今朝のNHK放送のショートコーナーで、宮城県南三陸におけるバイオガス発電事業を取り上げていました。地域の生ゴミを分別収集し、メタン発酵処理後、生じたバイオガスを発電機に送り、電気と熱を発生させるというものです(図1)。
図1. バイオガス発電の概要(2018.5.9 NHK放送より)
図2は放送で紹介されていたメタン発酵槽の様子です。
図2. メタン発酵槽の外観(2018.5.9 NHK放送より)
メタン発酵では、炭素成分はメタン(CH4)というガスになりますが、窒素分はアンモニアを含む液体残渣(残渣スラリー)として出てきます。放送では、これを農業用の肥料として活用しているところが紹介されていました(図3)。
図3. メタン発酵の残渣を肥料として農業に利用(2018.5.9 NHK放送より)
愛知県豊橋市では、PFI (private finance initiative) 手法 [1] によりバイオマス資源を有効活用する「バイオマス資源利活用施設整備・運営事業」を昨年から進めています。すなわち、市内で発生する生ゴミを分別収集し、し尿、下水汚泥、浄化槽汚泥とともに下水処理場1箇所に集約し、併設したバイオガス化施設でメタン発酵処理しています(図4, 5)[2, 3]。
発生したメタンを回収し、ガス発電のエネルギーとして利活用しています。また、発酵後に残った汚泥は、炭化燃料に加工してエネルギーとして利用しています。さらに残渣スラリーは、併設する下水処理場で廃水処理するという仕組みになっています。
図4. バイオマス資源利活用施設整備・運営事業における処理と資源の流れ
(文献2より)
図5. メタン発酵処理施設の外観(文献3より改変)
豊橋市は人口37万人余りですが、これほどの中核都市で、一括してバイオマスを処理する事業は日本はもとより、世界的にも例がありません。市によれば、受け入れバイオマスとして、生ゴミ59t/日、下水汚泥472立方m/日になり、発生するメタンガスは販売量として680万kWh/年で、一般家庭換算で1,890世帯分に相当します [3]。
参考文献・脚注
1. 自治体の施設等の建設、維持管理、運営等を民間が代わって行う手法.