前のブログ記事でも紹介したように(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16308502.html)、福岡市の水上公園付近にはハシブトガラスがたくさん見られます。私は、東京の上野公園や名古屋市の鶴舞公園とともに、大都市におけるカラス観察の定点にしています。
写真1
さらに進むと、旧福岡県公会堂貴賓館前に着きます(写真2)。中は喫茶店になっています。
写真2
この前が水上公園で、付近には常時たくさんのハシブトガラスがいて、カーカーと澄んだ鳴き声を聴くことができます(写真3)。もう一つの身近なカラスとしてハシボソガラスが知られていますが、ここではこれまで20年間、一度も見たことはありません。
写真3
ハシブトガラスは、体を震わせることなく、頭を突き出すようにして鳴きます(写真4)。鳴くときは尾の位置は変化しません。一方、ハシボソガラスは、体を震わせ、尾を内向きにし、お辞儀をするように鳴きます(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16340687.html)。
写真4
ハシブトガラスとハシボソガラスはすみ分けをしていると言われ、大きく見ると大都市にはハシブトガラスが、農村部などの開けたところにはハシボソガラスが棲んでいるとされます [1]。この福岡の水上公園はその典型的な例です。
英語で“jungle crow”と呼ばれるハシブトガラスは、もともとは森林性の鳥と考えられていました。そのためか、大都市を生活圏にしていても、ねぐらは基本的に本物の緑地に作ります。都市近郊や都市部へハシブトガラスが進出し、個体数を増加するにつれて、ハシボソガラスは農村部などにすみかが追いやられ、個体数を減らしているようです。
とはいえ、人口が50万人くらいまでの中核都市(たとえば鹿児島県鹿児島市、愛知県豊橋市、千葉県柏市)においては、ハシブトとハシボソの共存する姿をよく見てきました。私の個人的印象では、ハシブトガラスの独占的な居住域は、大都市に限られるように思います。
参考文献
1. Higuchi, H.: Habitat segregation between the jungle and carrion crows, Cbrvus macrorltynches and C. corone, in Japan (日本におけるハシブトガラスとハシボソガラスの棲み分け). Jpn. J. Ecol. 29, 3S3-358 (1979). https://www.jstage.jst.go.jp/article/seitai/29/4/29_KJ00002869130/_article/-char/ja/