Dr. Tairaのブログ

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今の時期のゴマダラチョウ幼虫

この時期、エノキの幼木上でアカボシゴマダラの幼虫がダイナミックな動きを見せている一方で、ゴマダラチョウの幼虫はどうでしょうか。アカボシゴマダラとは異なり大部分がエノキの大木の根元の陰にいるためより温度の変化を受けにくく、起眠する時期はやはり遅れるようです。
 
樹高10 m程度のエノキを中心にゴマダラチョウの幼虫を探ってみましたが、調べた範囲では幹上に上っている様子はほとんど見られませんでした。実際高木では探すのに苦労します。ハシゴをかけて木に上ったり、双眼鏡でくまなく探ったりで大変です。
 
一方で、アカボシゴマダラと共存している低木の中で日光の影響を受けやすい場合は、いっしょに幹上に上ってくることは前のページで述べたとおりです。↓
 
すでにエノキ低木の幹上に見られるゴマダラチョウの幼虫は盛んに動き回っています。枝分かれの二又の位置に静止していることが多いのですが(写真1、2)、毎日のようにその位置が変わります。

イメージ 1
写真1
 
イメージ 2
写真2
 
写真のエノキ低木はやや日当たりの悪い場所に生えているために、日中の温度変化は小さいと考えられます。ゴマダラチョウの幼虫とほぼ同数のアカボシゴマダラもいますが、5齢に脱皮した個体はまだ見られず、同じく二又の位置でジッとしています。
 
ゴマダラチョウの越冬幼虫はアカボシゴマダラのそれと比べて起眠温度が若干高いと言われています(すなわち起眠する時期がアカボシに比べて後にずれる)。とはいえ、両種ともエノキの大きさや日当たりの良し悪しで起眠から5齢への脱皮まで時間的影響を受けることは明らかなようです。