Dr. Tairaのブログ

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自然教育園

 今日は自然教育園に行ってきました(写真1)。東京都港区白金台にある国立科学博物館附属の自然緑地です。JR山手線の目黒駅から徒歩10分弱のところにあります。余談ですが目黒駅は目黒区ではなく品川区にあるのが不思議です。
 
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この緑地は、あまり人の手を入れずに自然に任せるというコンセプトで管理されているため、都心とは思えないほどのうっそうとした自然の森の姿をうかがい知る貴重な場所となっています。入園料は通常310円ですがこの日は無料でした。
 
自然に任せるというコンセプトは、観察路を進んですぐのところにある「林の移り変わり」という掲示にも現れています。元々は松林だったそうですが、次第に広葉樹に変わっていったという経緯が書かれており、さらに常緑樹森に変わって行くだろうと説明されていました(写真2)。

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写真2
 
教育園という名前のとおりに観察路のところどころに子供向けの掲示もありました。写真2にある「自然の中のそうじ屋さん」という掲示の前では、幼稚園くらいの子供が母親に一生懸命質問していたのですが、彼女の説明があやふやで間違っていたので、私が横やりで説明をしてあげました。
 
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写真3
 
写真4は園内にある湿地のエリアの風景です。遠くにビルが見えますが、これがなければここがどこなのかわからないほどです。
 
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写真4
 
湿地を少し離れたところから見た風景です(写真5)。
 
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写真5
 
湿地の横にある池です(写真6
 
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写真6
 
途中で立派なコナラの林がありました(写真7)。
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写真7
 
少し残念だったのは、写真2、3でわかるように、観察路の両側にはロープが張られ道以外は立ち入ることができないようになっていたことです。もちろん緑地の管理上通路以外には立ち入り禁止というのは理解できるのですが、ロープが張られた道を単に回って「はい終わり」では、あまりにも無味乾燥です。
 
緑地の森自身の価値は十分に感じるとることができるのですが、木や葉に直接触れ、落ち葉を踏み、植物の香りを感じて楽しむという価値はそこには与えられておらず、入場料分の価値はないと率直に思いました。教育園と名は付いていますが「一切何も触るな」と言われているようです。

入場料をとるならお客が木々や植物に直接触れることのできるコーナーがあってもよいと思いますし、それでこそ教育ではないかと思います。海外でもこの手の自然観察園のようなところはたくさんありますが、ロープやフェンスなどのバリアがあるというのは日本にしかないように思います。
 
園内の通路からロープ越しに手が届くところにエノキがあったので、試しに管理事務所まで出向いて「昆虫の生態を調査している者です。そこにエノキがあるので根元の落ち葉に触ってもよいでしょうか」と訊ねたら、予想どおり「いきなりでは困る、ダメだ」というのが回答でした。「申請書を提出してもらい、それで検討して許可の決済をもらわなくてはいけない」という、面倒臭い手続きを言われましたので「はい、わかりました」と引き下がりました。

まあ事務所の対応は当たり前と言えば当たり前なのですが、さすが文部科学省管轄だと思った次第です。もっともエノキの根元の落ち葉の状態はよくなく(拡散している)、調べたとしてもゴマダラチョウの越冬幼虫は見つからないでしょう。
 
自然教育園の隣には東京都庭園美術館の庭園がありますが、自然教育園とは好対照の手入れの行き届いた庭の姿を見ることができます。ここも訪れましたが、皮肉にもこちらは木々に触り放題ですし、エノキの根元には大量の落ち葉がありました(写真8)。

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写真8
 
                                        
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