Dr. Tairaのブログ

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エノキに上るHestina越冬幼虫

この数日暖かい日が続き、アカボシゴマダラゴマダラチョウの越冬幼虫がすごい勢いで落ち葉からエノキの幹上に移動しています。オオムラサキでさえエノキの根元あたりの幹に這い出しているのを発見しました。
 
ところで、アカボシゴマダラは幹上でも越冬するので、春になったらゴマダラチョウよりも早くエノキの葉上に移動できる有利性があるとまことしやかに言われています。はたしてそうなのか、事実を見極めるためにさまざまなエノキの幼木、中低木、高木をいま観察中です。
 
一つ言えることは、アカボシゴマダラの越冬幼虫がエノキの幹上で冬を越すのは稀であるということです。したがって、アカボシゴマダラにおいて幹上での越冬の有利性を一般化することはできないと思われます。
 
であるとすれば、あとはゴマダラチョウよりも早く落ち葉から這い出し、幹上に移動するのかどうかということです。これについても現在までの観察データに基づけば懐疑的です。
 
私は現在、アカボシゴマダラとゴマダラチョウの越冬幼虫が共存するいくつかのエノキ低木において両者の動態を見ています。いずれのエノキにおいても、アカボシとゴマダラが幹上に上り始めたのはほぼ同じ時期です。
 
写真左はアカボシごとゴマダラがいっしょに幹上にとまっているところを撮ったものです。写真右のようにどちらなのか紛らわしい個体もいます。
 
イメージ 1
 
アカボシゴマダラでもゴマダラチョウでも、自分がすでに位置どりしているところに他の個体が近づいてくると、頭を振って近づくのを邪魔します。縄張り意識は相当なものです。これもアカボシゴマダラが強いということもありません。