Dr. Tairaのブログ

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ワクチンmRNAと抗原タンパクは2ヶ月間体内で持続する

はじめにーTVでのワクチン副作用特集

今朝(2月21日)のNHKあさイチ」では、COVID-19ワクチンの副作用(副反応)を特集していました。mRNAワクチン接種後の心筋炎、心膜炎が話題として出てきました。しかし、もうこれはれっきとした病気なので、これを副反応というのも何か変です。日本では当たり前のように使っていますが、副反応って何?という感じですね。

英語では"side effects"(副作用)という一語でまとめられていますが、日本ではわざわざワクチン用に副反応という言葉を設けたところに、何やら怪しさを感じます。副反応と分けて言う合理性はまったくないです。

すでに、ファイザー社「コミナティ筋注」の添付文書も改訂されていて、「重大な副反応」として心筋炎・心膜炎が追加されています。

番組では心筋炎や心膜炎などの重大な副作用を紹介した上で、複数の専門家による見解を紹介していました。基本的には、副作用はあるけれども、ワクチンを推奨するという立場での紹介であり、オミクロン変異体に対するブースター接種の有効性も強調されていました。

要約すれば、「ワクチンでも心筋炎などの副反応はあるが、ワクチン未接種でコロナ感染すれば重症化リスクが高くなる。ワクチン接種のベネフィットが上回るので、3回目のブースター接種が推奨される」というものです。

印象的だったのが、Q&Aのコーナーで、ワクチン接種後の体調不良が「原因不明」とされたときにも救済制度に申請できるかという問いです。答えは、有害事象の因果関係がわからなくても申請できるということでしたが、申請後「審査に半年から1年くらいかかるが一概には言えない」という内容で、ほぼ救済されないというニュアンスを受けました。これがいまのワクチンの副作用・有害事象に対する国(厚生労働省)の姿勢でしょう。

しかし、街頭インタビューで紹介されていましたが、mRNAワクチンにこのような副作用があることを知らない人がいることには驚きました。

2. mRNAワクチンの問題

今回のワクチン特集の放送もそうですが、ワクチンのことになると、日本の医療専門家や免疫の専門家が一貫して、中和抗体の出来具合に特化して話を展開していることが気になります。もちろんそれが目的でワクチンを接種するので当然なのですが、抗原となるタンパクやワクチンmRNAそのものの消長については、まったく関心がないのかと思う程、聞いたことがありません。ワクチンの副作用や負の影響で考えれば、それが圧倒的に重要であるにも関わらず、です。

ワクチンと一口に言われていますが、いま日本を含めて世界ではファイザーやモデルナ製のmRNAワクチンが主流です。このワクチンの最大の問題は、「遺伝子ワクチン」としての安全性に関するチェックが規制当局によってスルーされたまま、緊急使用許可され、世界中で大量接種が始まったということです。

少し具体的に言えば、いまのワクチン自体が抗原になるわけではなく、スパイクタンパクをコードするmRNAを脂質ナノ粒子(LNP)の中に入れたものを筋肉注射し、体内で抗原(ワクチン本体)を作らせるというものです。mRNAからタンパクへの翻訳活性は個人差がありますから、当然生成される抗原量も持続性も異なってくることが予想されます。

しかし、どのくらいのタンパク抗原(スパイク)ができるのか、できた後にどうなるのか、元のmRNAはどの程度体内に残るのか、タンパク合成細胞は自己免疫(細胞性免疫)の標的とならないのか、などの情報はほとんどないままに、「すぐに消える」というまったく根拠のない専門家の説明のままのワクチン推進が始まりました。この安全性をスルーした点が第一の問題です。mRNAワクチン開発の先駆者である R. マローン博士は、この観点からmRNAワクチンを批判し続けています(→核酸ワクチンへの疑問ーマローン博士の主張を考える)。

このワクチンにはmRNAの安定性を増すために修飾ウリジンが使われていますが(→mRNAワクチンを受けた人から抗原タンパクと抗体を検出)、安定的に効率よく翻訳活性を促すという一方で、体内での長時間の持続性という、言わば負の面も予想されるわけです。修飾ウリジンワクチンは、成功すればノーベル賞級の業績ですが、失敗の烙印を押されかねない可能性もこの先あるのです。

第二の問題は、ワクチン推進側からのmRNAワクチンへの過度の期待が、結果として国民を欺く結果になってしまったことです。すなわち、個人レベルでの発症や重症化を防ぐというワクチン接種の目的が、いつの間にか、感染そのものを予防する(→mRNAワクチンの感染予防効果)、他人にうつさない、パンデミックを終息させるゲームチェンジャーになるというように飛躍した説明なされるようになり、副作用が明らかになってきた時点においても、ひたすら接種のベネフィットが強調されてきました(→COVID-19ワクチンとブレイクスルー感染:情報リテラシーが問われる)。多くの市民が誤解したまま、ワクチン接種を受けたことでしょう。

しかし、次々と免疫回避変異ウイルスが現れ、mRNAワクチンがゲームチェンジャーになるという期待は、もろくも崩れ去りました。当初、医療専門家からは、完全接種すれば流行が終わる風の説明がなされていましたが、意味をなさなくなりました。ワクチン免疫の賞味期限は意外と早く、ブレイクスルー感染が次々と起こることがわかりました。スパイクに特化した遺伝子ワクチンは有効性が制限されることや、集団からSARS-CoV-2を根絶することは難しいことは当初から指摘されていました(COVID-19ワクチン:免疫の活性化と課題)。ワクチン推しの声は、いつの間にか、ブースター接種の効果と打ち続けることの効果を強調する方向へ移っています。

上記の第一の問題については、今年の1月に、セル(Cell)誌に衝撃の論文が掲載されました [1]。ワクチンmRNAと作られたタンパク抗原が2ヶ月間にわたって、リンパ節の胚中心(GC)で持続するというのです。このような情報が今まで公開されなかったことについて、R. マローン博士は、犯罪的とも言えるという強い口調で憤りを示しました [2]

私もマローン博士の話を引用したツイートをまた引用する形で、先日、以下のようにツイートしました。

2. セル論文

今回のセル論文 [1] の主旨は、この論文の冒頭でも書かれているとおり「SARS-CoV-2に対するヒトの抗体反応はワクチン接種と自然感染で異なり、mRNAワクチン接種はより生産的なリンパ節GC反応を引き起こし、いくつかのワクチンタイプはより広範囲のウイルス変異体を認識するIgG抗体を刺激する」というものです。ハイライトとして以下の4点が述べられています。

●ワクチン接種により、自然感染に比べて変異型RBDに対するIgG結合の幅が広がる

●最初の抗原曝露による刷り込み(immune impriting)が、ウイルス変異体に対するIgG反応を変化させる

●mRNAワクチン接種者のリンパ節の組織学的特徴として、GCが豊富に存在する。

●ワクチンmRNAとスパイク抗原は、リンパ節GCで数週間持続する

アブストラクト(全翻訳)は以下のとおりです。

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SARS-CoV-2のパンデミックでは、新旧のワクチン戦略が世界的に展開された。我々は,3回目の接種を含むmRNAワクチン(BNT162b2)により誘発された抗体が、自然感染やアデノウイルスワクチン(ChAdOx1-S,Gam-COVID-Vac)、不活化ウイルスワクチン(BBIBP-CorV)により生じた抗体と異なるかどうかを検討した。すなわち、自然感染またはmRNAワクチン接種後のヒトリンパ節を分析し,血清学的な違いの相関を調べた。ウイルス変異体に対する抗体の幅は、評価したすべてのワクチンと比較して、感染後は低いが、数カ月で改善した。ウイルス変異体感染により変異体特異的な抗体が得られるが、事前のmRNAワクチン接種により、変異体抗原ではなくWuhan-Hu-1に対する血清反応が刻み込まれる。mRNAワクチンを接種すると、自然感染時にリンパ節の胚中心(GC)が破壊されるのとは対照的に、ワクチンmRNAとスパイク抗原を含む強固なGCが、接種後8週間まで誘発される場合がある。SARS-CoV-2抗体の特異性、幅、成熟は、ワクチン接種と比較して、感染時の曝露履歴と異なる組織学的および抗原的文脈による刷り込みによって影響を受ける。

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この論文の前までは、ワクチン接種後の当該mRNAやスパイク抗原、SARS-CoV-2感染後のウイルス抗原の生体内分布、量、持続性は十分にわかっていませんでした。しかし、免疫反応の主要な決定要因になると思われることから、これらの情報はきわめて重要です。

ファイザーの薬物動態に関する動物実験(→mRNAワクチンへの疑念ー脂質ナノ粒子が卵巣に蓄積?)や、mRNAからの抗原タンパクを追跡したOgataらの論文(→mRNAワクチンを受けた人から抗原タンパクと抗体を検出)は、この重要性を示唆していました。さらに、半年前の先行論文の一つは、リンパ節GCにmRNAワクチン接種15週後も抗原タンパク質に反応するBリンパ球が残っていることを報告しており、ワクチンmRNAと生産されたタンパク質の持続性を示唆していました [3]

ここでは、セル論文に書かれたワクチンmRNAと抗原タンパクの消長について、適宜論文を翻訳しながら以下に示します。

研究チームは、mRNA-1273またはBNT162b2ワクチンを接種した後の7-60日目に採取した同側腋窩リンパ節(LN)のコア針生検で、コントロールおよびワクチンmRNA特異的RNAScopeプローブを用いた in situ ハイブリダイゼーションを行ない、その消長と局在性を調べました。

その結果、接種後7、16、37日目のLNのGCにワクチンmRNAを検出し、60日目にはシグナル量が下がったものの、依然として有意な特異的ハイブリ反応が認められました(図1中央)。また、GCの外には、ごくまれにワクチンmRNAの痕が見られただけでした。一方、ワクチン未接種者(n=3)の腋窩LNコア針生検とCOVID-19患者検体は、ワクチンmRNAプローブに対してシグナルはありませんでした。

mRNAワクチン接種患者のLNにおけるスパイク抗原の免疫組織化学的染色は個人差がありましたが、2回目の接種後16日目に、GCにおいて豊富なスパイクタンパク質を示し(図1右)、60日目になってもスパイク抗原は存在しました。

COVID-19患者のLNでは、スパイク抗原の量は低下しましたが、まれに陽性染色を示すGCがありました。COVID-19患者の気管支周囲LN二次および一次濾胞におけるN抗原の免疫組織化学染色は、7人中5人で陽性で、ヌクレオカプシド陽性濾胞の平均割合は25%以上でした。

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図1.リンパ節GCを対象とするmRNAプローブの in situ ハイブリダイゼーション(左, コントロール;中央, ワクチンプローブ)と抗原タンパクの免疫組織化学的染色(右) (文献 [1] より転載). 画像中、mRNAプローブ、抗原プローブと反応している部分は、それぞれ濃い赤紫色(左、中央)および茶色(右)のシグナルとして可視化.

BNT162b2投与後に生成されたスパイク抗原の少なくとも一部は、血液中に分布するようになります。初回注射の1〜2日後に採取した血漿から96%のワクチン接種者でスパイク抗原を検出し、抗原量は 174 pg/mLと高値に達しました。この初期時点でのワクチン接種者の血中スパイク抗原濃度の範囲は、急性感染症の研究で血漿中に報告されたスパイク抗原濃度の範囲(Ogata et al, 2020、mRNAワクチンを受けた人から抗原タンパクと抗体を検出)とほぼ重なりますが、少数の感染者ではng/mL台の高濃度でした。ワクチン接種後の遅い時点では,血中のスパイク抗原濃度は急速に低下しますが、初回接種から1週間後でも63%のワクチン接種者で血漿中にスパイクが検出されました。

おわりに

現在のmRNAワクチンは、COVID-19の致死率や重症化率を考えれば、高齢者や基礎疾患を有する人たちに対しては、明らかに接種のベネフィットがあると思われます。一方で、スパイクコードmRNAワクチンのほぼ全世代への予防接種は、個人的には失敗であったと考えています(→ワクチンとしてのスパイクの設計プログラムの可否)。

結局、各国政府がmRNAワクチンを緊急許可し、莫大なコストをかけて手に入れ、事前チェックされなかった遺伝子コードmRNA+LNPの安全性や影響に関して、いま正に国民全体で人体実験(大量治験)をやっているようなものです。従来のワクチンであれば、これを済ませた上での許可だったはずですが、パンデミックという緊急性とワクチン利権が微妙に絡み合って、実用と治験を同時並行で進めることになったと言えるでしょう。

今回のセル論文 [1] の内容がいま出版されたことについて、マローン博士が「犯罪的だ」と言っていることは、正にこの点です。パンデミック宣言から2年弱、ワクチン接種開始から1年経った今頃になって、ワクチンmRNAとスパイク抗原のリンパ節GC内2ヶ月滞留の情報が出てくるなんて、どう考えてもおかしいです。実用化前にそんなことはチェックしておくべきで、その情報の公開の上で、あるいは修正の上で、接種プログラムを進めるべきでした。接種したmRNAはすぐに消失すると言っていた厚労省、専門家、医者はすべて嘘つきになってしまいました。

今回のセル論文は、完全接種者において(血中ではないですが)リンパ節胚中心に長期間mRNAと抗原タンパクが自足するというものです。これまで予想された以上に、ワクチンmRNAと抗原タンパクが体内で持続することは、ワクチンの副作用を考える上で非常に重要です。タンパク合成工場への細胞性免疫による攻撃生成したスパイクタンパクの毒性という可能性から、ワクチンの短期的副作用を考える上でも、接種後少なくとも2ヶ月間は考慮しないといけないということになるでしょう。

さらに、スパイクコードmRNAワクチンの中長期的な負の影響をこれまで以上に精査していくべきでしょう。感染時のADE(抗体依存性免疫増強)免疫不全はもちろんのこと、自己免疫疾患制御性T細胞(Treg)がん化に及ぼす影響、(可能性は低いですが)宿主DNAの改変など考慮すべき課題はたくさんあります(→mRNAワクチンの潜在的悪影響を示唆するSeneffらの論文の意義mRNAワクチン接種は実験的遺伝子治療?)。

何しろ、人類史上初めて、緊急承認された特定遺伝子コードmRNAを大規模に健康体に打ちまくっているわけですから、真の科学的立場として、あらゆる負の影響の可能性を排除すべきではないのです。

引用文献

[1] Roltgen, K. et al.: Immune imprinting, breadth of variantrecognition, and germinal center responsein human SARS-CoV-2 infection and vaccination. Cell published online January 25, 2022. https://doi.org/10.1016/j.cell.2022.01.018

[2] Malone, R.: A Health Public Policy Nightmare. Who is Robert Malone. Feb.9, 2022. https://rwmalonemd.substack.com/p/a-health-public-policy-nightmare?r=ta0o1&utm_campaign=post&utm_medium=web&utm_source=url

[3] Turner, J. S. et al: SARS-CoV-2 mRNA vaccines induce persistent human germinal centre responses. Nature 596, 109-113 (2021). https://www.nature.com/articles/s41586-021-03738-2

引用したブログ記事

2021年7月29日 COVID-19ワクチンとブレイクスルー感染:情報リテラシーが問われる

2021年6月28日 mRNAワクチンへの疑念ー脂質ナノ粒子が卵巣に蓄積?

2021年6月9日 ワクチンとしてのスパイクの設計プログラムの可否

2021年6月4日 mRNAワクチン接種は実験的遺伝子治療?

2021年6月1日 mRNAワクチンの潜在的悪影響を示唆するSeneffらの論文の意義

2021年5月27日 mRNAワクチンを受けた人から抗原タンパクと抗体を検出

2021年 4月29日 COVID-19ワクチン:免疫の活性化と課題

2021年4月2日  mRNAワクチンの感染予防効果

                     

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年〜)