Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#生物学

エノキの伐採に思うこと

ニレ科の樹木であるエノキ(Celtis sinensis var. japonica) は日本を含む東アジアにおける代表的な落葉広葉樹です。樹高は20 mにもなります。塩害に強く、公園樹、庭園樹、風致木としても利用されていますが、公園における植樹といえば圧倒的に常緑樹が多い…

道を歩いていたら...

今日夕方街の中を歩いていて、小さな公園の前を通り過ぎようとしました。そしたら、公園の一角に生えている低木に緑の物体がくっついているのがサッと目に入りました。危うく通り過ぎるところでしたが、振り返って近づいてみると何とエノキの低木の幹にアカ…

糞をかけられても耐える幼虫

昨日に続き、今日もアカボシゴマダラの話題です。早朝、仕事の前に定点観察の場所に行ったら、エノキの葉上にいた越冬型幼虫が鳥に糞をかけられていました。 写真1が3日前(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16582310.html)、写真2が今日の写真で…

駅のウラギンシジミ

今日、昆虫の定点観察のために目的地まで電車を乗り継ぎ、最寄りの駅でトイレに入ったところ、窓になにやらチョウの影が。暗くて色がよくわかりませんでしたが、そのフォルムからすぐにウラギンシジミとわかりました(写真1矢印)。 写真1 写真2は、デジカメ…

越冬へ向けたアカボシゴマダラ幼虫

環境省は、移入種アカボシゴマダラ Hestina assimilis と在来種ゴマダラチョウHestina japonica が生活において競合する可能性があるとして、すでに前者を特定外来生物に指定しています。両者に競合があるかどうかの知見を得るためには、一つとして彼らの越…

ホシホウジャクの来訪

今日、外出するときにうっかり部屋の明かりを消すのを忘れてしまいました。夜遅く帰り着いたら部屋の明かりがカーテン越しに白くボーッと見えていました。よく見ると、光に誘われたのか、網戸にホシホウジャク Macroglossum pyrrhosticta が訪れてとまってい…

今日の昆虫-11/30

今朝も昆虫のフィールド調査に出かけました。目的地の近くにスダジイの街路樹があり、周辺にエノキの幼木がみられました。幼木をチェックしていたら目の前にムラサキシジミ Narathura japonica が翅を広げてとまっていました(写真1)。 写真1 エノキ幼木の…

チャエダシャク

この時期発生するガの一つがチャエダシャク Megabiston plumosaria です。シャクガ科、エダシャク亜科の一種です。オスはよく灯りに集まってくる性質があるので、公園のトイレの壁などによくみられます。 そう思いながら、近くの公園のトイレの壁を見たら案…

今日の昆虫-11/28

11月も終わりに近づいてきましたが、まだまだチョウが羽ばたく姿や葉の上をウロウロする昆虫の姿が見られます。 写真1は、ツツジの上で朝陽を浴びるムラサキツバメ Narathura bazalus です。マテバシイの植樹の周りを飛んだりとまったりしていました。 写真1…

ネズミモチ

今日は知り合いの方が「エノキの低木が数本生えてる」と教えてくれた公園に行ってきました。公園内を歩くと確かに1.8 m程度のエノキが2本生えていましたが、タテハチョウ科の幼虫特有の食痕がなく、幼虫発見とはいきませんでした。 それで、公園内の樹木を観…

グリーンベルトのヤマトシジミ

昆虫の定点観察の一つとして、近所にあるグリーンベルトです。この一ヶ月における市の刈り込みと清掃で下草がほとんどがなくなってしまいました(写真1)。 とくに、ヤマトシジミのカタバミ上での発生を観てきただけに残念です。観察していた幼虫や蛹がすっ…

発電機にカマキリ

今日は農産品や食に関する市のイベントが公園であったので出かけました。全国の有名店が集まった屋台のラーメンを食べるのに2時間近く並びましたが、まあまあの味でした。これまで全国にある相当な数のラーメン店を試してきましたが、故郷の九州ラーメンを超…

朝陽を浴びるアメリカミズアブ

立冬を過ぎて昆虫の活動が鈍り、日中の最低気温が10℃を下回るようになって、さらに昆虫の個体数がぐっと減ってきました。それでも今朝も庭にはヤマトシジミが飛んでいます。 ウチでは庭で生ゴミ処理器が稼働しており、器内温度は今でも30℃を超えています。そ…

ケヤキの個性

昨日、竹林の中にそびえるケヤキの大木と樹皮のまだら模様に感動し↓、ケヤキをあらためてじっくり見たいと思いました。 竹林の中のケヤキ - Dr. Tairaのブログ そこで、千葉県松戸市常盤平のケヤキ通りを訪れてみました。 当該のケヤキ通りは、常盤平さくら…

コムラサキ亜科チョウの越冬幼虫の見分け方

オオムラサキ、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラは、いずれも幼虫がエノキを食樹とするタテハチョウ科コムラサキ亜科のチョウです。成虫はそれぞれ特徴的な大きさや翅の模様があり、同定は容易です(図1)。 図1. オオムラサキ、ゴマダラチョウ、およびアカ…

竹林の中のケヤキ

街の中には自然の雑木林とはまた異なった趣の森が見られます。今日訪れた東京近辺の街の森もそのうちの一つです。ケヤキ、シラカシ、椿、三茶花などの植栽を基本とする屋敷林に、長い時間をかけて自然の造形が加わったような約4ヘクタールほどの森です。クヌ…

アカボシの幼虫の群れ

海外からの移入種と推定されている関東のアカボシゴマダラ Hestina assimilis ですが、本ブログでも何度も取り上げているように、本年の1月に特定外来生物に指定されました。 この特定外来生物に指定には昆虫学者の強力なプッシュがあったと聞いています。同…

東三河のハシボソ

昨日の夕方、愛知大学豊橋キャンパスや周辺の宅地、緑地を散策して回りました。気がついたことの一つとして、出会ったカラスの中でハシボソガラスがけっこう多かったことです。 写真1は愛知大学の副門の地面にいたハシボソです。ピョンピョン跳んだり、ペタ…

コガタスズメバチ

道を歩いていたら、コガタスズメバチ Vespa analis が落ちているのを見つけました。死んでいるのかと思ったら体が小刻みに震えていました。どうしたんでしょうか。

豊橋公園のエノキ

愛知県豊橋市の豊橋公園は市街地の中の公園としては比較的広い方であり、ケヤキの木が多いことで知られています。一方で、同じ落葉広葉樹のエノキはそれほど多くありません。しかし、私は二十数年前にこの公園を初めて訪れた時に、エノキを食草とするゴマダ…

紅葉と昆虫

今日も二か所の公園を訪れ、昆虫の定点観察を行いました。明後日に講演会があってそこで話すネタの確認も目的の一つです。どの定点の場所においてもカエデが先駆けて紅葉し始めています。 写真1、2は最初に訪れた公園のカエデの紅葉です。 写真1 写真2 紅葉…

ハシボソがいる都市公園

市街地のカラスといえばハシブトガラスです。カーカーと澄んだ声で鳴くカラスで、街の中のゴミ集積場を漁っている姿をよく見かけます(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16490253.html)。 私が昆虫の定点観察を行なっている公園の一つは市街地の真…

自然観察園の虫

今日は昆虫の定点観察の場所の一つである市川市大町公園自然観察園に行ってきました。市街地の中とは思えないほどの自然が残されているところで、約1 kmにわたって、湿地と樹林が続きます。 写真1は公園の入り口です。 写真1 湿地帯の中央には写真2のような…

都市公園の植栽管理ーエノキを考える

前のページで、私が昆虫の定点観察を行っている都市公園の一つにおいて、市による定期的な植栽剪定、伐採が行われている状況を紹介しました(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16550385.html)。この作業により、公園内に生えていた200本近いエノキ…

クビキリギリス

バッタの仲間には外灯に集まる性質のものがあり、コンビニエンスストアや公衆トイレなどの壁にとまっていることがあります。その代表と言えるものがクビキリギリス Euconocephalus thunbergiです。 早朝、雨の中歩いていたら、公園のトイレの壁にクビキリギ…

ワカバグモ

このところ、エノキを観察する日々が続いていますが、いろいろな生物に遭遇します(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16548690.html)。昆虫のみならずクモ類にもたくさん出会います。 写真は、エノキの葉上にいたワカバグモ(Oxytate striatipes)…

ゴマダラチョウの幼虫

ゴマダラチョウ Hestina japonica はタテハチョウ科の在来種であり、種形容名の"japonica"にそれが現れています。昔はよく飛翔する姿を見たものですが、今ではすっかり個体数が少なくなってしまいました。 私は、ゴマダラチョウと同じくエノキの葉を食草とす…

アカボシゴマダラの産卵

早朝からアカボシゴマダラの観察定点の公園に行ってきました。今日で市による植栽の剪定・エノキ等の伐採が終了予定なので、その前に最後の観察を行うためです。公園に到着すると、伐採予定区域の大部分がもう作業が終了しており、わずかを残すのみになって…

ドクガとカメムシ

この4日間、時間が許す限り嫌という程エノキを観て回りました。200本は軽く超えたと思います。公園内を観察するときは、あらかじめ市の当局に断りを入れておきましたが、それでも毎日のように「何やってるんですか」と通りがかりの人や、剪定業者や、町会の…

晩秋のアカボシゴマダラの幼虫-3

タイトルに晩秋とありますが、今日は立冬です。 どうやらこの時期を前後して、アカボシゴマダラの幼虫の葉上からの引っ越しが盛んになるようです。前のページで、褐色化した越冬型幼虫がエノキの葉の上からいなくなったことを述べましたが、今日も移動した跡…