Dr. Tairaのブログ

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青梅の毒性

4月1日に近くの梅園で梅の実がなり始めていることを記しました
 
 
今日同じ場所を歩いていたら、もうたくさんのきれいな青梅が落ちていました。拾ってきました(図1)。
 
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図1. アップルPCの横の青梅
 
梅は梅干しや梅酒などで私たちの食生活には馴染深いものです。しかし、青梅には毒があり注意が必要です。
 
青梅にはアミグダリンという配糖体が含まれています。これ自体には毒性はないのですが、これが分解される過程で最終的に毒であるシアン(青酸)が発生します(図2)。すなわち、青梅にはβグルコシダーゼの一種であるエルムシンという酵素が含まれており、もし青梅が体内に入るとこの酵素の作用や腸内細菌の作用でマンデロニトリが生成され、さらにマンデロニトリルが分解されるとベンズアルデヒドと青酸が生成します [1]

青梅の果肉におけるアミダグリンの濃度は低いですが、タネにはその数十倍の濃度があります。

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図2. 青梅に含まれるアミダグリンの分解による青酸(シアン)の発生過程(文献1からの改変図)
 
アミグダリンやその分解酵素は青梅のみならず、アンズビワを含む未熟な果実や種子に含まれます。よく鳥がビワを食べた後に地面に落ちて死んでいることがありますが、青酸中毒によるものと思われます。
 
通常は実をヒトが経口摂取しても、大量に食べない限り、青酸中毒に陥る心配はほとんどありません。しかし農水省は注意を促しています [1]。とくに大量の梅を要する梅ジュースなどを作るときは注意が必要であり、少なくとも青梅を用いることは避けるべきでしょう。
 
参考文献
 
1. 農林水産省:ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう.