Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#COVID-19

オミクロン亜系統BA.5の拡大:再びマスクの推奨

はじめに 欧州ではこの春から減衰していたCOVID-19の流行が、6月から拡大しています。日本でも第7波の流行が始まろうとしています(→この夏の第7波?流行)。これらの流行の主体になろうとしているのがBA.5変異体です。これは、SARS-CoV-2のB.1.1.529系統、…

この夏の第7波?流行

このところ来る参院選の論戦が熱を帯びてきましたが、各政党の党首が掲げる公約にはコロナあるいはCOVID-19という言葉はほとんど出てきません。今は物価高で賃金も停滞のままですから、物価高対策に焦点が行くのは当然なのですが、それにしても国民の意識か…

SARS-CoV-2スパイクタンパク質のアミロイド形成能

はじめに SARS-CoV-2は、ホモ三量体の表面スパイクタンパク質(S-protein)を用いて、ヒト細胞の受容体(ACE2)に結合し、細胞内に侵入します。それゆえ、このウイルスのスパイクタンパクの機能や毒性は、パンデミックが始まって以来、多くの研究者の焦点と…

mRNAワクチンのブースター接種を中止すべき

はじめに 6月6日、日本ではCOVID-19ワクチンのブースター接種(3回目)が、全人口の約60%に達したことが報道されました [1]。ワクチンとは言いながら、実体は抗原となるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質を宿主細胞に作らせるように設計された修飾mRNA型生物製…

ノババックス・ワクチンでも心筋炎か

COVID-19ワクチンとして、mRNAワクチンに続いて組換えタンパクを用いるノババックス社のワクチンが、今年4月19日に薬事承認されています [1]。薬事承認申請したのは武田薬品工業株式会社です。各自治体ではすでに接種が始まっています。 ところが、6月4日(…

地域社会のマスク着用向上がコロナ感染を減少させる

はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の防御に、マスク着用が一定の効果があることは何となく理解されていると思いますが、実は学術論文レベルで見ると、「効果がある」というものと「効果はない」とする相反する報告がありました。最近、米国科学…

COVID-19対策に対する反省なき見解、誤謬、そして詭弁

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の専門家会議、アドバイザリーボード、分科会のメンバーの幾人かはメディア上でもお馴染みですが、その中の1人が押谷仁教授(東北大学大学院医学研究科)です。パンデミック下…

CDCの研究:COVID-19生存者の20%以上が長期症状を経験

米国疾病管理予防センター(CDC)は、最近、long Covid に関する大規模な研究の結果を発表しました [1]。Long Covid は、SARS-CoV-2の初感染後、急性症状の回復後に、数ヶ月またはそれ以上続く可能性のある一連の症状を表す用語です。ここでは仮に長期コロナ…

マスクをやめる、もちろん検査もしない?

日本では、ここにきて、にわかに脱マスク論が盛んになってきました。脱マスクに「メリハリをつけて」という言葉も添えられています。海外のように、マスク着用を義務化、時間が経ったら義務化を解除、というならメリハリのあるわかりやすい話ですが、日本は…

小児急性肝炎にSARS-CoV-2のスーパー抗原が関わる?

2022.05.16更新 先のブログで記事で、私は、いま世界的に注目されている原因不明の小児急性肝炎について新型コロナ感染(長期症状)との関係を考えるべきではないかという見解を示しました(→世界的な謎の小児肝炎はコロナ関連症状か)。以下のように、ツイ…

Long COVIDのリスクを否定するのはやめよう

現地時間の昨日(5月13日)、米ワシンントン・ポスト紙に、「Long COVIDのリスクを無視するのはやめるべきだ」というオピニオン記事が掲載されました(下図) [1]。筆者はペンシルバニア大学のエゼキエル・J・エマニュエル(Ezekiel J. Emanuel)教授です。…

腸内でなかなか消えないコロナウイルスの"ゴースト"

先月、本ブログで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の消化器感染とlong COVID(長期コロナ症)との関係を示唆する論文が出版されたこと、それをBloombergが取り上げたことを紹介しました(→SARS-CoV-2の消化器感染とLong COVID)。最近、この論文の内容を…

オミクロンの重症化率、致死率は従来の変異体と変わらない?

オミクロン変異体はこれまでのSARS-CoV-2変異体と同様に重症化度が高い、とする研究成果を、5月6日付けのロイター記事が紹介しました [1]。この研究は、米国マサチューセッツ総合病院、ミネルバ大学、ハーバード大学医学部の共同研究グループによるもので、…

世界的な謎の小児肝炎はコロナ関連症状か

私は、先月下旬、原因不明の小児肝炎が欧米諸国で症例報告されているという記事をYahooニュースで目にしました。それを見て直ぐにコロナ関連の症例ではないかと思い、次のようにツイートしました。残念ながら、ここで引用したYahooニュースはすでに削除され…

重症者が増えなければよいという方針で死亡者増

今年の大型連休(GW)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策についてまん延防止措置などの行動制限の規制が全くない状況です。これに関して、昨日の民放の番組「池上彰のニュース解説」で、昨年の同時期に比べてはるかに感染者数が多いのに、なぜ行…

迅速抗原検査はオミクロン検出の感度が低い

はじめに SARS-CoV-2の検査は、現在、プローブ・リアルタイムPCR(RT-PCR)が標準法として使われています。一方、発症者を迅速に診断したり、感染をスクリーニングするための迅速(簡易)抗原検査(rapid antigen test, RAT)も多用されており、一部の国では…

治っていないコロナの病気を後遺症とよぶべきでない

2022.04.22: 18:24更新 今朝、日本経済新聞のウェブ版に目を通していたら、オミクロン変異体によるCOVID-19後遺症が若年層ほど重く 仕事と治療の両立の課題があることが記事になっていました [1]。そして、ツイッター上に、コロナ後遺症専門外来のあるヒラハ…

SARS-CoV-2の消化器感染とLong COVID

はじめに 今日(4月18日)、米カリフォルニア州スタンフォード大学の医学ニュースを見ていたら、「軽症のCOVID-19患者は、ふん便中に長期間ウイルスRNAを排出する」という記事 [1] が目にとまりました。どうやら、この長期間のウイルス保持が long COVID(長…

相変わらずの貧弱なPCR検査態勢

COVID-19パンデミックにおいて防疫対策の基本の一つにになるのが検査です。今はマルチプレックス TaqMan PCR(プローブRT-PCR)という非常に高精度、高感度の分子技法が、SARS-CoV-2を検出する標準検査法として世界的に用いられています。検査の意義は以前の…

未来を変え続けるCOVID-19とwithコロナ戦略

日本はCOVID-19パンデミックの第7波流行に突入しています。一方で、このところ、テレビなどからきわめて楽観的な声も聞こえてきます。海外では全て規制解除しているとか、米国では誰もマスクをつけていないとか、withコロナの出口戦略をどうするとか、もう風…

オミクロン系統の新しい変異体

2022.04.05更新 COVID-19パンデミックは3年目に入りましたが、いまはオミクロン系統(関連ブログ記事→オミクロン変異体が意味するもの)のSARS-CoV-2変異体の流行が主体です。オミクロンは、日本で第4波流行をもたらしたアルファ変異体、第5波の原因であった…

コロナワクチンはLong COVID症状を起こす

はじめに 現行のCOVID-19ワクチンに副作用や接種後有害事象が多いことは、国内外でよく知られています。今年になって、この問題がより注目されるようになり、副作用(副反応)や有害事象の事例、考えられるメカニズム、およびその解明を促す論説やレターが次…

抗イディオタイプ抗体が悪さをする?

SARS-CoV-2感染症(COVID-19) のパンデミックが始まって以来、3年目になりましたが、依然としてその病態の理解はまだ不完全です。それはこの病気において、なぜ複数の臓器に影響が及ぶのか、ウイルス消失後においてもなぜ長期にわたって"Long COVID"症候群(…

遺伝子ワクチンを取り込んだ細胞は免疫系の攻撃標的になる

はじめに これまでのブログ記事で、私は、現行の遺伝子ワクチン(mRNAワクチン、アデノウイルスベクターワクチン)が失敗ではないかということを述べてきました(→ワクチンとしてのスパイクの設計プログラムの可否、核酸ワクチンへの疑問ーマローン博士の主…

短期間での重篤化・致死はオミクロンの特徴?–その2

はじめに 一昨日(3月15日)のブログで、オミクロン変異体による第6波流行においては、発症から短期間での重篤化や死亡が特徴であることを述べました。しかし、これはオミクロンの病態の特徴というよりも、mRNAワクチン接種の悪影響ではないかという個人的…

予測不能な病毒性をもつSARS-CoV-2の出現

はじめに ウイルスのゲノム(DNAまたはRNA)の変異はランダム変異であり、時間軸に対して一定の確率で起こっています。その変異は彼ら自身にとって良くも悪くもなく中立的ですが、そのなかで環境(宿主)に適応したものだけが生き残っていきます(自然選択説…

短期間での重篤化・致死はオミクロンの特徴?

オミクロン変異体による第6波流行において、いくつかの病態の特徴が示されています。その一つが、患者が肺炎を起こさず、短期間で重篤化し死亡する事例が多いことです。テレビで、ある医療専門家が、「あっという間に亡くなる」とコメントしていたことが耳に…

スピルオーバー:ヒトー野生動物間の新型コロナ感染

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年〜) カテゴリー:ウイルスの話 はじめに 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源については、コウモリやセンザンコウに類縁のウイルスが知られているものの [1](→SARS-CoV-2類似のコウモリウイルス発見の意義)、依…

ワクチン完全接種者は未接種者よりもコロナ死亡率が高い?

はじめに いま、テレビをはじめ主要メディアは、ロシアによるウクライナ侵略の報道で一色です。また、COVID-19の流行状況についても、日本のテレビはほぼ毎日報道していますが、新規陽性者数や重症者数、病床の状況などのリアルタイムでの流行状況が主体であ…

やはりワクチンmRNAは宿主細胞中でDNAに変換される

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年〜) 2022.03.09更新 はじめに もう2年近く前になりますが、私はCOVID-19ワクチンに対する期待と懸念を寄せるブログ記事を書きました(→集団免疫とワクチンーCOVID-19抑制へ向けての潮流)。期待はもちろんゲームチェン…