Dr. Tairaのブログ

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北海道フェアで思うこと


今回の北海道の地震災害を受けてなのでしょうか、周辺のスーパーマーケットでは「北海道フェア」と称して、北海道の物産が集中的に売られています。スーパーの商戦に乗るのは嫌ですが、私ができることといえば、ささやかながら買うことや募金することしかないので、この2、3日北海道産を中心に買っています(写真1)。普段から、ジャガイモと玉ねぎでもお世話になっていますが。

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写真1

3.11のときもそうでしたが、当時は大規模な節電が全国規模で実施され、お店でも間引き照明が行われていたことを思い出します。お店に入っても、薄暗いと感じるような照明でしたが、いっそ「この程度の明るさで丁度いいのでは」と思いました。

しかし、いつも間にか忘れたかのように明るさは元に戻り、今や全国的にこうこうと蛍光灯やLED照明がなされています。とくに一部の量販店や薬屋さんの明るさは異常と思えるほどです。

今回も、地域によっては停電が続いているのに、一方で電気が復旧し、明るく照らされた歓楽街や遊戯場があることに、SNS上でも批判的に取り上げられていました。現在、政府は2割の節電を要請しているようですが。

今回の北海道のケースでは、一局集中型発電・供給システムが災害に弱いことを露呈しました。

家庭などに送られる電気は、常にプラスとマイナスが入れ替わっていますが、その入れ替わる回数が周波数です。もし周波数に乱れがあると、発電機や周辺機器が壊れ、停電になる可能性があります。この周波数を一定に保つには、電力の供給量と使用量を同量にする必要があり、このために、電力会社は常に需要と供給が一致するように発電能力を調整して運用しているわけです。

しかしながら今回は、電力供給で基幹的な苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所震源域にあったため、停止してしまいました。その結果、電力の供給量が大きく減少し、需要量に対するほかの火力発電所のカバーも追いつかず、周波数の安全範囲の限界を超えてしまいました。そして、逆に安全機能が作動して供給が次々と遮断され、大規模な停電(ブラックアウト)に至りました。

「バックアップ」として、本州からの送電線網がありますが、この設備を使うためにも電力が必要で、その調達すらできない状態でした。

さらに、北海道古宇郡泊村にある泊原発は停止中だったわけですが、外部電源喪失という状況になり、燃料棒冷却のために補助のディーゼル発電に切り替えたというも注視しなければなりません。原発は、「核廃棄物」の問題とともに、「停止中も常に電気供給を必要とする施設」という問題もあらためて考えさせられました。これは3.11における福島第一原発の「メルトダウン」で嫌という程、味わっていることですが。

地球温暖化防止や災害時への対応を考えると、エネルギーの供給形態の多様化と分散化が望ましいですが、経済効率に固守すれば、一局集中管理がいいことは当たり前です。この点で日本は旧態依然のままです。

廃プラスチックの問題への対応にも見られるように、すっかり環境後進国に成り下がってしまった日本は、消費電力に占める再生可能エネルギーの割合では、中国やインドにさえ抜かれてしまいました(図1)。

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図1. 電力消費量に占める再生可能なエネルギーの割合(2018.09.08 朝日新聞「be saturday」より改変)

以上、こうこうとスーパー店内を照らす明かりと、さまざまな売り物を見ながら、昨今思うことでした。