Dr. Tairaのブログ

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乾燥に強いHestina属越冬幼虫


Hestina 属のチョウ(ゴマダラチョウアカボシゴマダラ)の幼虫は、エノキの根元の落葉の下に潜んで冬を越します。これらの幼虫を探し出すと、しっかりと落葉の裏にくっついて出てきます。ところが、稀に枯葉から剥がれて、裸の状態で出てくることもあります。

写真1は、昨日調べたエノキの中木ですが、根元からゴマダラチョウの幼虫1頭が落葉から剥がれてカチカチになって出てきました。根元に落葉は残っていましたがすっかり乾燥しており、おまけに土砂置き場と道路に挟まれ、砂埃をかぶっていました。越冬する場所としては劣悪な環境だったようです。

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写真1

写真2は、裸で出てきた幼虫です。ちょっとピンボケしていますが、幼虫を落葉の上に乗せて撮りました。

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写真2

幼虫をそのままにしてその場を立ち去り、付近の調査を終えて2時間後に現場に戻ってきたら、やはりそのまま形で残っていました。葉っぱを手に取っても幼虫はポロっと落ちてしまいます。

すでに絶命しているのかも?と思いつつも、採取容器に入れて自宅に持ち帰り、エノキの枯葉をベッドにして霧吹きで水を噴霧し、庭の陰に置いておきました。

一晩経った今朝、容器の中を覗いてみたら、枯葉の上に置いておいた幼虫が見当たりません。うん?と思いつつ、枯葉をつまんでひっくり返して見たら、何としっかりと台座を作ってくっついていました。生きていたんですね!

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写真2

昔、オオムラサキの幼虫でも、ポロポロの裸の状態で見つけた経験が数回ありますが、いずれも絶命したことを記憶しています。それに比べると、アカボシゴマダラもそうですが、Hestina 属幼虫は乾燥や寒さに強いように思います。今回あらためてそれを感じました。