院選の活動が始まった…

打つ手なしから出てきた5類相当への話

はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、いま急拡大中です。先月、第7波流行を予測、危惧しましたが(→この夏の第7波?流行)、残念ながらそのとおりの展開になってしまいました。流行の主体として置き換わりが進んでいるオミクロン変異体の亜…

COVID-19パンデミックにBA.4/BA.5変異体がもたらすもの

いま、欧州諸国において、オミクロン変異体の亜系統であるBA.4およびBA.5の流行が拡大しています。日本においてもこの夏はBA.5による大流行(いわゆる第7波)に襲われることは確実です(→この夏の第7波?流行)。政府は第7波につながりかねないとして警戒を…

海外出羽守の脱マスク論

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 今日(7月1日)、ツイッターのタイムラインを見ていたら、BuzzFeed Japan Medicalの以下のツイートが目にとまりました。デンマーク在住のジャーナリスト井上陽子氏による「日本のマスク着用に違和感」という内容の記…

オミクロン亜系統BA.5の拡大:再びマスクの推奨

はじめに 欧州ではこの春から減衰していたCOVID-19の流行が、6月から拡大しています。日本でも第7波の流行が始まろうとしています(→この夏の第7波?流行)。これらの流行の主体になろうとしているのがBA.5変異体です。これは、SARS-CoV-2のB.1.1.529系統、…

この夏の第7波?流行

このところ来る参院選の論戦が熱を帯びてきましたが、各政党の党首が掲げる公約にはコロナあるいはCOVID-19という言葉はほとんど出てきません。今は物価高で賃金も停滞のままですから、物価高対策に焦点が行くのは当然なのですが、それにしても国民の意識か…

地域社会のマスク着用向上がコロナ感染を減少させる

はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の防御に、マスク着用が一定の効果があることは何となく理解されていると思いますが、実は学術論文レベルで見ると、「効果がある」というものと「効果はない」とする相反する報告がありました。最近、米国科学…

COVID-19対策に対する反省なき見解、誤謬、そして詭弁

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の専門家会議、アドバイザリーボード、分科会のメンバーの幾人かはメディア上でもお馴染みですが、その中の1人が押谷仁教授(東北大学大学院医学研究科)です。パンデミック下…

CDCの研究:COVID-19生存者の20%以上が長期症状を経験

米国疾病管理予防センター(CDC)は、最近、long Covid に関する大規模な研究の結果を発表しました [1]。Long Covid は、SARS-CoV-2の初感染後、急性症状の回復後に、数ヶ月またはそれ以上続く可能性のある一連の症状を表す用語です。ここでは仮に長期コロナ…

マスクをやめる、もちろん検査もしない?

日本では、ここにきて、にわかに脱マスク論が盛んになってきました。脱マスクに「メリハリをつけて」という言葉も添えられています。海外のように、マスク着用を義務化、時間が経ったら義務化を解除、というならメリハリのあるわかりやすい話ですが、日本は…

小児急性肝炎にSARS-CoV-2のスーパー抗原が関わる?

2022.05.16更新 先のブログで記事で、私は、いま世界的に注目されている原因不明の小児急性肝炎について新型コロナ感染(長期症状)との関係を考えるべきではないかという見解を示しました(→世界的な謎の小児肝炎はコロナ関連症状か)。以下のように、ツイ…

Long COVIDのリスクを否定するのはやめよう

現地時間の昨日(5月13日)、米ワシンントン・ポスト紙に、「Long COVIDのリスクを無視するのはやめるべきだ」というオピニオン記事が掲載されました(下図) [1]。筆者はペンシルバニア大学のエゼキエル・J・エマニュエル(Ezekiel J. Emanuel)教授です。…

オミクロンの重症化率、致死率は従来の変異体と変わらない?

オミクロン変異体はこれまでのSARS-CoV-2変異体と同様に重症化度が高い、とする研究成果を、5月6日付けのロイター記事が紹介しました [1]。この研究は、米国マサチューセッツ総合病院、ミネルバ大学、ハーバード大学医学部の共同研究グループによるもので、…

重症者が増えなければよいという方針で死亡者増

今年の大型連休(GW)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策についてまん延防止措置などの行動制限の規制が全くない状況です。これに関して、昨日の民放の番組「池上彰のニュース解説」で、昨年の同時期に比べてはるかに感染者数が多いのに、なぜ行…

迅速抗原検査はオミクロン検出の感度が低い

はじめに SARS-CoV-2の検査は、現在、プローブ・リアルタイムPCR(RT-PCR)が標準法として使われています。一方、発症者を迅速に診断したり、感染をスクリーニングするための迅速(簡易)抗原検査(rapid antigen test, RAT)も多用されており、一部の国では…

治っていないコロナの病気を後遺症とよぶべきでない

2022.04.22: 18:24更新 今朝、日本経済新聞のウェブ版に目を通していたら、オミクロン変異体によるCOVID-19後遺症が若年層ほど重く 仕事と治療の両立の課題があることが記事になっていました [1]。そして、ツイッター上に、コロナ後遺症専門外来のあるヒラハ…

SARS-CoV-2の消化器感染とLong COVID

はじめに 今日(4月18日)、米カリフォルニア州スタンフォード大学の医学ニュースを見ていたら、「軽症のCOVID-19患者は、ふん便中に長期間ウイルスRNAを排出する」という記事 [1] が目にとまりました。どうやら、この長期間のウイルス保持が long COVID(長…

相変わらずの貧弱なPCR検査態勢

COVID-19パンデミックにおいて防疫対策の基本の一つにになるのが検査です。今はマルチプレックス TaqMan PCR(プローブRT-PCR)という非常に高精度、高感度の分子技法が、SARS-CoV-2を検出する標準検査法として世界的に用いられています。検査の意義は以前の…