Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

保護したアカボシゴマダラ

 アカボシゴマダラを保護してから1週間が経ちました。日に日に翅がちぎれ、片翅がほとんどない状態になっていますが、まだ元気で死ぬまでもう少し時間がかかりそうです(図1)。
 
口吻を観察するために、5%甜菜糖(てんさいとう)溶液を、キッチンペーパーに浸み込ませて与えています。
 
イメージ 1
図1. 日に日に翅が落ちていくアカボシゴマダラ
 
チョウの口は細長い管状になっており、口吻(こうふん)あるいは吸収管と呼ばれています。これは顎が進化したものです。
 
よく知られているように、口吻は普段はゼンマイのようにぐるぐる巻きになって折りたたまれていますが、蜜を吸うときにストロー状に伸ばします。伸ばしたときに口吻が屈曲しますが、この曲がる場所は決まっていて、屈折点と呼ばれます。

アカボシゴマダラの口吻は黄色で、2カ所で曲がることがわかりました(図2)。類縁種のゴマダラチョウとそっくりです。
 
イメージ 2
図2. 甜菜糖溶液を吸うアカボシゴマダラの口吻
 
外来種であるアカボシゴマダラは、在来種で競合するゴマダラチョウなどへの影響が危惧されるので、捕獲・駆除対象種で野外に離すことができません。もっとも、上記の個体はもはや飛べないので、離したとしてもすぐに死んでしまうでしょう。このまま見守りたいと思います。