Dr. Tairaのブログ

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エノキの観察

 エノキ Celtis sinensis は、ニレ科(→アサ科)エノキ属の落葉高木であり、その葉はタテハチョウ科のオオムラサキゴマダラチョウヒオドシチョウテングチョウなどの幼虫の食草でもあります。
 
今日は、福岡県筑後平野に見られるいくつかのエノキの定点観察(11カ所)を行ないました。目的は、時期的にちょっと悪いですが、ゴマダラチョウとヒオドシチョウの分布を見るためです。いずれも昔は、両種のチョウ(成虫)を確認したポイントで、この30年間で急激に見られなくなっているところです。
 
写真1は、樹高7–20 mくらいの複数の成木があるところですが、周囲に高さ2–3 mの低木もあり、これらを中心に幼虫も探しました。
 
イメージ 1
写真1
 
写真2は別のポイントで、クリーク沿いに樹高3–20 mのエノキがまとまってあるところです。成虫とともに高さ0.7–2 mの範囲にある下枝について幼虫も探しました。
 
イメージ 2
 
結論から言うと、今年も11カ所すべてにおいて、成虫、幼虫ともまったく発見できませんでした。6月に観察した時も同じでした。もう10年以上も前から見られません。どうやらこの地域ではいなくなってしまったかもしれません。発生には時期も影響するので、さらに探索を続けたいと思います。
 
                     
カテゴリー:植物の観察