Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#Hestina

ゴマダラチョウとアカボシゴマダラの共存-4

私は今住む街に2年前(2017年)に引っ越してきて、この街では昨年アカボシゴマダラ Hestina assimilis を初めて目撃しました。それまでは、仕事のついでに東京都区内や神奈川県内の公園を訪れた時にチラホラ見る程度でした。そして、ゴマダラチョウ Hestina …

オオムラサキの生息域での越冬幼虫調査

前のページで、オオムラサキ Sasakia charonda の生息域におけるアカボシゴマダラ Hestina assimilis の侵入度について書きました。↓ オオムラサキの生息域でのアカボシゴマダラ これまでの調査結果は、オオムラサキの越冬幼虫が見られるエノキの根元にはア…

片付けられた越冬幼虫

今日また残念なことがありました。朝少し嫌な予感がしたので、雨の中でしたが定点観察をしている公園の一つに向かいました。 着いてビックリ、今月の初めまであった公園内のエノキの根元の下草と落ち葉が綺麗に除去されているではありませんか(写真1)。 写…

青葉の森公園の越冬幼虫

私は以前から気になっていることの一つとして、都道府県によってエノキ根元からのゴマダラチョウの越冬幼虫の検出頻度が極端に異なるということがあります。具体的に言えば、東京都よりも千葉県の方が検出率が格段に低いということが挙げられます。 それを象…

オオムラサキの生息域でのアカボシゴマダラ

2010年の月刊むし9月号ではアカボシゴマダラ Hestina assimilis の特集記事が掲載されました。その中で、東京都八王子市東部において3年間でアカボシゴマダラの幼虫の数がゴマダラチョウ Hestina japonica のそれを上回ったという報告がなされまし…

落ち葉とアカボシゴマダラの越冬幼虫

アカボシゴマダラの越冬幼虫はゴマダラチョウと同様に落ち葉の下で冬を越します。インターネット上の情報ではエノキの幹上で越冬することもあるとされていますが、私が知る限り幹上での越冬はきわめて少ないです。 今年の冬、これまで東京、千葉、埼玉でモニ…

緑色の越冬幼虫

ゴマダラチョウの越冬幼虫は一般に褐色がかった灰色あるいは紫色がかった灰色をしており、ベッドにしているエノキの落ち葉に対して保護色になっています。しかしながら時折モスグリーンの個体も落ち葉の下から出てきます。 今日は続けざまに多数のモスグリー…

幹上のアカボシゴマダラの越冬幼虫

今日はオオムラサキの越冬幼虫の探索に行きました。とは言っても訪れたところはすでに絶滅したとされている地域であり、数年前ボロボロの翅になったオオムラサキの成虫を目撃したことだけをよりどころにした探索です。 探索地域はいわゆる里山の環境であり、…

ゴマダラチョウ越冬幼虫の個性

先日、学生から「エノキの大木の根元からアカボシゴマダラの越冬幼虫を見つけた」と連絡が来ました。おお、それは貴重な情報だと思い、画像を送ってもらいました。しかしそれらをよく見たら、確かにアカボシによく似ていますがすべてゴマダラチョウでした。 …

マニアによる越冬幼虫の採集を考える

このブログでもう何度となく書いていますが、エノキの根元で越冬するオオムラサキやゴマダラチョウの幼虫の生態を調査する上において問題となるのが、自然風による落ち葉の飛散です。これはもうどうしようもありません。 今日は東京都西部の丘陵地に出向いて…

里見公園エリアの越冬幼虫

今日は千葉県市川市の里見公園と隣接するじゅん菜池緑地に調査に行きました。夏になるとアカボシゴマダラが多数発生するところです。このエリアには、エノキの成木だけでなく、若木がたくさんあり、アカボシゴマダラの生息を支えていると考えられます。 調査…

浜離宮のエノキと越冬幼虫

今日は、浜離宮恩賜庭園に行ってきました。東京都中央区の汐留駅の近くにある都立庭園であり、観光名所の一つになっています。東京湾から海水を取り入れ潮の干満で景色の変化を楽しむ庭園として江戸時代に造成されたものですが、今はうっそうとした樹木が茂…

今日のゴマダラチョウ幼虫

一昨日、エノキ幼木の幹上にアカボシゴマダラの越冬幼虫をいることをこのブログで紹介しましたが、昨日も幹上にアカボシの幼虫を見つけました(写真1)。その現場から立ち去る時に、すぐ近くにエノキの成木があるのを確認しました。その時は時間がなくてじっ…

今日のゴマダラチョウとアカボシゴマダラ

今日は国道沿いの里山に近い環境に生えているエノキと根元の Hesina 越冬幼虫の調査を行いました。大木は少なく、大きくても樹高10 mちょっとでした。多くは幼木と低木です。一般の車道や田んぼのあぜ道、車が通れない林道をチャリを漕ぎながら、延々と全6時…

砧公園のエノキと昆虫

砧公園は東京都世田谷区にある広い公園で、40ヘクタール近い面積を誇ります。エノキの大木がたくさんある公園として知られています。写真1に、園内のエノキ群を示します。 写真1 園内でどれほどエノキが幅を利かしているかと言えば、「えのきのトイレ」とい…

都区内公園のエノキ成木調査

カテゴリー:エノキ下の越冬幼虫の探索 東京都区内のいわゆる「近隣公園」の規模以上の公園においては、夏になるとアカボシゴマダラ Hestina assimilis とゴマダラチョウ Hestina japonica の成虫が混在して飛ぶ姿がよく見られます。個体数としてはアカボシ…

都市公園のゴマダラチョウ幼虫

このところ関東の都市公園におけるゴマダラチョウとアカボシゴマダラの越冬幼虫を集中的に探索していますが、今日もある公園を訪れました。この公園には数十本のエノキの成木と幼木があり、夏にはゴマダラチョウとアカボシゴマダラの両方の成虫が飛ぶのを見…

エノキ成木からのアカボシゴマダラの検出

カテゴリー:エノキ下の越冬幼虫の探索 アカボシゴマダラの越冬幼虫はゴマダラチョウのそれとは異なり、もっぱらエノキの幼木や低木の根元から検出されます。インターネット上の情報によれば、アカボシはエノキの成木からも検出されているようですが、私自身…

Hestina属幼虫の棲み分け

日本に生息する Heitina 属のチョウは、在来種のゴマダラチョウと外来種のアカボシゴマダラの2種です。このブログでも何度も取り上げてきたように、後者は特定外来生物とされており、食草であるエノキをめぐって前者と競合する可能性が指摘されています。 し…

乾燥に強いHestina属越冬幼虫

Hestina 属のチョウ(ゴマダラチョウやアカボシゴマダラ)の幼虫は、エノキの根元の落葉の下に潜んで冬を越します。これらの幼虫を探し出すと、しっかりと落葉の裏にくっついて出てきます。ところが、稀に枯葉から剥がれて、裸の状態で出てくることもありま…

ゴマダラチョウとアカボシゴマダラの共存-3

前のブログ記事で、エノキの大木の根元にはゴマダラチョウの越冬幼虫が選択的に存在し、外来種アカボシゴマダラの幼虫はほとんど見つからないことを書きました。これまで樹高10 m以上のエノキの成木を数百本見てきましたが、出てくる幼虫は基本的にゴマダラ…

エノキの大木とゴマダラチョウ-2

私が最初にゴマダラチョウの幼虫を見たのは、小学校5年生のときでした。担任の先生に「ゴマダラチョウはエノキの根元にある落葉の下で幼虫態で越冬する」と教わってとても興味を抱き、実際に自然の幼虫を見てみたいと思いました。 その年の冬休みに担任の先…

本年初めのゴマダラチョウ

私は定期的に昆虫の定点観察を行なっています。カメラを片手にウロウロしている分にはそれほど怪しまれませんが、帽子を被り、顔にマスクをし、手袋をし、木の根元の落葉をゴソゴソかき分けながら幼虫探しをしている時にはかなり怪しい状態です。ほぼ2回に1…

ゴマダラチョウの受難-3

私が昆虫の定点観察をしている都市公園の一つとして、千葉県柏市しいの木台(旧昭南町)にあるしいの木公園があります。昆虫の観察といっても、この公園は近隣公園と街区公園の中間くらいの小さな公園(1.2 ha)で、ほとんどがスポーツなどのレクリエーショ…

特定外来生物としてのアカボシゴマダラを考える

このブログでも何度となく取り上げてきましたが、あらためてアカボシゴマダラ Hestina assimilis (図1)の特定外来生物としての妥当性を考えたいと思います。 本種は1990年代から関東において突如姿を現し、その後分布域を広げてきました。関東産は在来の奄…

エノキの伐採

私の住む街では、街のど真ん中に約300 mに亘ってとびとびにエノキが連なる貴重な緑地があります。5–20 mの中高木と1–2 mの幼木が混在する場所(写真1)で、ゴマダラチョウとアカボシゴマダラをいっしょに見ることができます。 写真1 しかしゴマダラチョウの…

落葉が風で飛ばされる

今日は快晴でしたが北風が強い日でした。少し風が気になって定点観察しているエノキの大木をチェックしに行きました。案の定不安が的中してしまいました。 写真1は一昨日落葉の下からゴマダラチョウの幼虫を見つけたエノキの根元です↓。 エノキの高木とゴマ…

落葉の下の3齢幼虫

今日は予定していた行事がキャンセルになったので、小雨の中でしたが朝からアカボシゴマダラの定点観察に出かけました。目的地は、樹高2 m以下のエノキの幼木がたくさん見られる公園および林に隣接する農道です。 すでに多くの幼虫が幹上から地面に降りてい…

エノキの高木とゴマダラチョウ

前のページでゴマダラチョウとアカボシゴマダラの棲み分けの可能性を指摘しました。すなわち、ゴマダラチョウの幼虫は食草であるエノキの中では高木を好み、かつ低幼木でも発生しているということがありますが、アカボシゴマダラの幼虫はもっぱら幼木に親和…

アカボシゴマダラの越冬型幼虫の非典型的個体

前のページでゴマダラチョウ、アカボシゴマダラ、オオムラサキの越冬型幼虫の形態に基づく識別法について記しました。↓ コムラサキ亜科チョウの越冬幼虫の見分け方 - Dr. Tairaのブログ 再度、3者の識別法を図1に示します。最も簡単なのは背中にある突起対…