Dr. Tairaのブログ

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エノキ成木からのアカボシゴマダラの検出

 
アカボシゴマダラの越冬幼虫はゴマダラチョウのそれとは異なり、もっぱらエノキの幼木や低木の根元から検出されます。インターネット上の情報によれば、アカボシはエノキの成木からも検出されているようですが、私自身はそれほど経験はありません
 
とはいえ、しつこく探索しているとエノキの成木からもちらほら見つかるようになってきました。前回ゴマダラチョウといっしょに樹高10 mのエノキから検出できたことを紹介しました(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16634924.html)。
 
今日、5 mほどの土塚の上にエノキがポツンと生えているのを見つけました(写真1)。その樹形から、多分伸びるたびに上部が伐採されてきたことが想像され、太い幹から小枝が放射状に伸びています。三角測量してみると樹高は約11.5 m でした。
 
イメージ 1
写真1
 
土塚に登ってみると、根っこの北側と西側の間に落ち葉が結構溜まっていました。「あ、これはゴマダラが出るかもしれない」と思って、割り箸で一枚一枚つまみながら幼虫をチェックしていきました。
 
すると、すぐに北側から幼虫が1頭出てきました。「あっ、いた」と思ったら意外にもアカボシでした。それから10分間、落ち葉をくまなくチェックしましたが、この1頭のみでした。
 
前回も書きましたがhttps://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16634924.html)、成木からアカボシの幼虫のみの検出となると私にとっては初めてのケースになり、エノキの選択性の考え方も少し修正しなければならないことになります。
 
どうしても納得いかないので、それからまた10分間探してみましたが、やはり幼虫は出てきません。あきらめかけていたところ、根の西側の奥に小さな「うろ」があり、そこに落ち葉が何枚か溜まっていることに気づきました。箸を伸ばして、それらを全部引き出してみたら、なんとゴマダラチョウが1頭出てきました。
 
写真2は両個体のツーショットです。並べてみるとゴマダラ(写真2左)とアカボシ(写真2右)は体型はもとより、色も異なることがわかります。
 
イメージ 2
写真2
 
写真を撮っている最中に、温度変化を感じたのかアカボシが動き始めました(写真3)。体力温存中なのに悪いことをしました。
 
イメージ 3
写真3
 
成木からアカボシゴマダラが検出されることはそれほど多くなく、検出される場合はゴマダラチョウと共存しているというこれまでの私見は、まだ修正しなくて済みそうです。