ゴマダラチョウの越冬幼虫は一般に褐色がかった灰色あるいは紫色がかった灰色をしており、ベッドにしているエノキの落ち葉に対して保護色になっています。しかしながら時折モスグリーンの個体も落ち葉の下から出てきます。
今日は続けざまに多数のモスグリーンの個体が一本のエノキの根元から出てきてちょっと驚きました(写真1右)
写真1
もともと葉上で越冬型になった直後は緑色をしていますが、地面に降りてくると落ち葉の色と次第に同化していくのが普通です。しかし2月中旬の時点でも緑がかっているとはどういうことでしょうか。
湿気や気温などの環境要因が影響することも考えられますが、一つのエノキの根元や一枚の落ち葉に褐色型と緑色型の個体がいっしょになっているところ(写真2)をみるとそう単純でもなさそうです。
写真2
これらの越冬幼虫の親が別個体であることは十分考えられますが、親の産卵時期や越冬型に変身した時期が異なったり、その後の体色変化に関する遺伝子発現や台座を作る落ち葉の色が影響して体色の違いになるということも想像できます。個性と言ってしまえばそれまでですが。
一般に、ゴマダラチョウの幼虫は9月にはもう越冬に向けての準備段階に入り、夏型に比べると(越冬型4齢に変身するまで)3齢の期間が長くなります。一方で、孵化と幼虫変態が遅くなった個体は10月に入って3齢になる場合もあり、その場合は当然3齢の期間が短くなります。
最近は地球温暖化の影響のためか紅葉の時期が遅れたり、紅葉しないまま落葉することが増えています。このような葉に台座を形成した越冬型幼虫は体色変化が遅れたり、不十分になったりすることも考えられます。