11月に入って、朝早くからエノキの落ち葉の下の幼虫の観察を行っています。単独の落ち葉だけではなく、小枝ごと落ちているものもたくさんあります。大小二つのピンセットや菜箸を使い分けながら一つ一つ観ていくのですが、けっこう時間がかかります。
しかし収穫もあります。一つの幼木の小枝についた複数の枯れ葉を観ていたら、アカボシゴマダラとゴマダラチョウの幼虫が同時に見つかったのです。このようなことは滅多にありません。
写真1は、その枝の枯れ葉の一つに包まったアカボシゴマダラの越冬型幼虫です。
写真1
そして、横の枯れ葉の中にはゴマダラチョウがいました(写真2)。
写真2
朝陽の中で観ていたら、ゴマダラの幼虫が這い出してきました(写真3)。
写真3
この後、完全に枯れ葉の中から出てしまいました。お休みのところをビックリさせて悪いことをしました。越冬中での幼虫自身の移動はよくあることですが、このように探索中に起眠させてしまうことは余計なエネルギー消耗になり、死亡率を高めてしまいますので避けたいものです(自戒を込めて)。
アカボシゴマダラは特定外来生物に指定されていますが、その主な理由の一つとしてゴマダラチョウに対して競合的であるということが示されています。しかし、私個人は両種の幼虫が食草を奪い合っているというところを見たことはありません。
上記のように、エノキ幼木からゴマダラチョウとアカボシゴマダラがいっしょに見つかることはきわめて稀です。食草をめぐっては、エノキ高木と低幼木という選択性を異にしながら両種は共存しているというのがこれまでの印象です。
カテゴリー:Hestina属チョウとオオムラサキ
カテゴリー:エノキ下の越冬幼虫の探索