Dr. Tairaのブログ

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アカボシゴマダラの越冬型幼虫の非典型的個体

 前のページでゴマダラチョウアカボシゴマダラ、オオムラサキの越冬型幼虫の形態に基づく識別法について記しました。↓
 
再度、3者の識別法を図1に示します。最も簡単なのは背中にある突起対の数を見ることです。原則、ゴマダラチョウは背中の突起が3列なのに対して、アカボシゴマダラは4列です。また、尾部の突起が開いているのがゴマダラチョウ、閉じているのがアカボシゴマダラです。
 

f:id:rplroseus:20200306114733j:plain図1. オオムラサキゴマダラチョウ、アカボシゴマダラの越冬型幼虫の形態による識別

 
 ところが、中には上記の型に当てはまらない非典型的個体もしばしば見受けられます。写真1右は尾状突起が開いたアカボシゴマダラの幼虫です。背中の4列の突起でアカボシとわかりますが、少し太った体型もあってゴマダラチョウ見間違うほどです。写真1左の典型的なアカボシと比べるとその違いがわかります。
 
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写真1
 
今日エノキの下の落ち葉から見つけた個体は、背中の突起が3列しかない非典型個体でした(写真2)。
 
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写真2
 
図2に典型的なゴマダラチョウ(A)とアカボシゴマダラ(C)、それに今日見つかった中間型とも言える個体を示します。両種の幼虫に目が慣れていないと、このような非典型的な幼虫が出てきた場合には、同定がむずかしいかもしれません。
 
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図2. ゴマダラチョウ(A)およびアカボシゴマダラ(C)の越冬型幼虫とその中間型アカボシゴマダラの幼虫
 
図2のようにゴマダラチョウとアカボシゴマダラの越冬幼虫を並べてみると分かりますが、両者では体色が違います。ゴマダラチョウの体色には灰色、ピンクがかった灰色、茶色、モスグリーンなどバリエーションが見られますが、アカボシゴマダラの場合はほとんどがモスグリーンです。このような体色も見分けるヒントになります。