前のページでも紹介したように、Hestina属チョウの幼虫は頭を浮かしてエノキ葉上に静止する性質があります。↓
写真1はその例で、2化目のアカボシゴマダラの5齢幼虫の様子を示します。
写真1
このように幼虫が頭を浮かすのは、外部からの物理的ストレスに対する身構えの反応とも言われていますが、その意味はよくわかっていないようです。
8月現在、アカボシゴマダラは3化目の発生段階にあり、エノキ若木上に多数の卵から4齢幼虫まで見ることができます。この時期の幼虫においては、上記の頭をもたげる姿勢とはまたちょっと様子を異にする形を見ることができます。どこが違うかといえば体の反り方が尋常でないのです。
写真2はそのうちの一つで、直射日光が当たる葉上で体を反らして静止している姿勢です。炎天下では葉上の温度は40℃前後になりますが、このような暑い葉っぱの上では例外なくこの姿勢をとっているところが観察できます。
写真2
写真3ではほぼ垂直に体を起こしています。
写真3
この直立不動の姿勢は脱皮齢に関わらず見られます。写真4は、脱皮直後の2齢幼虫を真上から見たところです。
写真4
この直立不動の姿勢は炎天下の葉上で見られることから体温調節に関係しているのかもしれません。体をできる限り反らすことによって、体が温まりすぎることを防いでいるように思われます。
後日追加:ツイッター投稿動画
大部分が越冬型に変身する中、4化目の羽化を目指すアカボシ終齢幼虫もまだまだいます。お決まりの日光下での直立ポーズ。 pic.twitter.com/Auis8ym3Xe
— Dr.Taira-虫ac (@rplelegans) 2019年10月9日
今まではもっぱら中齢幼虫の直立不動を見てきましたが、今日は終齢(体長44 mm)の直立姿が見られました。脱皮齢に関わらず炎天下で見られる性質のようです。#アカボシゴマダラ pic.twitter.com/PEOYk4ssRW
— Dr.Taira-虫ac (@rplelegans) 2019年9月1日