Dr. Tairaのブログ

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プラスチック汚染問題-2

現在私は、自宅でテレビをつけながら原稿執筆したり講演の資料作成をしていることが多いのですが、今日もPCに向かっていたところ、プラスチック汚染のニュースが飛び込んできました。昨日、プラスチック汚染について本ブログに書きましたが、同様なプラスチック汚染の問題をTBSテレビが報じていました。

プラスチック汚染問題-1

 
ニュースでは、貝類(二枚貝)内部に微小プラスチック(マイクロプラスチック)が蓄積していること(図1左上)、これらが食卓に上がることによって、私たちの体内に取り込まれている可能性があることを伝え(図1右上)、さらに海洋プランクトンが微小プラスチックを摂取すると死滅することから生態系(食物連鎖)に影響を与える可能性があることに言及していました(図1左下)。
 
ニュース源は、ベルギーのコリン・ジャンセン(Colin R. Janssen)博士らの研究成果ですが(図1右下)、彼らは数年前からこの問題を学術論文として報告し続けています [1, 2]。同様の微小プラスチック汚染は、中国で売られている二枚貝にも確認されていますので [3]、これは日本をも含む世界的な傾向と思われます。

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図1. 貝類のプラスチック汚染と生態系への影響(TBSニュースから)
 
今のところ、私たちの健康へ与える影響については不明です。とくに生涯期間(プラスチックを食べ続ける期間)が長い子供に対する影響などについては、今後研究が進められるべきでしょう。ジャンセン博士は次世代へ私たちの負の遺産を残すべきでないと語っています。

参考文献
 
1. Van Cauwenberghe, L. et al.: Microplastics in bivalves cultured for human 
consumption. Environ. Pollut. 193, 65-70 (2014). https://doi.org/10.1016/j.envpol.2014.06.010
 
2. Van Cauwenberghe, L. et al.: Microplastics are taken up by mussels (Mytilus edulis) and lugworms (Arenicola marina) living in natural habitats. Environ. 
 
3. Li, J. et al.: Microplastics in commercial bivalves from China. Environ. Pollut.  207, 190-195 (2015). https://doi.org/10.1016/j.envpol.2015.09.018