雑木林と湿地の植物
昨日はある公園に昆虫観察に出かけましたが、周辺で見られた植物を続きとして紹介します。観察した場所は比較的大きな公園の一角にある雑木林とそれに隣接する湿地です。普段は一般人は入れないエリアですが、休日は30分ほどの一般公開の時間が設けられています。訪問者は私一人だけでしたが、自然観察指導員の方が随行して適宜説明をしてくれました。
雑木林は珍しくイヌシデ Carpinus tschonoskii を主体とする植生になっていました。写真1の両側に見られる高木がイヌシデ、真ん中がコナラ Quercus serrata です。
写真1
雑木林を抜けるとすぐに開けた湿地帯になります。ところどころに高木があり、それを囲むようにさまざまな低木や幼木がありました(写真2)。自然観察指導員の方から、高木には頻繁に鳥がやってきてとまり、それらが落とすタネで生えてくるとの説明がありました。
都市公園でもよく見られる現象ですが、一般的に零れ種で生えてくる木は、なぜか伐採されてしまうのが常です。このような、自然に生えてきたものを適宜残していくような管理の仕方はできないものでしょうか。
写真2
写真2の場所のすぐそばには、自生したイボタノキ Ligustrum obtusifolium の実がなっていました(写真3)。ネズミモチの実によく似ています。
写真3
湿地には、セリ Oenanthe javanica がいっぱい繁茂しているのが目につきました(写真4)。湿地性の植物で、日本では春の七草の一つとして食用にもされていますが、寒さには強いと説明がありました。
写真4
セリのすぐそばには、これも食用にされるオランダガラシ(クレソン、Nasturtium officinale)が繁茂していました(写真5)。
写真5
ちょっと驚いたのは、特定外来生物であるオオフサモ Myriophyllum aquaticumが、池の水面にはびこっていたことです(写真6)。日本の侵略的外来生物ワースト100にも名を連ねているように、水路や湖沼の水面全体を覆い尽くすほど大繁茂し、在来種の植物の生育を妨げてしまう厄介者です。
写真6
池の表面は部分的に黄褐色に変色しており、まるで油が浮いたような模様になっていました(写真7)。鉄細菌(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16328299.html)の作用によるものと考えられます。
写真7
湿地帯の脇にはセイタカアワダチソウ Solidago canadensis var. scabra がたくさん見られ、名前のとおり泡立ち化していました(写真8)。
写真8
以上、30分の短い観察時間でしたが、内容的に密度の濃いひと時となりました。紹介しきれない写真が山ほどあります。指導員の方のわかりやすい説明もあり、あらためて大変勉強になりました。