Dr. Tairaのブログ

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ヤマトシジミ♂の個性


ヤマトシジミ Zizeeria maha は、本州以南に分布するシジミチョウであり、カタバミさえあればどこにでも発生します。東北以南では最も個体数の多いチョウと言ってもいいでしょう。

前のページでは、ヤマトシジミの♀の個性(多様性)について紹介しました(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16540005.html)。ここでは♂の個性について、最近の写真から選んでアップしたいと思います。

写真1は、ツツジの葉(左)およびヒメツルソバ(右)にとまる個体です。左の個体は、前翅の黒い縁取りの内側に薄い黒点が並んでいます。右の個体は後翅縁の黒紋がほぼ繋がっています。

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写真1(撮影: 2018.10.19)

写真2は、カタバミあるいはベニカタバミを吸蜜している個体です。左上の個体は後翅縁の黒点が非常に薄くて小さく、見えにくくなっています。残りの個体は典型的な模様ですが、右下のものは鱗粉がとれているのか、褐色がかっています。

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写真2(撮影: 2018.10.21)

写真3は、ヤブガラシの葉(左)とカタバミ(右)にとまる個体です。左の個体は黒の縁取りの幅が小さく、後翅縁の黒点がほぼ見えなくなっています。

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写真3(撮影: 2018.10.24)

写真4は、カタバミを吸蜜している個体です。左の個体は前翅の黒の縁取りの幅がやや広く、右の個体は後翅縁の黒点が小さいです。

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写真4(撮影: 2018.10.26)

写真5は、カタバミの葉(左)および花(右)にとまる個体です。左の個体は翅脈に沿って内側に黒い線がやや強く出ています。右の個体は後翅縁の黒点が小さいです。

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写真5(撮影: 2018.10.29)

上に挙げた写真ように、ヤマトシジミの♂は青白い翅をもつ一方、♀は黒色の翅をもつので、両者の識別は一般的に容易です図1

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図1. ヤマトシジミの♂(A)と♀(B)の翅の色の違い

ところが秋に発生する♀の個体は青みが強く出たものが多く見られ、雌雄の特徴が紛らわしくなります。

図2に♂と♀の紛らわしい色合いの個体を示します。図2A、Bが♂、図2C、Dが♀です。図2Aの個体は黒縁の幅が非常に広く、図2Bの個体は褐色がかっています。このような♂に対して、いわゆる青♀と呼ばれる個体は、翅の中心部が青くなりますので、パッと見で識別がむずかしくなります。

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図2. ヤマトシジミの♂(A、B)および青型の♀(C、D)

このように、表の翅の色だけでは雌雄の識別が簡単ではなくなるので、実際には個体の大きさや裏側の色なども参考にする必要があります。

図1に加えて、図3に♂♀の特徴を示します。最も参考になるのが、図1にも示しましたが前翅前部の白いラインです。通常♂は白くなっていますが、♀にはこの白い部分がありません。また、一般的に♂よりも♀の方が翅が大きく、翅の裏側がより濃い色でベージュっぽい色合いになります。

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図3. ヤマトシジミの♂と♀の判別の方法