Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

2021-01-01から1年間の記事一覧

SARS-CoV-2スパイクタンパク質とヒト生殖系タンパク質の分子擬態

はじめに SARS-CoV-2感染症(COVID-19)が女性の生殖能力に影響を与える可能性を示唆する新しい研究結果が、イスラエル、イタリア、フランス、ロシアの共同研究チームによって発表されました。本研究の成果は、American Journal of Reproductive Immunology…

新型コロナの主要感染様式は空気感染である

2021.08.27, 21:31更新 はじめに 前のプログ記事で、新型コロナウイルス感染症COVID-19は新しい概念の空気感染によって広がることを述べました(→感染力を増した変異ウイルスと空気感染のリスク、あらためて空気感染を考える)。この空気感染がSARS-CoV-2の…

COVID-19ワクチン接種者はスーパースプレッダーになり得る?

-はじめに 前のブログ記事で、COVID-19ワクチン接種者のワクチン・ブレイクスルー感染について取り上げ、いま世界中の国が進めている大量ワクチン接種プログラムについて、デマやプロパガンダに踊らされない情報リテラシーをもつことの大切さについて述べま…

デルタ変異体の感染力の脅威

はじめに 東京では、東京オリンピック開始直前からSARS-CoV-2のデルタ変異体(Delta variant)による第5波感染流行が本格化しました。新規陽性者数が急増し、8月13日には全国で初めて新規陽性者数が2万人を超えました。とはいえ、東京でのこの1週間の感染の…

ボッシェ仮説とそれへの批判を考える

この記事は以下のURLに移動しました。 https://drtaira.hatenablog.com/entry/2021/08/14/094816

ワクチン接種へのためらい率は高学歴者で最も高い

はじめに 今年6月、国立精神・神経医療研究センターの研究グループが、「COVID-19ワクチン接種をためらう人は低所得、低学歴の人が多い」という研究論文 [1] を発表し、メディアもすぐにこれを取り上げて報道しました。私は前のブログ(→ワクチン推進論文の…

新型コロナの起源に関して改めて論文を読み、戦慄に震える

この記事は以下のURLに移動しました。 https://drtaira.hatenablog.com/entry/2021/08/05/210027

イベルメクチンを巡るCOVID-19医薬品研究の課題

はじめに 今月はじめ、ネイチャー誌に、"Flawed ivermectin preprint highlights challenges of COVID drug studies"「欠陥のあるイベルメクチンのプレプリントは、COVID医薬品研究の課題を浮き彫りにする」というNews [1] が掲載されました。このNews記事は…

COVID-19ワクチンとブレイクスルー感染:情報リテラシーが問われる

はじめに いまパンデミックの最中にあって、欧米や日本で接種が進められているCOVID-19ワクチンは、mRNAワクチンが主流です。この核酸ベースのワクチンについては、以前から研究されてはいるものの、感染症のワクチンとして適用されたのは今回が初めてです。…

日本の嘘によって、いま選手が代償を支払う

2021.07.27:22:05更新 いまテレビをつければ東京オリンピック一色です。ニュース番組さえ、感染状況を差し置いて、冒頭で「金メダル云々」というニュースを流しています。 一方で、海外のメディアはこのオリンピックの問題点を指摘する記事を次々と配信して…

東京五輪のオープニングを飾った悪名高き作曲家の曲

昨日の東京オリンピックの開会式では、ビックリすることが起こりました。噂されてはいましたが [1] 、選手の入場行進のオープニングで「ドラゴンクエスト」(ドラクエ)のテーマ曲が流れたからです。なぜ驚いたかと言えば、この曲の作曲者は反LGBTQ、超国家…

東京五輪で露呈したホロコーストジョークの炎上

2021.07.23: 13:14 更新 今回の東京オリパラ大会は、パンデミックという危難に直面し、1年延期したにもかかわらず第5波流行の中での開催という難しい状況になり、さらに開会直前になって、立て続けのスキャンダルに見舞われています。 東京大会に関わるこれ…

東京五輪を支える見えざる手

米国のニューヨーク・タイムズ紙は、7月20日、「東京五輪を支える見えざる手」"The invisible hand behind the Tokyo Olympic"と題した記事を掲載しました [1]。見えざる手とは日本の広告会社電通のことです。 記事の冒頭に「電通は、日本の主要な機関に深く…

シミュレーションによる感染予測はなぜ外れるか

はじめに シミュレーションとは、科学や工学の分野で言う場合は、ある事象を説明するのに、その場面を再現したモデルを用いて分析することです。モデル式およびさまざまなパラメータ(変数)の条件設定に基づいてコンピューターで計算し、実測データと照らし…

40-50代の重症者が増えているという情報の検証

はじめに 新聞、テレビ各社は、最近、東京都における新型コロナウイルス感染症患者のなかで、40-50代の入院数と重症者数が増えているということを伝えています [1, 2, 3]。小池知事は7月8日の記者会見で、ワクチン接種で高齢者の重症化が抑えられている可能…

ワクチン推進論文のミスリード−低所得者層が接種をためらう?

はじめに 先月(2021年6月)下旬、日本経済新聞が「ワクチン拒否は1割 全国ネット調査、若い女性目立つ」という記事 [1] を配信しているのが目に留まりました。この記事は、国立精神・神経医療研究センターによる新型コロナウイルスワクチンに関するインター…

ウィズコロナを意味のないスローガンとして否定するNZ

はじめに 2021年7月7日、ニュージーランド(NZ)が、英国式のCOVID-19と「共存」すべきだという提案(いわゆるウィズコロナ)を退け、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相が提案した死のレベル(the level of death)は「受け入れられない」と述べたこ…

またもや飲食店狙いの感染対策への疑問

まえがき 昨日(7月8日)、菅義偉首相は、東京都に4度目の緊急事態宣言を発出することを表明しました。東京はCOVID-19の第5波に見舞われつつありますが、前回の宣言解除から3週間も経たたないなかでの宣言になります。新聞報道によれば、東京五輪の開催を最…

あらためて空気感染を考える

はじめに 新型コロナウイルスウイルスSARS-CoV-2の感染については、飛沫感染、接触感染、エアロゾル感染の三つの感染様式があると言われてきました。1年以上も前、このブログでもそれらを取り上げました(→新型コロナウイルスの感染様式とマスクの効果)。し…

ついに検査抑制方針を改善できないまま感染五輪を迎える

はじめに パンデミック宣言以来、日本はクラスター対策とともにPCR検査抑制を貫いてきたことは公然の事実です。検査を限定するために、当初は「37.5℃で4日間」などの検査の目安さえ設けていました。クラスターに集中して患者確定にPCR検査を集中適用するとい…

mRNAワクチンへの疑念ー脂質ナノ粒子が卵巣に蓄積?

はじめに COVID-19-mRNAワクチンについては、主として安全性の面から、ツイッターなどのSNS上でさまざまな懸念や噂が広がっています。また、根拠のない明らかなデマと思われる情報までが飛び交っています。国や専門家は当然ながらこれらの噂やデマを否定し、…

COVID-19ワクチンは妊娠、生殖への影響があるか?

はじめに COVID-19ワクチンについては、ネット上で様々なデマ情報が飛び交っています。最も有名になったデマ情報の一つは、2020年12月にアップされたブログ記事です。ファイザー社の上級社員が、ワクチン接種によってつくられる抗体が胎盤を攻撃する可能性が…

核酸ワクチンへの疑問ーマローン博士の主張を考える

カテゴリー:感染症とCOVID-19 はじめに 私は1年以上も前に、新型コロナウイルス感染症COVID-19のパンデミックを終息させるものとして、ワクチンに期待するとの主旨のブログ記事を書きました(→集団免疫とワクチンーCOVID-19抑制へ向けての潮流)。そして今…

下げ止まりの時こそ行なうべき強化策

前のブログ記事(→感染五輪の様相を呈してきた)で、このまま6月20日に緊急事態宣言が解除されて東京五輪が開催されれば、デルタ型変異ウイルスによるリバウンド(感染拡大)につながる感染五輪になることを指摘しました。感染拡大を表面的に抑える効果的対…

感染五輪の様相を呈してきた

2021.06.15更新 はじめに この2、3日、SARS-CoV-2の新規陽性者数は千人台になってきましたが、全国への面的広がりは相変わらずであり、感染再拡大の不安材料になっています。私は昨日以下のようにツイートして、感染再拡大を懸念しました。 新規陽性者は2千…

ワクチンとしてのスパイクの設計プログラムの可否

カテゴリー:感染症とCOVID-19 はじめに 今日(6月9日)開かれた党首討論で、菅義偉総理大臣は「強制的に検査を行なうことができない中でどうやってやるのだ」と枝野幸男代表(立憲民主党)に逆質問していた一方で、「ワクチンは切り札」と述べていました。…

SARS-CoV-2のPCR検査陽性はリアルタイムの感染を意味しない?

はじめに COVID-19患者が、初感染から回復してから時間が経ち、ウイルスに再暴露されていないにもかかわらず、PCR検査で陽性となるというのは、このパンデミックの初期からの不可解な謎でした。この謎を解く論文が米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載され…

mRNAワクチン接種は実験的遺伝子治療?

はじめに いま世界中でCOVID-19用のワクチンが拡大しつつあり、日本でも急速に接種が進められています。この中でもmRNAワクチンが優先的に用いられており、ファイザー製とモデルナ製がその中心です。メディア報道では、パンデミック終息への切り札(game cha…

mRNAワクチンの潜在的悪影響を示唆するSeneffらの論文の意義

カテゴリー:感染症とCOVID-19 2021.06.03更新 はじめに 前のブログ記事で、最近出版された論文の中で気になっているものの一つとしてステファニー・セネフ(Stephanie Seneff)博士とグレグ・ナイ(Greg Nigh)博士の総説 [1] を挙げました(→新型コロナウ…

ヒトのゲノムに組み込まれる?

前のブログ記事で、新型コロナウイルスのRNAがヒトの細胞にDNAとして組み込まれるという現象を報告した論文(→新型コロナウイルスのRNAがヒトのDNAに組み込まれる)、およびその解説記事(→SARS-CoV-2の遺伝子がヒトDNAと組み込まれることを裏付ける新たな証…