Dr. Tairaのブログ

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コムラサキ亜科チョウの越冬幼虫の見分け方

オオムラサキゴマダラチョウアカボシゴマダラは、いずれも幼虫がエノキを食樹とするタテハチョウ科コムラサキ亜科のチョウです。成虫はそれぞれ特徴的な大きさや翅の模様があり、同定は容易です(図1)。

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図1. オオムラサキゴマダラチョウ、およびアカボシゴマダラの成虫標本
 
一方、3者の幼虫は形態的にきわめて類似しており、慣れていないと個体を単独で見ただけではそれほど同定は容易ではありません。とくに越冬型の幼虫は同定がよりむずかしくなります。ただ、この3者の生息環境はかなり異なるので3種がいっしょに見つかることはあまりないです。どの地域のどのようなエノキで見つかったかという情報と幼虫の形態的特徴を合わせて考えれば、何の幼虫かは推定することはできます。
 
図2に3者の越冬型幼虫(越冬型4齢)の一般的な特徴を示します。これらの幼虫の背中には対になった突起が並んでいます。この突起が4列になって見られるのがオオムラサキとアカボシゴマダラであり、3列になっているのがゴマダラチョウです。ただ、2列目の突起の大きさは個体によって大きく異なり、4列に近いゴマダラチョウも見られます。
 
もう一つの特徴は、尾部突起が開いているのがオオムラサキゴマダラチョウであり、閉じているのがアカボシゴマダラです。
 

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図2. オオムラサキゴマダラチョウ、およびアカボシゴマダラの越冬型幼虫の形態的特徴
 
実際の3種の越冬幼虫の写真を図3に示します。

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図3. オオムラサキゴマダラチョウ、およびアカボシゴマダラの越冬型幼虫の写真
 
図2、3は典型的な越冬幼虫を示していますが、個体によってさまざまな形態的変化があります。たとえば、ゴマダラチョウでも尾部突起が閉じている個体が見られますし、アカボシゴマダラにおいては尾部突起が開いているものもいます。これらの非典型的形態については別のページで紹介したいと思います。