減らせるか? 使い捨てプラスチック
このブログでも、何回か取り上げてきましたが、石油系プラスチックごみやそれによる海洋汚染が、グローバルな環境問題になっています。今日のNHK「くらし解説」では、その対策の前提となる「使い捨てプラスチックの消費をいかに減らせるか?」というテーマを取り上げていました。
世界のプラスチック生産量は3.1億トンに達しており、その40%弱が包装容器として使われています(図1)。
図1. 世界のプラスチック生産量の経年変化
現在、プラスチックごみの一部は、海に意図的・非意図的に排出されており、その量は年間800万トンに達しています。このままいけば、2050年には重量ベースで海に棲む魚の量を廃棄プラスチック量が上回ってしまうと試算されています(図2)。それとともに、海洋動物への健康被害や生態学的影響がすでに報告されています。
図2. 海へのプラスチックごみの排出量とその生態学的影響
現在、日本で一人当たりが排出するプラスチックごみの量は、米国に次いで世界第2位です(図3)。ごみの多くは回収されて、燃料や熱資源として中国に輸出されていましたが、中国がすでに輸入を禁止しました。したがって、現在の国内における資源としてのリサイクル率は数%に留まっています。
国内におけるスーパーマーケットやコンビニにおけるお客のレジ袋の辞退率は、約54%であり、十分とは言えません。ストローなどのプラスチック製品利用を廃止すると宣言している日本企業もありますが、依然わずかに留まっています。先日のG7海洋プラスチック憲章にも、日本は署名しませんでした(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16336526.html)。
一方、すでにEUの多くの国や米国では、石油系プラスチック製品の使用を禁止しています。
図3. プラスチックごみ問題に対する日本の取り組みの現状
日本人は、自国が環境先進国のようなイメージを持っているかもしれませんが、実は環境技術はもっていても、プラスチックごみ等に関する環境問題への意識はすでに後進国に成り下がっているのです。とくに現政権になってからの意識の低下が顕著です。
遅ればせながら、国も専門家の小委員会を立ち上げて対策に乗り出しています(図4)。代替製品の開発、企業の自主的取り組み、レジ袋有料化、ライフスタイルの見直しなどですが、すでに先進諸国では実施済みのことばかりです。日本の現状は、完全に周回遅れです。
図4. プラスチックごみ削減に関する専門家の小委員会(環境省)
放送では、最後に「使い捨てプラスチックに頼りすぎる社会を見直す」ことを提言していました(図5)。要は、国や現政権が積極的に動かない限り、世界との差を、ますますつけられてしまうことになるでしょう。
現在、日本は政治的劣化のみならず、教育、福祉、産業、学術などあらゆる面で中国、米国、EU先進国に差をつけられ、活性低下が止まりません。さらに、環境面においても、プラスチックごみ問題に見られるように、二流国に落ちてしまっています。国の早急かつより積極的な対策が必要です。