Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

チャドクガの発生


ウチの裏庭にはツバキやサザンカなどのツバキ科の木があります。お昼前にサザンカに水をあげようとしたら、真ん中の部分の葉っぱがなくなっていることに気がつきました。よく見ると、チャドクガArna pseudoconspersaの幼虫がいっぱいいます(写真1)。彼らに食べられてしまったようです。

イメージ 3
写真1

チャドクガは鱗翅目ドクガ科の昆虫で、日本では代表的な毒蛾の一つです。園芸植物に被害をおよぼすなど害虫として知られています。幼虫はいわゆるケムシの容態をしており、春から秋にかけて年2回発生します。写真1では1 cmちょっとの大きさですが、成長すると3 cm近くになります。チャノキ、ツバキ、サザンカなどツバキ科の植物の葉を食害します。

若齢の幼虫は、数十匹が頭を揃えて並びながら集団で葉を食べます(写真2)。ひとつの枝の葉を食べつくすと、また一列に並んで隣の枝に移動していきます。

イメージ 2
写真2

チャドクガの幼虫には、刺激を与えると全員が頭を上げて同じように左右に振る(怒り出す?)性質があります。写真ではわかりづらいですが、割り箸で突いたらやっぱり全員で頭を振り始めました(写真3)。

イメージ 1
写真3

チャドクガは幼虫から成虫まで生涯を通じて毒針毛をもちます。この毛に触れると、かぶれを生じ、一度その被害にあうと2回目以降アレルギー反応を起こすことがあるので注意が必要です。この毒針毛は非常に細かく、長袖でも繊維のすきまから入り込んだり、風下にいるだけで被害にあうことがあります。私も被害に受けたことがあるので、今回も触れないように注意しながら観察しました。

ちなみに、毒針毛に触れた時の症状は、1時間から数時間経過して痒みとともに皮膚が赤く腫れてきます。イラガのような痛い感じの痒みではありませんが、痒みが全身に広がったり、発熱やめまいを生ずることもあるので、虫刺され程度だと甘く見ないで、速やかに医師の診察を受けたほうがよいです。

成虫は、オスで開長25 mm前後、メスで30 mm前後の大きさの黄色のガですが、個体によって色合いはかなり異なります(図1)。家の外壁などに羽を閉じた状態でよくとまっているときがあります。

イメージ 4
図1. チャドクガ成虫のオスとメス(出典:原色日本蛾類図鑑 [保育社] )