Dr. Tairaのブログ

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林試の森公園

昨日は自然教育園とともに同じ目黒駅の近くにある林試の森公園にも行ってきました。広さ約12 haの都立公園です。元々は林業試験場があったところで、つくば市にそれが移転(現・独立行政法人森林総合研究所)した後に、跡地が東京都に払い下げられて公園として整備されたものです。
 
写真1は公園入り口にある掲示です。

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写真1
 
園内には林業試験場当時からの樹木がそのまま残されており、ケヤキクスノキプラタナス、ポプラ、スズカケノキなどの巨木があり、コナラを含む雑木林らしいエリアもあります。また園内のアベマキの木があり、ミズイロオナガシジミが発生することが知られています。
 
さらに、数はそれほど多くはありませんがエノキの高木もあり(写真2)、ちょっと根元をチェックしたところゴマダラチョウ越冬幼虫が出てきました。
 
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写真2
 
ただエノキに限って言えば、中央の広場に集中して生えていて落ち葉がまったくない砂漠のような状態になっていました(写真3)。基本的にこの公園は、子供の遊び場として、そしてレクリエーションやジョギング、ウォーキングなどで活用されているところなので致し方ないところですね。
 
イメージ 3
写真3
 
個人的に興味を持ったのは、ユーカリの倒木がそのまま置いてあったことです(写真4)。

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写真4
 
このユーカリは台風で倒れた後、自然放置でどう変わっていくかを経過観察するために残されているもののようです(写真5)。おもしろい試みだと思って眺めていました。

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写真5
 
異様だったのでは、子供に混じってたくさんのマスクをした大人がスマートフォンを見ながら、いたるところに佇んでいたことです(写真6)。中には外国人もいました。横から画面を覗いたところポケモンGOをしていることがわかりました。
 
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写真6
 
それにしても、公園という環境にいながら自分の五感を周囲の樹木や土や空気などの自然のリアリティに対して使わず、ひたすら電子画面の向こうのヴァーチャルな空間に投じる姿は、人間の非生物化ここに極まれりということを感じました。
 
幼い子供が池の方を指差して「あそこにいく」と若い母親に一生懸命せがんでいましたが、しびれを切らして走りかけたところ足をとられ、ころんでしまいました。それに対し母親は電子画面に夢中で返事もせず、息子がころんだのも気づかない姿を見て、生物としてのセンサーをも捨てた人間の劣化を感じました。