Dr. Tairaのブログ

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ユル〜い竹島水族館

 
前のページで、日本のマニアックな水族館の一つとして山形県鶴岡市加茂水族館を紹介しました(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16412246.html)。この水族館はクラゲ専門の水族館としての特徴があります。一方、別の意味でマニアックなのが愛知県蒲郡市にある竹島水族館です。観光名所として有名な竹島写真1)のすぐそばにある水族館です。
 
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写真1
 
竹島水族館がどういう意味でマニアックなのかというと、言い方は悪いですがボロさと手作り感のユルさという点で徹底しているのです。
 
たとえて言うならば、沖縄美ら海水族館、大阪の海遊館、同じ中部地域の名古屋港水族館鳥羽水族館が「ディズニーランド」ならば、竹島水族館は一昔前の「浅草の花やしき」といったところでしょうか。写真2は、昭和感漂う竹島水族館の入り口を示します。
 
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写真2
 
私はこれまで7回竹島水族館を訪れていますが、初めて訪れた1990年代当時は、お金なし、人気なし、知名度なし、お客なしの四重苦に苦しむ、超弱小水族館だったように記憶しています。建物は国内でも1, 2位を争うほどの古さであり、サッと歩いて見ていけば10分もかからないほどで狭さです。まさしく古臭さとショボさを絵に描いたような水族館で、閉鎖寸前といったところでした。
 
館内はいつも閑古鳥が鳴いていて、営業的なやる気のなさ?が随所に見られました。目玉のアシカショーの時間になっても見物人は数人しかいなかったように思います。ただし、当時からアシカのパフォーマンスのレベルは高いように思いました(写真3左)。また、ショボいけれども、ピンクのフグ(写真3右)やタカアシガニ写真4)をはじめとするいくつかの珍しい生物の展示コーナーもあって、500円という格安の入館料を考えれば、何か捨てがたい魅力も感じていました。
 
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写真3
 
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写真4
 
報道でも紹介されていますが、転機となったのは現在の若い館長が就任してからのようです。すなわち、建物が小さい、お金がない、スタッフも少ないというなら、それなりのお客さんの目線を考えた展示スタイルに変えていくという、水族館の新たなやる気が徐々に成功につながったと言えます。
 
工夫されてきたことの一つとしては、各展示に手書きの解説文が添えてあることが挙げられ、子供はもちろんのこと、大人でも笑いながら楽しむことができます。また、サメ(写真5)、エイ(写真6)、タカアシガニ、オオグソクムシなどの生きた生物を、手で直接触れることのできるコーナーが登場して、子供に人気が出ました。
 
2012年に訪れた時には、雰囲気がかなり変わっていて、お客さんで賑わっていました。2017年には耐震工事の改修も終えてリニューアルし、今まで以上に人気が出てきたようです。
 
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写真5
 
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写真6
 
なぜか、奥の方には以前はいなかったカピバラもいて、スタッフがエサを与えるカピバラショーも催されています。
 
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写真7

今の竹島水族館のV字回復ぶりを見ると、豪華な大型水族館では味わえない、古臭さやショボさを逆手にとった全体的にユルい雰囲気と手作り感が、現代人にフィットにしているのではと思えます。
 
とはいえ、これは水族館スタッフの努力ももちろんあるとは思いますが、インターネットやSNS上でちょっとした「いいね」情報がまたたく間に拡散できるという、まさしく現代ならではの現象かもしれません。