今日通りを歩いていたら、車道と歩道を隔てるツツジの植栽の中から伸びるウマノスズクサ Aristolochia debilis を見つけました(写真1)。ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属の多年生つる植物です。ジャコウアゲハ Byasa alcinous の食草として知られています。
写真1
ひょっとしたらジャコウアゲハの幼虫がいるかもしれないと思って、葉の裏側を見てみたらすぐに見つかりました(写真2)。中齢幼虫です。少なくとも3頭はいました。
写真2
ウマノスズクサには毒性のあるアリストロキア酸が含まれており、幼虫がその葉を食べることによって体内に毒を蓄積します。この毒は成虫に至る一生を通して体内に残るため、ジャコウアゲハの捕食者は食べると中毒をおこしてしまいます。捕食者から逃れる生存戦略として進化上このような食生態を選択してきたわけですね。
さらに伸びたつるの先の葉を裏返しにすると、オレンジ色の卵も見つかりました(写真3)。
写真3
この通りでウマノスズクサを見つけたのは初めてです。よくこんな車の多いところにところに産んだものだなと思いながら、植栽の延長を見てみたら雑草の剪定が始まっているところでした。
ツツジ間を縫って出てきたエノキの幼木、ヤブガラシ、ヘクソカズラ、ヒメジョオンなどがことごとく切られていました。自然の恵みは排除し、ツツジ以外はすべて許さないという感じです。日本人はこういう均質性が好きですね。おそらく数日したらウマノスズクサも幼虫共々除去されてしまうのでしょう。
幼虫と卵については何とか対策を考えたいです。
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