食品の表示ー消費期限と賞味期限
私たちの生活の中で最も重要なことは食べることであり、そのために日常的に食品を購入することになります。安全にかつ安心して食べるためには、食品を購入する段階でその安全性が保証されていなければなりません。そのための参考となる指標が「消費期限」と「賞味期限」です。最近では、これらの食品表示についてTV番組でも盛んに紹介されていますのでご存知の方も多いと思います。ここであらためて整理しながら紹介するとしましょう。
まず、前提と知っておかなければならないのが、法令上、消費期限と賞味期限の表示は原則として加工食品が対象になるということです(一部生鮮食品も含む)。この表示は1995年に食品衛生法が改正されたことにより始まりました。それまで表示と言えば「製造年月日」でした。以下に消費期限と賞味期限を定義します。
●消費期限
・定義:定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質劣化
に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日
・対象食品:製造日を含めて概ね5日以内で品質が急速に劣化する食品
・表示方法:年月日
●賞味期限
・定義:定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保
持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日(ただし、当該期限を超えた
場合であっても、これらの品質が保持されていることが必要)
・対象食品:品質の劣化が比較的緩やかな食品(1週間以上)
・表示方法:年月日(製造後3ヶ月以内)
年月日または年月(製造後3ヶ月以上)
少しむずかしく消費期限と賞味期限を説明しましたが、言い換えると以下のようになります。
●消費期限=「過ぎたら食べない方がいい期限」
すなわち、期限を過ぎると安全性を欠く恐れがある食品で、弁当、生麺、調理パン、加工食肉、生菓子などが対象です。開封前が条件となります。
●賞味期限=「おいしく食べられる期限」
すなわち、定められた方法で保存すれば、品質は保持され、おいしく食べられる加工食品です。期限が過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。卵、牛乳,乳製品、豆腐、納豆、カップ麺、スナック菓子、冷凍食品、缶詰など、比較的日持ちする食品が対象です。
まず重要なことは、製造日を含めての期限設定なので、たとえば消費期限は原則として5日以内となっておりますが、スーパーの店頭に並び、私たちが手にするまでの時間を考えれば、実際購入する時は2〜3日の余裕しかないという点です。
さらに重要なことは、いずれも適切な保存条件が決められていることです。たとえば、牛乳や加工食肉は10℃以下、生ハムやローストビーフなどは4℃以下、冷凍食品は–15℃以下と食品衛生法で定められています。冷蔵、冷凍の表示は具体的な温度が書いてあり、「要冷蔵10℃以下」、「–15℃以下で保存」などの表示例があります。すなわち、期限と保存法はセットで表記されているわけです(図1)。
私たちは消費・賞味期限の表示は割と気にして買おうとしますが、その横や裏側に書いてある保存条件は見逃すことが多いのではないでしょうか。この保存条件から外れた場合は、期限までの期間は当然短くなります。
図1. 牛乳の賞味期限と保存条件の表示
製造者によっては製造年月日を表示している場合があります(図2)。製造年月日は1995年まで使われていましたが、それ以降は法改正によって消費、賞味期限にとって代わられ、表示義務はなくなりました。製造年月日の表示は製造者の自由ということになっています。
図2. 製造年月日を併記した賞味期限の表示
カテゴリー別トップページ↓