Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#Hestina

アカボシゴマダラはどこで蛹になるのか

私はアカボシゴマダラについて以前から不思議に思っていることがあります。それは、1本のエノキ低木・幼木に多い時は10頭以上の幼虫が発生するにもかかわらず、春の発生においてはそれらのエノキに蛹がほとんど見当たらないことです。抜け殻があったとして…

アカボシゴマダラ vs ゴマダラチョウ-2

越冬明けのHestina 属幼虫はこの時期5齢への脱皮が進行している最中です。一部はすでに蛹になっています。まず、この時期のアカボシゴマダラの典型的な5齢幼虫を示します。 写真1は脱皮後10日を経過したアカボシ5齢幼虫です。 写真1 こちらは脱皮後2週間を経…

寄生蜂によるアカボシゴマダラ幼虫の死亡率

アカボシゴマダラの幼虫はゴマダラチョウと同様にヒメバチ類による寄生率が高く、成虫になる前に死亡することが多いようです。私も越冬幼虫がエノキの幹上で止まっている間に抜け殻になっている姿を何度となく見てきました。 4月も半ばを過ぎて大部分のアカ…

アカボシゴマダラとゴマダラチョウの越冬幼虫の脱皮

この時期続々とアカボシゴマダラの5齢幼虫が発生しています。4齢で越冬した幼虫が春の訪れとともに起眠し、若葉が出る頃に脱皮して5齢になるわけです。 脱皮したての5齢幼虫の体色はエノキの若葉に対して保護色になっておりかつ擬態化していますので見つける…

蛹化前のアカボシゴマダラ幼虫

定点観察をしているエノキ上のアカボシゴマダラの幼虫ですが、4月のこの時期6–7割が脱皮を終えました。最も早く5齢幼虫になったところではすでに蛹化への準備が始まっています。体長は40 mm近くになって背中の突起模様はほとんどなくなり(写真左)、食欲は…

Hestina種越冬幼虫の生残率

ゴマダラチョウやアカボシゴマダラの越冬幼虫の起眠率や生残率、そして成虫までたどり着ける確率はかなり低いと言われています。一説によれば羽化まで行けるのは10%くらいとも言われています。死亡する原因としては鳥などによる捕食、ハチ・ハエによる寄生、…

この時期のアカボシ幼虫の多形態

冬を越し起眠したアカボシゴマダラの幼虫ですが、この時期(4月上旬)さまざまな形態が見られます。 写真1左はエノキの幹上に上ってきてしばらく経った越冬型4齢幼虫です。落ち葉の下で15 mmほどの最小体長になった状態から徐々に大きくなり、脱皮直前の(頭…

冷たい雨に耐えるアカボシゴマダラ

今日は冷たい雨の日でした。普段はエノキ幼木の上を盛んに動き回っているアカボシゴマダラの5齢幼虫ですが、季節外れの寒さ到来でさすがにジッと動かずに耐えています。観察した個体のすべてに雨粒が乗っていました(写真1)。 写真1 昨日までの暖かさで一晩…

今の時期のゴマダラチョウ幼虫

この時期、エノキの幼木上でアカボシゴマダラの幼虫がダイナミックな動きを見せている一方で、ゴマダラチョウの幼虫はどうでしょうか。アカボシゴマダラとは異なり大部分がエノキの大木の根元の陰にいるためより温度の変化を受けにくく、起眠する時期はやは…

アカボシゴマダラ5齢幼虫の擬態

この時期(4月上旬)、越冬明けのアカボシゴマダラの幼虫は続々と5齢幼虫へと脱皮しています。そして幼虫を最も探しにくいのもこの時期です。幹上や落ち葉の下はとにかく探せば比較的容易に見つかります。夏の葉上の幼虫は食痕や台座をたよりに探すことがで…

アカボシゴマダラとゴマダラチョウの起眠における時間差

Hestina 属種幼虫をずうっと追いかけてきて、一般で常識化していることや何となく言われていることが、実はそうではないと思うことがたくさんあります。 その中の一つが先のページでも述べたように、「幹上で越冬するアカボシゴマダラ幼虫の優位性」です。す…

この時期のアカボシゴマダラ幼虫の動態

越冬から覚めたアカボシゴマダラ幼虫は、気温が上がり始めるこの時期にさまざまな動きを示します。まずは、半数の個体はまだエノキの低木・幼木の枝の二又の位置に止まっています(写真1)。体は落ち葉の下と比べてだいぶ大きくなっています。 写真1 一方で…

新芽を食べるアカボシゴマダラ幼虫

越冬から明けたアカボシゴマダラの幼虫はいま大部分がエノキの低木・幼木の幹上で若葉が出るのをジッと待っています。一方で、昨日今日と冷え込んだように、幹上に到達したもののこの寒さと乾燥に耐えきれずに脱落し消えていく個体も多数見られます。 今日は…

エノキ幹上から消える幼虫

越冬明けのアカボシゴマダラの幼虫はエノキ幹上にほぼ出揃ったようです。この3日間すべての定点で数が増えなくなりました。一方ゴマダラチョウの幼虫はまだ上り続けています。不思議なのは幹上に上って位置どりしていたこれらの幼虫がある日突然いなくなるこ…

アカボシゴマダラ越冬幼虫の脱皮

今朝エノキ低木・幼木の定点調査に行ったところ、多くのアカボシゴマダラ幼虫が幹上で脱皮前の形態変化をしている中で、1頭だけすでに脱皮している個体を見つけました(写真1)。 4齢越冬型から立派な頭部突起が生えた緑とピンクの色の体に変化していました…

崩れ落ちたアカボシゴマダラの蛹

3日前にアカボシゴマダラのミイラ化した蛹がぶら下がっているところを紹介しました。↓ 蛹ではどうしても冬を越せないようですね。 新葉を待つ越冬明けの幼虫 今日、その場所に行ってみたら蛹の2/3が抜け落ちていました。写真左が3日前の蛹、右が今日の蛹です…

ゴマダラチョウ幼虫の微妙な形態変化

昨日はこの時期のアカボシゴマダラの微妙な形態変化を紹介しました。↓ アカボシゴマダラ幼虫の微妙な形態変化 今日はゴマダラチョウの幼虫です。アカボシほどではないですが、ゴマダラチョウも微妙に形態変化しています。 写真左は4日前のもので、右は今日撮…

アカボシゴマダラ幼虫の微妙な形態変化

越冬から目覚めたアカボシゴマダラの幼虫ですが、越冬前に検出したエノキ幼木・低木上の数から判断するとほぼ幹上に出揃った感じがします。一部の幼木では全く幼虫が見られないか一晩で上っていた全員がいなくなるなどの不思議な現象が観察されますが、急激…

新葉を待つ越冬明けの幼虫

3月もだんだんと終わりに近づいてきて桜も満開間際となりました。ゴマダラチョウやアカボシゴマダラも日当たりのよい樹木では大部分の越冬幼虫が上り切って、新葉を待っています。 写真1はエノキ低木の二又の位置で止まっているゴマダラチョウの越冬幼虫です…

同じ幹にとまるアカボシゴマダラとゴマダラチョウの越冬幼虫

夏になると、アカボシゴマダラとゴマダラチョウの成虫がクヌギなどの樹液を争って吸蜜する場面はときどき見かけることができます。 多くの場合、アカボシゴマダラの勢力の方が勝るようです。 また 両種の幼虫が1本のエノキの葉上に同時にいることも稀にあり…

エノキに上るHestina越冬幼虫

この数日暖かい日が続き、アカボシゴマダラやゴマダラチョウの越冬幼虫がすごい勢いで落ち葉からエノキの幹上に移動しています。オオムラサキでさえエノキの根元あたりの幹に這い出しているのを発見しました。 ところで、アカボシゴマダラは幹上でも越冬する…

アカボシゴマダラ越冬幼虫の遺骸

3月半ば頃からアカボシゴマダラの越冬幼虫が落ち葉の下から続々とエノキ幹上に移動していますが、一部はすでに遺骸化しています。 写真1は4日前に幹上に移動した越冬幼虫ですが、今日見たら頭部がなくなっており、中身が空っぽでした。寄生虫(寄生バチや寄…

エノキの芽吹きとHestina幼虫

日に日に暖かくなって今日は日中の温度が20℃を越えました。あちこちのエノキ幼木・低木の枝を見てみましたが、日当たりがよいものは芽吹いています(写真1)。 写真1 アカボシゴマダラの越冬幼虫は続々とエノキの幹に上り始め、多いものでは1本で10頭を越す…

幹に上り始めたアカボシゴマダラ

3月も半ばを過ぎだいぶ暖かくなってきました。エノキの落ち葉の下にいたアカボシゴマダラの越冬幼虫が続々と幹に上り始めています(写真1、2)。とくに日当たりの良いエノキの低木・幼木にはおいては、上るのが早いようです。ちなみに写真1の個体は通常4列あ…

アカボシゴマダラ非越冬型幼虫のその後

アカボシゴマダラ Heitina assimilis はゴマダラチョウ Hestina japonica と同様に、越冬型4齢幼虫で冬を越します。ところが、越冬型になりきれず頭部突起が伸びたままの非越冬型が、少数ですがこの冬見られました。このような冬の非越冬型はゴマダラチョウ…

風で飛ばされた越冬幼虫

ゴマダラチョウなどのエノキの根元の落ち葉下で越冬する幼虫は、運悪く風で飛ばされてしまうことがよくあります。私はこれまでそのような場面を数多く見てきました。↓ 遠くまで飛ばされてしまうともう戻るのはむずかしいでしょうね。 今日都区内の公園で散策…

蝶の里公園のオオムラサキ

今日は埼玉県比企郡嵐山町(らんざんまち)にある蝶の里公園と菅谷館跡に行ってきました。蝶の里公園はその名のとおり蝶の保護を基本とする環境作りを目指した全国的にも珍しい公園です。嵐山町では「水、緑豊かな生き物にやさしいまちづくり」を町のスロー…

早春のアカボシゴマダラ

3月に入り気温が上昇してきました。最近雨の日が多いですが、確実に春の訪れを感じます。 この時期の Hestina 属の越冬幼虫ですが、ゴマダラチョウはまだ完全にエノキの落ち葉の下です。一方、アカボシゴマダラの越冬幼虫もエノキの落ち葉にいますが、もっぱ…

小宮公園のエノキの根元

今日は、東京都八王子市にある小宮公園に行って来ました(写真1)。JR八王子駅から真北へ2 km弱の加住丘陵にある、広さ21 haの都立公園です。 写真1 公園の北側は開放感あふれる原っぱになっており、南側の入り口付近には遊具広場がありますが、大部分はクヌ…

オオムラサキの減少と採集圧

国蝶であるオオムラサキはその大きさや美しさからマニアに人気の高い昆虫です。飼育して成虫のなった姿を拝みたいと思う人は大勢いると思います。というわけでこの時期マニアによる越冬幼虫の採集が少なからず行われていることを想像します。 インターネット…