Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

オキザリスとヤマトシジミ

ヤマトシジミZizeeria maha)の幼虫の食草はカタバミOxalis corniculata)ですが、カタバミ属(オキザリスOxalis)には観賞用に移入されたいろいろな種があり、国内で広く野生化(帰化)しています。私は以前からこれらのオキザリスヤマトシジミとの種特異的関係性に興味があって、機会をみてはさまざまなオキザリスに対するヤマトシジミの反応を観察しています。
 
外来種であるモカタバミOxalis articulataムラサキカタバミOxalis debilis )ではヤマトシジミは育たないとされていますが、その他の多くのオキザリスとの関係についてはまだわかっていないことが多いようです。前のページでも紹介しましたが、そばにヒメツルソバがあるとハナカタバミOxalis bowiei)に対する吸蜜の優先性は低くなるようです。この理由は何なのでしょうか。
 
今朝は仕事で出かける前に、近くで生えているオキザリスを見にいきました。道路脇にイモカタバミとベニカタバミ (Oxalis brasiliensis)が混生している場所です(写真1)。
イメージ 1
写真1
 
写真2は、イモカタバミの花です。
イメージ 2
写真2
 
こちらはベニカタバミです(写真3)。
イメージ 3
写真3
 
結論から言うと、ヤマトシジミはベニカタバミの周辺にはほとんど見られませんでしたが、イモカタバミには群がっていました。これは偶然なのでしょうか。
 
写真4は、イモカタバミを吸蜜するヤマトシジミのメスです。たくさんのメスがいましたが(オスとの数の比率はほぼ1:1)、見た限り、大部分が翅に青みが出てきたいわゆる青メスでした。
イメージ 4
写真4
 
写真4の左の個体の接写画像です(写真5)。
イメージ 5
写真5
 
別の青メスです(写真6)。
イメージ 6
写真6
 
さらに別個体(写真7)。かなり青みが強く出ています。
イメージ 7
写真7
 
幼虫は育たないとされるイモカタバミですが、少なくとも成虫は積極的にとまり、吸蜜はするようです。短い観察時間でしたが、産卵行動は見られませんでした。