Dr. Tairaのブログ

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Dr. Tairaの家庭でできる生ゴミ処理 - はじめに

生ゴミ一般廃棄物の主要部分を占めます。毎日私たちが必要とする食べるものの中から生ゴミは出てきますので、ほかのゴミとは違って容易には減らすことはできません。それゆえ、生ゴミをいかに処理するかは一般廃棄物処理の中で最も重要な課題の一つです。

 
重要ポイント:生ゴミを減らすのはむずかしい
 
日本はゴミの処分に焼却処理を採用しています。したがって、水分を含む生ゴミダイオキシンが発生しにくい高温(>800℃)で燃やすためには、プラスチックなどの他のゴミの混入は必須となります。実際にはガスバーナーや一部重油を使って500℃くらいに炉を暖め、それからゴミを投入します。一度燃やし始めたら高温を保つために燃やし続けるのがベストで、そのためには一定量のゴミの供給が必要ということになるわけです。
 
ちなみに、焼却処理を主要なゴミ処理手段として採用している国は世界的にも珍しく、日本はその割合で世界トップです。
 
重要ポイント:主にゴミを燃やすことで処理しているのは日本だけ

生ゴミバイオマス資源であり、カーボン・ニュートラル(元々大気中の二酸化炭素 [CO2] を光合成で固定化したもの)であるので、燃やしても温室効果ガスの増加に直接繋がることはありません。燃やすことで熱エネルギーとして利用することができます。とはいえ、この再生可能なバイオマス資源をより有効に幅広く活用することが人類の知恵でしょう。
 
重要ポイント:生ゴミはカーボン・ニュートラ
 
生ゴミを分別収集し、他の一般廃棄物とは別に処理することを試みている自治体も出てきています。新潟県長岡市では生ゴミを材料とするバイオガス(メタン)発電センターを2013年7月から本格的に稼働しています(http://www.city.nagaoka.niigata.jp/kurashi/cate08/biogas/index.html)。さらに、愛知県豊橋市では2017年4月から生ゴミの分別収集を開始し、嫌気消化(メタン生成)と下水処理を組み合わせて処理する挑戦的な試みを始めています(http://www.city.toyohashi.lg.jp/30705.htm)。
 
重要ポイント:生ゴミの分別収集はすでに始まっている
 
一方で、伝統的な生ゴミや生物系廃棄物の有効活用の方法として堆肥化(コンポスト化, composting)があります。堆肥化は自然に存在する微生物の力を利用する方法なので、基本的には電気・動力などの外部エネルギーを投入する必要がありません。最も簡単な方法としては「野積み」があります。必要なのは、微生物の働きを補助するための操作や装置のみです。国内では産業レベルでの大規模な堆肥化処理施設がいくつか稼働しています。
 
重要ポイント:生ゴミの堆肥化の担い手は微生物
 
生ゴミの堆肥化は媒体が微生物なので、個人レベルでも簡単に行なうことができます。日本では家庭で使用する電動型の生ゴミ処理機が市販されています。これは文字通り処理であって堆肥化を完了できる装置ではありませんが、二次処理を組み合わせることで堆肥化できます。大きく分けて乾燥型と生分解型があるようです。これらについては別ページで解説します。ここでは主として、電気・動力を使わないで簡単に家庭(ベランダ)でできる生ゴミ処理の方法と原理を紹介します。また、生ゴミ処理と堆肥化の違いも説明します。以下のそれぞれの記事をご参照いただければと思います。
 
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重要ポイント:家庭・個人単位で電気・動力なしの生ゴミ処理が可能