カナダ、シャルルボワでG7=主要7か国首脳会議が開催されましたが、6月9日、その拡大会議でプラスチックごみによる海洋汚染の問題が協議されました。今日のTBS NEWSはその様子を伝えていました [1]。
近年、廃棄プラスチックの海洋汚染は深刻化しており、世界全体の課題として取り組む必要があるというのが、会議の趣旨です(図1)。
図1. G7拡大会合におけるプラスチックごみ問題の協議(2018.6.10. TBS NEWSより)
カナダのトルドー首相を議長とするG7拡大会合は、「プラスチックごみの問題は世界全体の課題として対処する必要がある」と指摘した上で、海洋保護と持続可能な漁業の実現、沿岸部のコミュニティへの支援などを各国に促す「海洋プラスチック憲章」をまとめました(図2)。
図2. G7拡大会合における「海洋プラスチック憲章」の認定(2018.6.10. TBS NEWSより)
この点について日本政府関係者は、「プラスチックごみを減らしていく趣旨には当然賛成しているが、国内法が整備されておらず、社会にどの程度影響を与えるか現段階でわからないので署名ができなかった」と、訳のわからないコメントを出しています。
環境省は2016年12月に「海ごみシンポジウム2016」を開催しており、その際に、すでに「G7伊勢志摩サミット」においてプラスチック汚染が世界共通の課題であることが認識されていたことを述べています(図3)[2]。
図3. 海洋ごみシンポジウム2016開催に関するウェブ情報 [2]
さらに、中川雅治環境大臣は今年3月に、プラスチックごみ汚染の問題が「世界が連携して取り組むべき地球規模の課題である」と述べていました(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16219530.html)。一体あれは何だったのでしょうか。
現在、世界的に年間800万トンにもおよぶプラスチックごみが海に捨てられおり、漁業活動や生態系にも大きな影響を及ぼすことが懸念されています。とくに日本近海でのマイクロプラスチック汚染量は世界平均の27倍であり [3]、科学者も強く警鐘を鳴らしています。本ブログでもこの問題を4回にわたって取り上げてきました。
上記の「海ごみシンポジウム2016」においても、環境省によって海ごみ汚染の現状が詳しいデータとともに紹介されています [4]。
環境問題に限らないことですが、まざまな重要課題に対する現政府・政権の後進性と主体性のなさは、この国の行く末を考えると誠に憂慮すべき事態です。
参考文献
1. TBS NEWS: G7でプラスチックごみの海洋汚染問題協議、日本署名せず. 2018.6.10. https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20180610-00000045-jnn-int
3. Isobe, A. et al.: East Asian seas: A hot spot of pelagic microplastics. Mar. Pollut. Bull. 101, 618-623 (2015). https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0025326X15301168