Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

小宮公園のエノキの根元

今日は、東京都八王子市にある小宮公園に行って来ました(写真1)。JR八王子駅から真北へ2 km弱の加住丘陵にある、広さ21 haの都立公園です。
 
イメージ 1
写真1
 
公園の北側は開放感あふれる原っぱになっており、南側の入り口付近には遊具広場がありますが、大部分はクヌギやコナラなどから成る雑木林です(写真2)。通路の両側はロープが張られたりフェンスがあって、通路以外は立ち入り禁止という看板が掲げられています。
 
通路をロープやフェンスで囲む措置は、主に公園内の自然保護と危険防止のためとは思いますが、何事も仕切りたがる日本の行政のクセが出ていると思います。こういう道は歩いていてちっとも楽しくありません。

イメージ 2
写真2
 
公園の中心部は谷になっており、湧き水の流れる湿地帯で、木で作られた道から眺める形になっています(写真3)。

イメージ 3
写真3
 
北側の雑木林の中には、エノキもちらほら見受けられました。目や手が届く範囲でチェックしてみましたが、根元の落ち葉の状態は悪く、ほとんどが拡散した状態になっていました。ゴマダラチョウの越冬幼虫も、雑木林のエノキからはまったく出てきませんでした。ひそかな期待があったオオムラサキも出てきませんでした。
 
もっともゴマダラチョウは、元々雑木林の中のエノキへの産卵は少ない傾向があり、見通しのよい場所のエノキに比べると越冬幼虫も少ないです。
 
柵で囲まれた立ち入り禁止内にあるエノキ(写真4左)を見てみましたが、またまた残念な光景がありました。エノキの根元に剪定枝や倒木のかけらが無造作に積まれ、落ち葉の蓄積を阻害していました(写真4右)。自然保護といいながらエノキの根元の生物にまでは意識が及んでいない証拠です。
 
イメージ 4
写真4
 
北側の原っぱの近くには立派なエノキの高木がありました(写真5)。大部分はロープで仕切ってある立ち入り禁止内にありましたが、ほとんどが根元の落ち葉が流れた状態でした。立ち入り禁止外にあるエノキに至ってはまったく落ち葉がありませんでした。
 
イメージ 5
写真5
 
結局、小宮公園内でゴマダラチョウの越冬幼虫を検出できたのは、公園入り口付近にある子供の遊具広場横や駐車場横のエノキのみでした。自由に遊んだり行き来できるエリアのエノキの方が落ち葉の状態がよくて越冬幼虫も生息し、そうでない自然保護の区域は落ち葉の状態が悪く越冬幼虫も出てこないというのは皮肉です。
 
私が学生の頃はこの辺にもオオムラサキがいたのですが今となっては昔話です。
 
公園内での残念な光景と結果に気落ちしながら、はてまだ時間はあるし、どうしたものかと思案しながら、朝、北八王子駅に向かう電車の中から見た浅川の河川敷のエノキを思い出し、そこへ向かうことにしました。
 
写真6は、JR八高線の鉄橋のそばにある河川敷のエノキの群生です。ここを含めて河川敷のエノキを探ってみたところ、次々とゴマダラチョウの越冬幼虫が出てきました。
 
イメージ 6
写真6
 
おもしろいことに、ゴマダラチョウといっしょに常連の一つのワカバグモが一枚の葉っぱにくっついて出てきました(写真7)。もう一つの常連シロモンヤガも相変わらず出てきます。いっしょに揃うといつも思わず笑ってしまいます。
 
イメージ 7
写真7
 
結構歩いたので、帰り八王子駅に着く頃には29,000歩になっていました。あまり収穫がなく、電車に乗った途端、どっと疲れが出てきました。