Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#Hestina

ゴマダラチョウの受難-2

街の中や郊外で動植物のフィールド調査を行なっていると、どうしても人為的な影響で調査を中断せざるを得ないことがしばしばです。私が行なっているエノキ上のHestina属チョウの幼虫動態調査はとくにそうです。人の手による木の伐採と落ち葉の除去が大きな負…

ゴマダラチョウの受難

カテゴリー:エノキ下の越冬幼虫の探索 今日は昨日に引き続きフィールド調査に行ってきました。アカボシゴマダラとゴマダラチョウの越冬型幼虫の分布調査です。 前のページでも述べましたが、これまでの調査データに基づけば両種の幼虫は棲み分けをしている…

公園から持ち去られたサナギ

今日は強行軍でしたが、千葉と東京の都市公園をハシゴしてアカボシゴマダラの幼虫の動態調査を行いました。調査したすべての公園でエノキの葉上から幼虫は完全に姿を消し、幹上の個体も半分以上は地面に移動していました。 12月4日、本ブログでアカボシゴマ…

アカボシの成虫は冬でもいる?

関東を中心に生息する外来種アカボシゴマダラは、少なくとも年3回発生すると言われています [1]。発生時期は5–10月です。しかし詳しいことはよくわかっていないようです。私は11月下旬まで成虫を目撃したことがありますので、年4回の発生というのもあり得る…

葉上からの幼虫の移動

この2、3日厳しい寒さが続いています。さすがにこの寒さに耐えかねたのか、これまでエノキの葉の上でがんばっていたアカボシゴマダラの幼虫が、すっかりいなくなりました。幹上の越冬型幼虫(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16596715.html)も多…

今日のアカボシゴマダラ

今日は、雑木林と畑が広がる里山風景の観察ポイントにアカボシゴマダラのフィールド調査に向かいました。 農道沿いにエノキの幼低木が並んでおり、10年程前からアカボシの発生が見られる場所です。以前はたくさんのエノキがあったのですが伐採が進み、今は5…

道を歩いていたら...

今日夕方街の中を歩いていて、小さな公園の前を通り過ぎようとしました。そしたら、公園の一角に生えている低木に緑の物体がくっついているのがサッと目に入りました。危うく通り過ぎるところでしたが、振り返って近づいてみると何とエノキの低木の幹にアカ…

糞をかけられても耐える幼虫

昨日に続き、今日もアカボシゴマダラの話題です。早朝、仕事の前に定点観察の場所に行ったら、エノキの葉上にいた越冬型幼虫が鳥に糞をかけられていました。 写真1が3日前(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16582310.html)、写真2が今日の写真で…

アカボシゴマダラの蛹

今日は東京都23区内の昆虫定点観察の公園をハシゴしながら観て回りました。まずは、5月にアカボシゴマダラ春型成虫の乱舞を目撃した公園の雑木林に行ってみました(写真1)。 写真1 ところどころ紅葉がきれいでした(写真2)。 写真2 今日は12月とは思えない…

越冬へ向けたアカボシゴマダラ幼虫

環境省は、移入種アカボシゴマダラ Hestina assimilis と在来種ゴマダラチョウHestina japonica が生活において競合する可能性があるとして、すでに前者を特定外来生物に指定しています。両者に競合があるかどうかの知見を得るためには、一つとして彼らの越…

ゴマダラチョウとアカボシゴマダラの共存-2

以前のページでゴマダラチョウとアカボシゴマダラの越冬型幼虫がいっしょにいる場面を紹介しました。↓ ゴマダラチョウとアカボシゴマダラの共存-1 同一属(genus Hestina)の両者がどの程度の頻度で共存しているのか、興味をもって探索を続けています。最大…

コムラサキ亜科チョウの越冬幼虫の見分け方

オオムラサキ、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラは、いずれも幼虫がエノキを食樹とするタテハチョウ科コムラサキ亜科のチョウです。成虫はそれぞれ特徴的な大きさや翅の模様があり、同定は容易です(図1)。 図1. オオムラサキ、ゴマダラチョウ、およびアカ…

アカボシの幼虫の群れ

海外からの移入種と推定されている関東のアカボシゴマダラ Hestina assimilis ですが、本ブログでも何度も取り上げているように、本年の1月に特定外来生物に指定されました。 この特定外来生物に指定には昆虫学者の強力なプッシュがあったと聞いています。同…

ゴマダラチョウとアカボシゴマダラの共存-1

11月に入って、朝早くからエノキの落ち葉の下の幼虫の観察を行っています。単独の落ち葉だけではなく、小枝ごと落ちているものもたくさんあります。大小二つのピンセットや菜箸を使い分けながら一つ一つ観ていくのですが、けっこう時間がかかります。 しかし…

ゴマダラチョウの幼虫

ゴマダラチョウ Hestina japonica はタテハチョウ科の在来種であり、種形容名の"japonica"にそれが現れています。昔はよく飛翔する姿を見たものですが、今ではすっかり個体数が少なくなってしまいました。 私は、ゴマダラチョウと同じくエノキの葉を食草とす…

アカボシゴマダラの産卵

早朝からアカボシゴマダラの観察定点の公園に行ってきました。今日で市による植栽の剪定・エノキ等の伐採が終了予定なので、その前に最後の観察を行うためです。公園に到着すると、伐採予定区域の大部分がもう作業が終了しており、わずかを残すのみになって…

晩秋のアカボシゴマダラの幼虫-3

タイトルに晩秋とありますが、今日は立冬です。 どうやらこの時期を前後して、アカボシゴマダラの幼虫の葉上からの引っ越しが盛んになるようです。前のページで、褐色化した越冬型幼虫がエノキの葉の上からいなくなったことを述べましたが、今日も移動した跡…

晩秋のアカボシゴマダラの幼虫-2

前のページで、エノキの幼木に生息するアカボシゴマダラの幼虫について紹介しました。今朝、調査対象の一つである3 mの樹高のエノキをチェックしてみたら、褐色型幼虫の一つがいなくなっていました。 写真1が、昨日枯れかけている葉上に保護色状態でいた褐色…

晩秋のアカボシゴマダラの幼虫

アカボシゴマダラ Hestina assimilis は、国内では奄美大島と関東地方に生息するタテハチョウ科のチョウですが、関東に生息するものは中国からの人為的移入個体が広がったものと推察されています。そのため、今年から特定外来生物の指定を受けており、この理…

拾ったアカボシゴマダラ

今年の夏は、千葉県内のいろいろな場所でアカボシゴマダラ Hestina assimilis の姿を見る機会が多くありました。以下にこれまでの関連記事を掲げます。 アカボシゴマダラの乱舞 - Dr. Tairaのブログ アカボシゴマダラの目撃 - Dr. Tairaのブログ 保護したア…

眠りにつくアカボシゴマダラ

夕方17時半頃、買い物の帰りに近くの公園のエノキの木をながめてみました。よくアカボシゴマダラが飛んでいる成木で、眠りにつく個体がとまっているかもしれないという期待からです。案の定、1頭だけですが見つかりました。 写真1はデジカメ、写真2はスマー…

アカボシゴマダラの乱舞

特定外来生物であるアカボシゴマダラ Hestina assimilis の目撃については、以前にも紹介しました。今日、千葉県船橋市内の農業体験のイベントに参加してきましたが、その会場周辺の雑木林や農道でアカボシゴマダラの大発生に遭遇し、農業体験の傍ら、観察を…

エノキの観察

エノキ Celtis sinensis は、ニレ科(→アサ科)エノキ属の落葉高木であり、その葉はタテハチョウ科のオオムラサキ、ゴマダラチョウ、ヒオドシチョウやテングチョウなどの幼虫の食草でもあります。 今日は、福岡県筑後平野に見られるいくつかのエノキの定点観…

ゴマダラチョウの減少

ゴマダラチョウ Hestina japonica は、タテハチョウ科に分類されるチョウの1種です。日本を含む東アジアに分布するチョウであり、国内でも北海道の南部から九州までほぼ全域に生息しています。幼虫の食草はエノキの葉です。 ゴマダラチョウは、私が小学生の…

アカボシゴマダラの目撃

柏市郊外を歩いていたら、二カ所でアカボシゴマダラを目撃しました。一カ所は高いエノキの木の上を悠然と飛んでいてとてもカメラに収められませんでした。類縁種のゴマダラチョウよりもゆったりとユラユラしながら飛ぶ感じですが、飛び方は似ています。 もう…

保護したアカボシゴマダラ

アカボシゴマダラを保護してから1週間が経ちました。日に日に翅がちぎれ、片翅がほとんどない状態になっていますが、まだ元気で死ぬまでもう少し時間がかかりそうです(図1)。 口吻を観察するために、5%甜菜糖(てんさいとう)溶液を、キッチンペーパーに浸…

今日出会ったタテハ-アカボシゴマダラ

今日は家から出かけて最寄りの駅に行くまでの10分くらいの間に、立て続けにタテハチョウ科のチョウ4種に遭遇しました。 まず玄関から出た瞬間に、家の庭の芝生の上にアカボシゴマダラHestina assimilisがバタついているのを見つけました。初めてのことでちょ…