Dr. Tairaのブログ

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アカボシゴマダラ3化目の発生

昨日晴れ間を狙って、定点観察のエリアをくまなく回り、アカボシゴマダラの3化目の発生状況を調べました。その結果、多くの場所で産卵と孵化を確認することができました。写真1はエノキ低木の葉上に産み付けられた卵を示します。直径約1 mmです。
 
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写真1
 
すぐそばの枝の葉上では、1齢幼虫が観察されました(写真2)。体長3.5 mmです。幼虫の体長や卵期の日数から考えると、1週間前には卵が産み付けられていたものと推察されます。
 
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写真2
 
一方で、依然として4齢状態の2化目幼虫もいました(写真3)。頭部突起が黒くなり、体がふっくらしています。脱皮前の体型です。
 
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写真3
 
同じエリアのエノキ高木の周囲では、ゴマダラチョウの飛翔と産卵行動も見られましたが、距離が遠くて撮影はできませんでした。エノキ高木(樹高>10 m)の2 mくらいまでの枝葉もくまなくチェックしていますが、これまでアカボシゴマダラの卵、幼虫とも発見できていません。
 
私自身はアカボシゴマダラとゴマダラチョウの幼虫の共存は、エノキ低木を中心に稀にしか観察できていませんが、アカボシゴマダラがエノキを食樹とする在来種と競合するという考え [1] は一体どこから来ているのか、調べれば調べるほど不思議に思います。
 
いずれにせよ、この時期に3化目を迎えるということは年4回の発生は普通にありそうです。
 
 
引用文献
 
[1] 国立環境研究所 侵入生物データベース アカボシゴマダラ.