Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#生物学

片付けられた越冬幼虫

今日また残念なことがありました。朝少し嫌な予感がしたので、雨の中でしたが定点観察をしている公園の一つに向かいました。 着いてビックリ、今月の初めまであった公園内のエノキの根元の下草と落ち葉が綺麗に除去されているではありませんか(写真1)。 写…

オオムラサキの生息域でのアカボシゴマダラ

2010年の月刊むし9月号ではアカボシゴマダラ Hestina assimilis の特集記事が掲載されました。その中で、東京都八王子市東部において3年間でアカボシゴマダラの幼虫の数がゴマダラチョウ Hestina japonica のそれを上回ったという報告がなされまし…

公園の中のエノキ

私は近隣公園以上の規模の公園を訪れるとまずエノキの姿を探します。理由はいくつかありますが、エノキの保全の仕方でその公園の管理者の意識を探ることができるからです。エノキは日本を含めた東アジアの代表木であり、日本古来一里塚として使われてきた経…

緑色の越冬幼虫

ゴマダラチョウの越冬幼虫は一般に褐色がかった灰色あるいは紫色がかった灰色をしており、ベッドにしているエノキの落ち葉に対して保護色になっています。しかしながら時折モスグリーンの個体も落ち葉の下から出てきます。 今日は続けざまに多数のモスグリー…

今日の昆虫-2/5

冬のエノキの落ち葉の下には、オオムラサキやゴマダラチョウなどの越冬幼虫がいます。ルーチンの調査として、これらの越冬幼虫の分布状態をいま探っているわけですが、これら以外にもさまざまな昆虫が出てきます。 今日訪れたスポットは、川を挟んで数キロに…

モミジバフウ

モミジバフウ(紅葉葉楓)Liquidambar styraciflua は、フウ科フウ属の落葉高木で、秋の紅葉がとくに美しい樹木として知られています。今はすっかり落葉していますが、いまあちこちの公園で、落葉後の実が残ったモミジバフウを見ることができます(写真1)。…

都市公園の植栽管理を考える-3

私は常々都市公園における植栽管理のあり方を疑問視してきました。それは人工的な植え込みを維持管理し、それを増やすことが、「自然との共生を図り、生物多様性を推し進める」ことという大きな勘違いがあることです。 そもそも人工的な公園には自然はなく、…

エノキ成木からのアカボシゴマダラの検出

カテゴリー:エノキ下の越冬幼虫の探索 アカボシゴマダラの越冬幼虫はゴマダラチョウのそれとは異なり、もっぱらエノキの幼木や低木の根元から検出されます。インターネット上の情報によれば、アカボシはエノキの成木からも検出されているようですが、私自身…

冬のクビキリギリス

このブログでも何度も紹介していますが、この冬はクビキリギリス Euconocephalus thunbergi によく出会います。バッタ目キリギリス科の昆虫で、体長は60 mm前後です。成虫で越冬することが知られています。 今年になってからもすでに3回目撃しました。すべて…

江戸川の川辺の散策

今日は江戸川の川べりの散策に行ってきました。江戸川は、流路延長約60 kmの利根川水系分流であり、利根川本流から東京湾に流れ込みます。流域は、茨城県、千葉県、埼玉県、東京都の1都3県におよびます。 今日散策した場所は、千葉県、埼玉県、東京都が交わ…

アオサギ

今日は湿地がある公園にエノキの予備調査に行きました。夏に訪れた時にエノキの成木、幼木ともは少ないと感じていましたが、今日それをあらためて確認しました。数が少ないのであっという間に調査は終わり、しばし鳥の観察を行いました。 園内の池にはカワセ…

小川に沿って並ぶエノキ群

カテゴリー:植物の観察 カテゴリー:エノキ下の越冬幼虫の探索 今日は、千葉県内を流れるある川に沿って延々と生えているエノキ群の観察に行きました。小高い丘に挟まれて幅0.5–1 km程度の田園地帯が約20 kmに亘って続き、その中心を走る小川の両側にエノキ…

キバラヘリカメムシ

今日のエノキの落ち葉探索、オオムラサキ、ゴマダラチョウの幼虫ともまったくの空振りでした。以前いたスポットも出てきません。やはり年々減っているのを実感します。 代わりにキバラヘリカメムシ Plinachtus bicoloripes の成虫が出てきました。青リンゴの…

エノキの根元から出てくる幼虫

冬場は、エノキの根元の枯葉のチェックがルーチン・ワークになっていますが、主に対象としているオオムラサキ、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラの幼虫以外にも、いろいろな種類の昆虫が出てきます。中には意外!と思うものもあります。 今日枯葉の裏側から…

再度ツマグロオオヨコバイ

昨年末、エノキの落ち葉の下からツマグロオオヨコバイBothrogonia ferruginea の成虫が出てきたことを書きました(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16619755.html)。今日、そことは離れた別の場所でエノキの落ち葉をまさぐっていたら、何とまた出…

乾燥に強いHestina属越冬幼虫

Hestina 属のチョウ(ゴマダラチョウやアカボシゴマダラ)の幼虫は、エノキの根元の落葉の下に潜んで冬を越します。これらの幼虫を探し出すと、しっかりと落葉の裏にくっついて出てきます。ところが、稀に枯葉から剥がれて、裸の状態で出てくることもありま…

エノキの大木とゴマダラチョウ-2

私が最初にゴマダラチョウの幼虫を見たのは、小学校5年生のときでした。担任の先生に「ゴマダラチョウはエノキの根元にある落葉の下で幼虫態で越冬する」と教わってとても興味を抱き、実際に自然の幼虫を見てみたいと思いました。 その年の冬休みに担任の先…

冬の落葉樹

冬は落葉樹の葉がすっかり落ちて木の枝が丸裸になります。イヌシデ、エノキ、クヌギ、コナラなどの落葉樹のむき出しになった枝を見ながら、日本の温帯地域の植生を感じます。一方公園に行くと、植栽されたマテバシイやヤマモモなどの暖地系常緑樹が寒空の下…

今日の昆虫-1/7

今日はエノキの落葉下の幼虫探索を娘が手伝ってくれるというので、近くの観察ポイントまでいっしょに行きました。娘といっても大の大人です。二人で落葉をゴソゴソまさぐっている姿は異様です。土地の所有者らしき人から怪しげに声をかけられましたが、「幼…

「モズのはやにえ」ほか

今日も街の総合公園までゴマダラチョウの越冬幼虫の探索に出かけました。そのついでに見たのがモズのはやにえです(写真1)。ガマの上にイナゴが突き刺さっていました。久しぶりに見ました。 写真1 角度を変えて撮ったモズのはやにえ(写真2)。 写真2 公園…

今日の昆虫-1/5

ルーチンのHestina属越冬幼虫の探索を行なっていると、本来の目的とは離れてほかの昆虫や小動物もけっこう出てきます。先日はエノキの落葉にくっついてツマグロヨコバイが出てきたことを紹介しました(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16619755.htm…

本年初めのゴマダラチョウ

私は定期的に昆虫の定点観察を行なっています。カメラを片手にウロウロしている分にはそれほど怪しまれませんが、帽子を被り、顔にマスクをし、手袋をし、木の根元の落葉をゴソゴソかき分けながら幼虫探しをしている時にはかなり怪しい状態です。ほぼ2回に1…

アカボシゴマダラの越冬型幼虫の非典型的個体

前のページでゴマダラチョウ、アカボシゴマダラ、オオムラサキの越冬型幼虫の形態に基づく識別法について記しました。↓ コムラサキ亜科チョウの越冬幼虫の見分け方 - Dr. Tairaのブログ 再度、3者の識別法を図1に示します。最も簡単なのは背中にある突起対…

公園から持ち去られたサナギ

今日は強行軍でしたが、千葉と東京の都市公園をハシゴしてアカボシゴマダラの幼虫の動態調査を行いました。調査したすべての公園でエノキの葉上から幼虫は完全に姿を消し、幹上の個体も半分以上は地面に移動していました。 12月4日、本ブログでアカボシゴマ…

アカボシの成虫は冬でもいる?

関東を中心に生息する外来種アカボシゴマダラは、少なくとも年3回発生すると言われています [1]。発生時期は5–10月です。しかし詳しいことはよくわかっていないようです。私は11月下旬まで成虫を目撃したことがありますので、年4回の発生というのもあり得る…

葉上からの幼虫の移動

この2、3日厳しい寒さが続いています。さすがにこの寒さに耐えかねたのか、これまでエノキの葉の上でがんばっていたアカボシゴマダラの幼虫が、すっかりいなくなりました。幹上の越冬型幼虫(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16596715.html)も多…

今日のアカボシゴマダラ

今日は、雑木林と畑が広がる里山風景の観察ポイントにアカボシゴマダラのフィールド調査に向かいました。 農道沿いにエノキの幼低木が並んでおり、10年程前からアカボシの発生が見られる場所です。以前はたくさんのエノキがあったのですが伐採が進み、今は5…

手にジョロウグモが..

朝出かける時に手がモゾモゾする感じがして、見てみたらジョロウグモがくっついていました(写真1)。それにしても、いつ、ついたのでしょうか。丸められた蜘蛛の糸もいっしょにくっついています。 写真1 そっと地面に下ろしたら、今度は靴の上に登ってきま…

雑木林と湿地の植物

昨日はある公園に昆虫観察に出かけましたが、周辺で見られた植物を続きとして紹介します。観察した場所は比較的大きな公園の一角にある雑木林とそれに隣接する湿地です。普段は一般人は入れないエリアですが、休日は30分ほどの一般公開の時間が設けられてい…

今日の昆虫-12/9

今朝は12月に入って一番の寒さでしたが、冬の昆虫観察に出かけました。定点観察のポイントに出向き、ルーチンのエノキ上の観察を行なっていたところ、コバネイナゴ Oxya yezoensis が葉っぱの上にとまっていました(写真1)。 写真1 さらに、となりのエノキ…