Dr. Tairaのブログ

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ササラダニ

生ゴミ処理器の中に生息する生物はバクテリアが中心ですが、微小動物もたくさんいます。今日、植木鉢処理器内の処理物をかき混ぜたところ、処理物の表面に小さなゴマのようなツブツブが多数くっついているのが見えました(図1)。よく見るとゴソゴソと動いていますし、足も見えます。ササラダニです。
 
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図1. 生ゴミ処理器内のササラダニ(タマネギの皮[左]とネギの皮[右]のに多く存在)
 
ササラダニはクモ綱ダニ目に属する節足動物です。いわゆるダニの仲間で、昆虫とは違い,体は前体部と後体部の2つに分かれています(昆虫は頭部、胸部、腹部の三つ)。また、足の数は4対8本です(昆虫は6本)。主に土壌中に住んでいて節足動物の中で最も個体数の多いものの一つです。体色は茶か白色が多いと言われています。体長は大きくて数ミリ程度ですが、0.5 mm以下のものもいます。写真に見えるものは0.3–1.0 mmの大きさで、白の体色をしています(図2)。
 
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図2. タマネギの皮(図1)の上のササラダニの拡大図
 
ダニというと,人の体について血をすったり,部屋の中にいてアレルギーの原因になったりするなど、私たちには害虫としてのイメージがあります。しかし、ササラダニは、いわゆる害虫としてのダニとは別のグループであり,自然界にはなくてはならない大切な微小動物です。すなわち、土壌中の腐食物、有機物、菌類を食べて生活しており、土壌の掃除屋の役割を担っています。また、微生物と相互作用を持つことにより,有機物の分解過程や物質循環において重要な役割を果たしています。
 
生ゴミ処理器でササラダニが増えると、生ゴミの分解速度が高まるので、歓迎されます。しかし、40℃を越えるような状態になるといなくなります。40℃以上では、バクテリアの働きだけで十分に生ゴミ処理が達成されます。