Dr. Tairaのブログ

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アカボシゴマダラの乱舞

 特定外来生物であるアカボシゴマダラ Hestina assimilis の目撃については、以前にも紹介しました。今日、千葉県船橋市内の農業体験のイベントに参加してきましたが、その会場周辺の雑木林や農道でアカボシゴマダラの大発生に遭遇し、農業体験の傍ら、観察を行いました。
 
とにかく、1 km四方くらいのエリア内に点在する雑木林で、数え切れないくらいのアカボシゴマダラが乱舞していて、次々と写真や動画に収めることができました。ほかのチョウもたくさんいましたが、圧倒的にアカボシの個体数が優っていました。種類別の個体数や目撃回数の順序はおおまかに以下のとおりです。
 
アカボシゴマダラ>ナミアゲハナガサキアゲハ>アオスジアゲハ>イチモンジセセリヤマトシジミ
 
そのほかに1、2回だけ目撃した種は以下のとおりです。
 
 
以下の写真1–6は、すべて異なるアカボシゴマダラの個体です。
 
雑木林の中で翅を広げて陽を浴びる個体(写真1)。
 
イメージ 1
写真1
 
エノキにとまる個体(写真2)。このあと、産卵行動に入りました。高さ1 mくらいです。
 
イメージ 3
写真2
 
2頭、隣り合って止まる個体(写真3)。どうも数頭で集まって静止する性質があるようです。これまで、群れながら止まるところを別の地域でも見ています。
 
イメージ 6
写真3
 
別の雑木林にいた、生まれたてと思われるきれいな個体(写真4)。
 
イメージ 5
写真4
 
農道脇に生えるエノキに産卵する個体(写真5)。高さは1.8 mくらいです。
 
イメージ 4
写真5
 
農道横の葉の上で静止する個体(写真6)。
 
イメージ 2
写真6
 
あまりにも数が多く、1 mくらいの低い位置の葉の上にひんぱんに止まるので、撮影と観察は容易でした。農業体験に参加の子供たちも興味深そうに寄ってきて、即席の昆虫学習、特定外来生物の授業となりました。
 
ちょっと気になったことは、産卵行動を行なっている個体が多かったことで、いずれも1–2 mにあるエノキの小枝の葉に止まっていました。もっとも高い位置で産卵されたら遠すぎて見えませんが。エノキ高木の上を舞っている個体も多いですが、どうやら従来の一説のように低木・幼木に好んで産卵するようです。
 
エノキの1–2 mの高さを中心に幼虫を探してみましたが、農業体験プログラムの傍らの限られた時間だったので、見つけることができませんでした。発生時期の間という時期的な関係もあるかもしれません。
 
これで、今年の夏、千葉県北西部のほとんどの市(流山市柏市松戸市鎌ケ谷市白井市印西市船橋市八千代市)で、アカボシゴマダラの成虫を目撃できたことになります。ちなみに、類縁の在来種であるゴマダラチョウ Hestina japonica の成虫は、いずれの定点観察のエリアでも目撃できませんでした。