この時期、セイタカアワダチソウ(Solidago canadensis var. scabra [Solidago altissima])の黄色い花が咲き始めました。キク科アキノキリンソウ属の多年草ですが、北アメリカ原産の外来種であり、明治時代の終わりに鑑賞用として導入されたものが野生化しています。とくに前後急速に拡大したようです [1]。
近くの梅畑を見たら、この花で埋め尽くされていました(写真1、2)。
写真1
写真2
セイタカアワダチソウは、外来生物法により要注意外来生物に指定されているほか、日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています。とくに在来種のススキと競合します。
セイタカアワダチソウの繁殖力の強さは、アレロパシー(他感作用、allelopathy)に関係するとされています。これは、ある植物が化学物質を放出して他の植物の生長を抑えたりする作用のことです。ときには、動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりします。
セイタカアワダチソウのアレロパシーの物質は、cis-DME(シス-デヒドロマトリカリエステル)であるとされています。cis-DMEは自分自身の種にも作用するので、最終的にはススキとの競合に負けるようです。
花に近づいて見ると、いろいろな昆虫が群がっていました。写真3はニホンミツバチ(Apis cerana subsp. japonica)です。セイヨウミツバチに比べると黒っぽい体をしています。ハチが寄ってきやすいので、セイタカアワダチソウが集蜜に使われたこともあるようです。
写真3
こちらはアオハナムグリ(Cetonia roelofsi)です(写真4)。
写真4
ついでに、最盛期のセイタカアワダチソウの写真を添付します(写真5)。豊橋技術科学大学キャンパスの南側に繁茂している様子で、ススキを追いやっています。
写真5(撮影:2015年11月6日、豊橋技術科学大学)
参考文献
[1] 小西真衣: セイタカアワダチソウ(Solidago altissima L.). 草と緑 2, 29-35 (2010). https://www.jstage.jst.go.jp/article/iuws/2/0/2_29/_article/-char/ja/