同一属(genus Hestina)の両者がどの程度の頻度で共存しているのか、興味をもって探索を続けています。最大の理由はアカボシゴマダラがゴマダラチョウに対して競合的ということで特定外来生物に指定されたことです。しかしその証拠を示す論文は私が検索した限りはありません。であるなら、本当に競合的か、両者がいっしょにいる現場をこの目で見る必要があります。
今日訪れたポイントでもいっしょにいるところが見つかりました。エノキの低木(樹高1–5 m)がたくさんある場所の落ち葉をまさぐりながら、枯葉がついた一つの小枝を拾い上げました。裏返ししてみると何とアカボシが4頭(写真1右、1頭は写真フレーム外)とゴマダラチョウ(写真1左下)が1頭くっついていました。一つのエノキから降りてきたのでしょうか。
このように、エノキ低木においてゴマダラチョウとアカボシゴマダラがいっしょに見つかることは非常に稀です。エノキ高木の根元でもそれは言えます。すなわち、両者は高木と低幼木で棲み分けしているのが普通です。
隣のエノキ低木の落ち葉からは緑色のアカボシの越冬型幼虫も見つかりました(写真2)。幹から降りてきた直後なのでしょう。直上の主幹にはアカボシの幼虫が4頭くっついていました。
写真2
しかし、周辺の雑木林も伐採が進んでいて、切り開かれている途中です。ここにいる幼虫たちもこれが見納めかもしれません。とくに少数派のゴマダラチョウには壊滅的でしょう。
今日もアカボシゴマダラとゴマダラチョウがいっしょにいるところが見つかりましたが、競合的というにはあまりにも例が少なすぎます。逆に競合的とは言えないというのが現在までのところでしょう。両者がいっしょにいる率はどの程度なのか、その把握のために探索を続けていきます。