Dr. Tairaのブログ

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マコモタケ


今日の夕方、TBSテレビ「Nスタ」でマコモタケを紹介していました。マコモタケはイネ科の多年草であるマコモZizania latifolia)からできる作物です。柔らかいタケノコのような、あるいは長芋の炒め物のような食感がある、ほのかな甘みがあるさっぱりとした食品です(図1)。

マコモタケとは呼んでいますが、キノコでもタケの類でもありません。イネ科の野菜であり、食感から言えば根菜類に近いです。

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図1. マコモマコモタケ(2018年10月17日 TBS「Nスタ」より)

マコモ水耕栽培であり、機械による収穫がむずかしい作物です。そのため、これまで大量に広がることはありませんでしたが、今静かなるブームとして注目されています。とくに西日本や中部地方を中心に流通しています。

いまブームとなっている主な理由としては、栽培管理が楽であること、耕作放棄地を有効利用できること図2、そして炒め物や煮物として簡単に料理に適用できることであり、その特徴的な食感と味が注目されているわけです

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図2. マコモがいま注目されるわけ(2018年10月17日 TBS「Nスタ」より)

マコモ水耕栽培すると、茎が次第に肥大してきます。これをマコモタケとして収穫し、食用とします(図3)。マコモの茎の中には黒穂菌というカビが寄生します。この黒穂菌は江戸時代、胞子を取り出してお歯黒や眉墨として利用されていました。

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図3. マコモと黒穂菌(2018年10月17日 TBS「Nスタ」より)

図4マコモの茎を折ったところで、中に黒色の黒穂菌が入っていることがわかります。

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図4. マコモの中の黒穂菌

私は大学に勤めていた頃、農業とバイオテクノロジーに関する研究センターを設立し、その研究開発の一環としてとしてマコモを栽培していました(図5)。

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図5. マコモの栽培(豊橋技術科学大学圃場)

地域の農業フェアなどの催し物があるときは、研究センターによるポスターや現物展示を行なって、積極的にマコモの宣伝をしていました(図6)。

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図6. 農業フェア(愛知県豊橋市)におけるポスターとマコモの展示

今日の放送を見て、なつかしいマコモタケの味と姿が脳裏に呼び起こされました。お奨めの食品です。炒め物が一番簡単で適していると思いますが、厚い皮をむかなくてはいけないことは少々面倒くさいです。