Dr. Tairaのブログ

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ストレートネック

今朝のNHKあさイチ」では猫背とストレートネックを取り上げていました。猫背は一般によく知られていますが、ストレートネックというのはあまり馴染みがないと思います。しかし体調不良につながる重大な首の骨の障害です(後述)。
 
本来、首の骨(頚椎)は30〜40度の湾曲があって、頭に向かって後ろ側にやや反っています。ところが、不適切な姿勢が長い間つづいたり頸椎が疲労することなどによって、その湾曲がまっすぐになってしまうことがあります。この状態をストレートネックといいます。
 
猫背も肩、背中、腰の型があって、姿勢が悪いことが原因ということでストレートネックと関連があるようです。悪い姿勢の典型の一つが若い人に多く見られるスマートフォンを直視する姿です。
 
番組では実際にスマートフォンを見ている時にどの程度首に力がかかっているかを試験していました。図1は単に椅子に座っている時()と、手にスマホを持って目を下に投じている時()の首にかかる力の比較を示しています。座りながらスマホを見ていると、何もしていない時の1.7倍も力が加わることが示されていました。
 
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図1. 座っている時と座った状態でスマホを下に見ている時の首にかかる力の比較(2019.03.04 NHKあさイチ」より)
 
これが歩きスマホをしている時になるともっと強烈になります。歩きながらだと下からの振動が加わるため首にかかる力はさらに増すことが示されていました(図2)。
 
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図2. 座っている時と歩きスマホをしている時の首にかかる力の比較(2019.03.04 NHKあさイチ」より)
 
頭は本来頚椎が支えていますが、ストレートネックになると頭部の重心が前に移動してしまうために、首の筋肉だけで支えなくてはならなくなります。結果として、筋肉の緊張により慢性的な肩こりや首の痛みを生じます。さらに、首の神経を傷めることで頭痛、手足のしびれ、めまいなどを惹き起こすことがあります。
 
頭痛や肩こりの原因として不自然な首の状態でスマホを見続けることがあったわけですね。改善法としてはスマホをみる時間の短縮と、見る時になるべく目の高さに近いところに画面を置くということが挙げられます。
 
番組ではさらに枕が原因で起こるストレートネックを取り上げていました。枕が高すぎるのはよくなく、背中から頭部に向かって10-15度の角度が理想的であり、かつ首・背中とベッドの間に隙間ができなことが重要であると指摘されていました(図3)。枕が高い場合には、首の下にバスタオルを2枚敷き、空間を埋めることである程度改善されることが紹介されていました。
 
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図2. ストレートネックを防止するための理想的な枕の高さ(2019.03.04 NHKあさイチ」より)
 
ちなみに私がスマホを見る時間は1日30–40分です。外でスマホを見るときは必ず立ち止まります。スマホが原因で頭痛や肩こりを生じたということは感じたことがありません。もっともPCを見ている時間ははるかに長いですが。
 
             
カテゴリー:生活と科学